ここまでひどいのか…「チェルノブイリ」ドラマがものすごい
提供:スターチャンネル
遡ること33年前、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)の原子力発電所が爆発事故を起こす。隣接するプリピャチ市街では、多くの住人が放射能を浴びた。映画専門サービスの「スターチャンネル」が日本初放送&配信を行う、HBO局制作のミニシリーズ「チェルノブイリ」は、ここからはじまる人類史上最悪の原発事故を、事実をベースにドラマ化。今年5月に放送されたアメリカ、イギリスを中心に圧倒的な支持を得た話題作だ。
人類史上最悪のチェルノブイリ原発事故
チェルノブイリ原発事故は、1986年4月26日にチェルノブイリ原子力発電所の4号炉で実際に起きた出来事だ。炉心はメルトダウン後に爆発し、飛散した放射性降下物が広い地域を汚染。避難区域は2,600平方キロメートルにもおよび、約30万人もの周辺住民が避難を余儀なくされた。
過去に前例のない、そしてこれが人類史上最悪の事故であることが徐々に明らかになっていく。当時、ソ連が独自に開発したRBMK炉が事故を起こすことはありえないとされており、責任者たちは、原子炉が吹き飛んでいると報告されても信じようとせず、事態を過小評価した。
しかも周辺住民には、原発事故の危険性が周知されていなかった。プリピャチ住民の避難が行われたのも、事故から数日後であった。「チェルノブイリ」の冒頭には、事故直後に現場へ駆けつけた消防士が口のなかに鉄の味が広がるのを感じ、崩れた原子炉建屋の周辺に散らばった真っ黒なガレキを拾い上げるシーンがある。その黒い物体は、多量の放射線を放つ、炉心にしか使われていないはずの黒鉛だった。
映像史に残る事故描写
事故処理に投入された作業員(=リクビダートル)は60万人、犠牲者は概算で4,000人から9万3,000人とされているが、実際の数は謎とされている。旧ソ連が公式記録を残さなかったからだ。実際の犠牲者数は31名とされているが、かりそめの事実にそっぽを向くように、ドラマは、あまりに恐ろしい犠牲者の姿を映像で描く。至近距離で強烈な放射線を浴びたことで、人の姿をとどめないほど、ただれて肉が崩れ落ちた体で苦しむ消防士や、その家族にふりかかる不幸を克明に描く。衝撃的な描写はあまりにリアルで残酷、地上波でのテレビ放送は難しかっただろう。
1980年代の、それも旧ソ連で起きた事故をどう映像化するのか? チェルノブイリ周辺は、事故から30年以上を経た現在も立ち入り禁止の放射線汚染エリアに指定されているため、現地ロケは不可能。そこでHBOは、チェルノブイリ原発と同型のリトアニアの閉鎖原発をロケ地に選び、廃炉になった原子力発電所の内部で撮影を敢行した。
爆発した原子炉や、荒廃した遊園地の映像でも広く知られるプリピャチ市街などの様子は、高度な映像技術によって再現。こうして、断片的な記録映像や写真でしかうかがいしれなかった原発内部、むき出しになった炉心までもが、圧巻のリアリティーで映像化された。燃え盛る崩れ落ちた原子炉は、何が起きたのかを知った現代に見るからこそ、余計に恐ろしい。
旧ソ連科学者と政治家の熱いドラマ
エネルギー部門の責任者として現地に派遣されるのが、本作の主人公となる核物理学者のヴァレリー・レガソフ(ジャレッド・ハリス)と、ソ連閣僚会議の副議長ボリス・シチェルビナ(ステラン・スカルスガルド)だ。レガソフは、チェルノブイリに向かうヘリから吹き飛んだ原子炉を見た瞬間に絶望的な状況を把握。事故現場の放射線量を確認すると、原発から立ち上る炎を指し「1時間ごとに広島の原爆の約2倍の放射線を出している」と言い放つ。
そうして事故の重大さを訴えるレガソフに対し、シチェルビナは石油やガス中心のエネルギー畑出身ながら、原子力の知識については素人並みの政治家。原発の仕組みも知らず、小規模な事故だと言い放つ政府の言葉を信じ込む彼は、まさに旧ソ連の体制を象徴するような存在だが、レガソフによる根気よく分かりやすい説明と、深刻な事故現場の様子、そして致死量の放射線を浴びることを覚悟して現場に赴く英雄たちの姿を目の当たりにし、心情に変化が訪れる。
まさに水と油の2人が、事態を収拾するために反発し合いながらも事故に立ち向かい、奇妙な絆を築いていくさまは、己を犠牲して事態収拾にあたる人々のドラマと共に、心を打つ。
5時間のシリーズだからこそ描けた驚きに満ちた物語!
ハリウッドの一線で活躍する俳優陣が表現する事故関係者の葛藤に、詳細な取材と最新技術で再現された原発周辺の惨状など、まさに映画並みのスケールで製作された「チェルノブイリ」。さらに本作は、2時間の映画では絶対に描き切れないであろう事故の全てを映し出す。
なぜ、あり得ないとされていた事故は起きたのか? ドラマは事故の記録と共に、その原因をめぐるサスペンスの様相も見せ始め、核物理学者のウラナ・ホミュック(エミリー・ワトソン)は、レガソフの依頼で、事故当時、原発の中央制御室にいた当事者の証言を収集して回る。
死の淵にいる若い原発職員が全てを語る一方で、その上司は部下に責任を押し付けて証言を拒否。ホミュックは、さまざまな科学者をモデルにした架空のキャラクターだが、証言者の姿に怒りと悲しみを感じる、視聴者の目線に立った登場人物でもあるだろう。真実を探るレガノフたちの背後には、KGBこと旧ソビエト連邦国家保安委員会の影がちらつく。国家による監視をかいくぐり、真実を公表できるのか。全5話、5時間だから描くことができる、詳細な事故描写と人間ドラマに圧倒される。
アメリカの映画批評家サイト Rotten Tomatoes では、放送から時間が経った現在も98%という高い支持率をキープ。「チェルノブイリ」の影響はすでに世界中に波及しており、各国のメディアでは、チェルノブイリの事故現場やロケ現場への見学ツアー希望者の急増が報じられている。あまりに凄惨な被爆被害の描写に対しても議論が巻き起こっているといい、ハリウッド大作から映画ツウ好みの良作、問題作まで、常に幅広い“旬”な作品を扱ってきた映画専門サービス「スターチャンネル」だからこそ、日本で解禁できたドラマといえそうだ。
テレビ放送に加え、Amazon Prime Videoチャンネルの「スターチャンネルEX」では9月26日より配信もスタート。さらに、10月5日までの間、プライム登録不要で第1話の全編特別無料公開を実施する。また現在、ドラマの公式サイトでは、その第1話の冒頭10分が公開されている。ドラマ史に残る傑作シリーズであることを予感させる、恐ろしくも美しい映像は必見だ。
海外ドラマ「チェルノブイリ」(全5話)は Amazon Prime Video 「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」で9月26日(木)配信スタート
第1話は9月26日(木)~10月5日(土)の間、プライム登録不要で全編特別無料公開
「チェルノブイリ」無料公開「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」>>
海外ドラマ「チェルノブイリ」(全5話)はBS10スターチャンネルで放送
【STAR2 字幕版】9月25日(水)より 毎週水曜よる11:00ほか
【STAR3 吹替版】9月30日(月)より 毎週月曜よる10:00ほか
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