映画とゲームの垣根を越える！小島秀夫監督「DEATH STRANDING」情報まとめ
今週のクローズアップ
小島秀夫監督のPlayStation4向け新作ゲーム「DEATH STRANDING（デス・ストランディング）」がいよいよ11月8日にリリースされる。「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダスをはじめ、ハリウッドで活躍する人気スターが出演。ゲームでありながら圧巻の映画的体験を予感させる、ジャンルの垣根を越えた傑作の期待も高い話題作だ。ハリウッドのクリエイターたちも待ち焦がれる本作の発売を前に、多くが謎のベールに包まれた魅力の一端を紹介する。
発見と危険に満ちた世界
壮大な名作SFのように緻密な設定も、本作の魅力のひとつだ。ゲームの舞台は、謎の現象「デス・ストランディング」によって人々や都市が引き裂かれたアメリカ大陸。プレイヤーは、主人公サム・ポーター・ブリッジズ（ノーマン）となり、孤立した人々に物資を届けながら、超大容量データ通信を可能にするカイラル通信によって、分断された各地をつなげていく。
サムが歩くのは、「デス・ストランディング」現象によって、時折、触れた物や生物の時間を進める時雨が降り注ぐようになった北米大陸。雨の影響で原始に還った大地を、サムはたった一人で進むことになる。サムの衣装や装備、休憩場所となる「プライベート・ルーム」などは好みに合わせたカスタマイズが可能。プレイヤーごとのノーマン・リーダスが楽しめるというわけだ。
プレイヤーは配達物に加え、ロープやはしご、予備のブーツまで、重量やバランスを考慮しながら任務に必要な荷物を装備し、未開の土地を移動しなくてはならない。ただ、各土地でカイラル通信をつないでいけば、3Dプリンターのようなカイラルプリンターを使用して、装備や乗り物、多種多様な建造物が作れるようになる。
待ち受ける危険
フィールドでは、人の荷物を狙う集団ミュールなど、危険な存在に対処する場面も。そのなかでも特に危険なのが、時雨と共に現れる存在BTだ。まるで幽霊のような彼らに一度捕まると、反物質でできたBT・キャッチャーの元に連れていかれてしまい、これに憑かれると、ヴォイド・アウト（対消滅による爆発）が起こり、周辺はクレーターとなってしまう。
BTは死の世界に存在しているという設定で、人間には見ることができず、単純に銃で倒すというわけにはいかない。そのためサムは、死の世界ともつながっているBB（ブリッジベイビー）という胎児を装備してアメリカ大陸を横断することでBTの位置を把握しながら拘束することもできる。BB（ブリッジベイビー）とは、脳死状態の母親とつながっている胎児だ。
映画並みの豪華キャストが集結！
「DEATH STRANDING」には、小島監督の盟友でもあるノーマン・リーダスをはじめとする豪華スターが出演しており、吹替声優陣にも実力派が集結。洋画・海外ドラマファンにとっても必須の作品であり、ゲームが苦手なファンでもストーリーに没頭できるよう、ベリーイージーモード（小島監督いわく“映画沼モード”）も用意されている。
サム・ポーター・ブリッジズ（ノーマン・リーダス／声：津田健次郎）
アメリカ再建をうたう組織ブリッジズの依頼を受ける“伝説の配達人”。北米大陸の各地に点在するカイラル通信用の設備を起動し、分断された大陸をつなげ、アメリカを再建する任務に就く。
もともとノーマンは、小島監督が手掛ける予定だった「サイレントヒル」の新作に出演する予定だった。その後、紆余曲折を経たコジマプロダクションの独立に伴い、小島監督はゼロから再スタート。しかし二人のつながりは途切れることはなく、「DEATH STRANDING」の出演オファーを快諾した。
人気ドラマ「地上最強の美女！バイオニック・ジェミー」で知られるリンゼイ・ワグナー演じるアメリは、死去した先代大統領である母親の遺志を継ぐ、UCA（アメリカ都市連合）の大統領候補の女性。その体は“ビーチ”という場所にあり、見た目は歳をとっていない。UCAに加盟する都市を探しながらアメリカ大陸を横断したが、アメリカ再建を望まない分離過激派のテロリストによって“エッジ・ノットシティ”という都市に閉じ込められる。彼女を連れて帰ることもサムの目的。
ダイハードマン（トミー・アール・ジェンキンス／声・大塚明夫）
サムにアメリカ再建の任務を託すブリッジズのボス。声を担当するのは「メタルギア」シリーズのスネーク役で小島監督と長年タッグを組む大塚明夫。
所属も目的も不明の謎の男性。サムが装備する「BB」という胎児とつながる度に起きるフラッシュバックに登場するという。フラッシュバックにはかなりのパターンが用意されており、小島監督によるとマッツファンが楽しめる仕掛けがたくさんあるとのこと。マッツ自身の生活を反映して愛煙家のキャラクターとなっている。
フラジャイルエクスプレスという配送組織のリーダーで、いわばサムの同業者。
ママー（マーガレット・クアリー／声：坂本真綾）
ブリッジズのメンバーにして謎のBTの“母親”としてつながっている女性。
デッドマン（ギレルモ・デル・トロ／声：石住昭彦）
サムをサポートするブリッジズの医師。演じるのは、小島監督とは無二のオタク仲間であるアカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロ。
ハートマン（ニコラス・ウィンディング・レフン／声：大塚芳忠）
21分ごとに心停止しては3分で蘇生し続けるブリッジズのメンバー。演じるのは、小島監督の盟友で映画監督のニコラス・ウィンディング・レフン。小島監督はレフンが手掛けたAmazonのドラマシリーズ「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」にカメオ出演している。デル・トロもレフンも多忙のため、声とモーションは別の俳優が担当しているとのこと。
黄金仮面をかぶったテロリスト集団のメンバー。
プレッパーズ
分断された世界で孤立した人々の総称。サムが、彼らの求めに応じて物資を届けることで、新たなつながりが生まれることも。プレッパーズの一人として、歌手・ダンサーの三浦大知が登場。ほかにも豪華カメオ出演が用意されているかもしれない。
全く新たなジャンル
プレイシステムにおいて本作の最大の特徴となるのが、世界中のプレイヤーとの“つながり”。カイラル通信をつなぐと、ほかのプレイヤーが操作する“別のサム”がその土地で設置した建造物を共有することができるようになるのだ。プライベートルームや橋、バイクなど、共有できる物は多岐にわたり、使用することで「いいね！」をつけることもできる。戦いが中心のオンラインゲームとは一味違った、人のために何ができるのかを考えていくシステムが採用されている。
もちろんBTとの戦闘中に世界中のほかのサムに助けてもらうことも可能だ。かつて、敵から隠れることを重視した「メタルギアソリッド」でステルスゲームという分野を確立した小島監督。だが「DEATH STRANDING」には、とても一言では言い表せない要素が詰まっており、小島監督はソーシャル・ストランド・システム（ストランド・ゲーム）と名付けている。
ゲーム界において再び新たなジャンルを確立することになりそうな「DEATH STRANDING」。プレイするまで、その全容を知ることはかなわないが、誰かとつながりながら進むサムの任務を通じて、映画やゲーム、コミックなど全てのエンターテインメントに多大な影響を与える作品になることを予感させる。
PlayStation4用ソフト「DEATH STRANDING」は11月8日発売