亡霊か幻影か?それぞれが抱える亡き人々への思い
今週のウォーキング・デッド
「ウォーキング・デッド」シーズン10も今回で第3話、ついに生存者たちと“囁く者”たちが対面する! これまでの2回はいわば序章。今シーズンのドラマがいよいよ動き出した!(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン10について、後半の「もう観ちゃった方向け」はネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
今週のウォーキング・デッド~シーズン10第3話
<これから観る方向け:ネタバレなし>登場人物たちが胸に秘めていた“亡霊”が現れる!?
第1話はミショーン(ダナイ・グリラ)たちを描き、第2話は“囁く者”たちを描いて、第3話の今回で、ついにこの2つのグループが対面、待ってました! な展開になって、ここからこのシーズンのドラマが動き出す。
今回の見どころは、タイトル通り、“亡霊”。原題は複数形のGhosts、“亡霊たち”。亡霊というより、幻影といったほうがイメージが近いかもしれない。幽霊が出てくるわけではなく、登場人物たちが心の中にずっと抱いている、今は亡き人々への思いが描かれていく。
そして、キャロル(メリッサ・マクブライド)、アーロン(ロス・マーカンド)、セディク(アヴィ・ナッシュ)、そしてあのニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)までが、今も過去の悲痛な出来事から完全に回復しているわけではないことが明かされていく。
彼らの過去の出来事に触れるセリフを聞くと、“ああ、そうだった、そういうことがあったんだよなぁ”という感慨が。そんなこのシリーズをずっと観てきたファンへのサービス・エピソードにもなっている。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>キャロルは思ってたより重症!?そして、ニーガンが動き出す!
まず、オープニング・タイトル前の演出がスリリング! 次々とアレクサンドリアを襲撃してくるウォーカーたちの大群、それを退治するため不眠で戦い疲弊していく人々を「~時間後」というテロップと短いシーンを次々に連打していく演出がカッコイイ! 監督はこのシリーズには2011年から参加しているベテラン、デヴィッド・ボイド。脚本はシリーズ初参加、ドラマ「GOTHAM/ゴッサム」や「タイムレス」のジム・バーンズだ。
そしてドラマも進展、ついに、生存者たちと囁く者が対面した。囁く者のリーダー、アルファ(サマンサ・モートン)は、ミショーンたちが境界線を破った罰として、境界線を変更して彼らの土地を増やすことを通達する。この言葉に怒ったキャロルが発砲、ついに「アルファVS.キャロル」第1ラウンドが始まった。このシーズンはこの戦いがヒートアップしていくはず。
しかし、今回はキャロルが取り押さえられて、戦いまでは至らず。そのうえ、キャロルが今もヘンリー(マット・リンツ)の死から立ち直れず、海から帰ってからは薬を常用していることがわかる。睡眠不足と疲労に加えて薬の影響を受けたキャロルが幻影を見るシーンは、かなり衝撃的。彼女がこんなにも精神的なダメージを受けていたとは……。
中でも、彼女が廃屋で床から拾い上げた書籍「家政学入門」の表紙が家族団らんの写真で、それが、キャロル自身と彼女がこれまで愛してきた子供たちの写真に変貌するシーンは、一瞬なのに、衝撃的。そこに写っているのは、ショートカットだった頃のキャロルと、義理の息子ヘンリー、実娘ソフィア(マディソン・リンツ)、シーズン4の悲劇の姉妹リジー(ブライトン・シャービノ)とミカ(カイラ・ケネディ)、シーズン5、6のリック(アンドリュー・リンカーン)の隣人の息子サム(メジャー・ドッドソン)なのだ。そうだった、キャロルはこんなにも愛する者を失ってきたのだった。彼女のドラマはこれから意外な展開をするのかも?
そして、今回のもうひとつのドラマは、アーロンとニーガンの関係性の変化。2人は一緒に偵察に出ることになるが、アーロンはニーガンに向かって、かつてニーガンの率いる集団“救世主”たちがアーロンの愛するエリック(ジョーダン・ウッズ=ロビンソン)を殺したことを責め、共同体から出て行ってほしいと言う。しかしニーガンは、アーロンがウォーカーたちに襲われるたびに、何度も助ける。アーロンはこれでニーガンを信用するようになりそうだ。しかし、ニーガンのこの行動には、別の目的があるに違いない。さあ、これからニーガンはどう動く?
そして、最後のシーンは、横たわる“囁く者”のガンマ(ゾーラ・バーチ)が、急に目を開ける場面。それはなぜ? 次回はガンマのドラマが始まりそうだ。