エゼキエル、ニーガン、リディアに何が!?生存者たちの苦悩
今週のウォーキング・デッド
「ウォーキング・デッド」シーズン10は、前半8話、後半8話の計16話なので、今回の第4話はちょうどシーズン前半の折り返し地点。シーズン前半がどんなストーリーになっていくのか、ちょっと見えてきたような!?(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン10について、後半の「もう観ちゃった方向け」はネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
今週のウォーキング・デッド~シーズン10第4話
<これから観る方向け:ネタバレなし>今回は、エピソード原題「囁く者は静かに」がキーワード!
今回のエピソードタイトルの原題「Silence the Whisperers」は、作品中に出てくる落書き。字幕では「囁く者は静かに」と訳されている。今回のエピソードはこの言葉通り、囁く者の静かさと、それを意識せずにはいられない、アレクサンドリアとヒルトップの人々が描かれていく。
その中で、前シーズンから新キャラとして登場してこのシーズンではまだあまり登場しなかったユミコ(エレノア・マツウラ)、マグナ(ナディア・ヒルカー)、ルーク(ダン・フォグラー)のシーンがあって、3人それぞれの恋愛事情も描かれる。
そして、今回の監督は、シーズン4から7までエイブラハム役を演じていた、マイケル・カドリッツ。エイブラハムは、ユージーン(ジョシュ・マクダーミット)をワシントンD.C.に連れて行こうとしていた赤毛の軍人タイプのあの人物。
カドリッツは、本作のシーズン9第7話「楽器への想い」で監督業に進出して、今シーズンではこの第4話と、第7話「Open Your Eyes」の監督を務めている。彼は、共演者として生存者たちのキャラクターを熟知しているから、今回のような人々の心理を描くエピソードの監督には適任。その演出ぶりを確かめよう。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>囁く者との戦いはすでに始まっていた!生存者たちのダメージは大きい!
さすが、リック(アンドリュー・リンカーン)とミショーン(ダナイ・グリラ)が育てた娘、ジュディス(ケイリー・フレミング)は賢い。彼女は、こう指摘する。彼女が幼い弟を寝かしつけるときに彼を走り回らせて疲れさせるように、囁く者たちは今、生存者たちを疲れさせているところなのではないか、と。
この指摘はきっと正しい。そうなのだ、囁く者との戦いは、このように静かな形で、すでに始まっていたのだ。今回のエピソードタイトルの原題「Silence the Whisperers」は、作中でドアに描かれる落書きを、字幕では「囁く者は静かに」と訳している。これは、囁く者による生存者たちへの威嚇であり、宣戦布告なのではないか。そして、このシーズン前半は、このような静かな戦いが描かれていくのではないだろうか。
この「直接攻撃せず、沈黙を保って、相手だけを消耗させる」という方法が囁く者の戦術だとしたら、その効果は絶大だ。ウォーカーの大集団による居住区の襲撃は今も続き、囁く者の仕業なのかは不明のままだが、生存者たちの囁く者への怒りと恐怖心は増している。
そのストレスから、集団内部で不和や衝突が起きつつある。かつて囁く者だったリディア(キャサディ・マクリンシー)が、囁く者に仲間を殺された人々に襲われるのも、愛し合っていたマグナとユミコが戦闘での判断の違いから仲たがいするのも、そのせいなのだ。そうやって、生存者たちは集団としてのまとまりを失って弱体化しつつある。
そんなドラマに加えて、今回は興味深いキーワードが登場。それは「マスク」。囁く者たちは、ウォーカーの顔面の皮で作った「マスク」でウォーカーを偽装しているが、生存者たちもまた、マスクをしていたことがわかる。
ミショーンが生き延びるために「マスクを被った。それがやがて素顔になった」と言い、それを聞いたエゼキエル(カリー・ペイトン)が「わたしもマスクに救われたが、限界があった」と言う。別の場所でリディアは言う、「ママは正しかった。あなたたちのことを『親切な顔はマスクだ』と言っていた」と。それぞれのマスクの種類は違うが、マスクをしているという点では、囁く者も生存者も同類なのだ。
そして今回は、今後につながる謎解き要素も加わった。エピソードのラストで、「囁く者は静かに」の落書きが、ドア以外の場所にもあることがわかる。これを書いたのは誰なのか? 最初の落書きは、リディアを襲った3人の誰かがリディアに向けて書いたかのように見えたが、別の場所にもあることが映し出されて、別の何者かの仕業だということが暗示されている。
また、仲間を事故死させて処罰されそうになったニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)は檻からいなくなるが、檻の鍵を開けたのは誰なのか? ニーガンはどこへ行ったのか? 一方、オーシャンサイドに向かったミショーンとジュディス、ルークの一行には、きっと何かが起きるに違いなく、それも気になる!