5分でわかる名作映画の条件
提供:WOWOW
今年もまた、アカデミー賞の時期が近づいてきた。毎年数多く公開される映画の中から、ハリウッドで最高に栄誉のあるこの賞にノミネートされたということは、映画のプロに選ばれた、優れた作品だということ。そして、それらの作品には、一定の傾向がある。ここで、その“条件”を振り返ってみよう。(猿渡由紀)
条件1:肉体改造
演技部門でしばしば有力候補に挙がるのは、肉体改造や特殊メイクなどで別人になりきった俳優たち。最近ならば、『バイス』でディック・チェイニー元副大統領を演じたクリスチャン・ベイルや、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のゲイリー・オールドマンがそうだ。どちらも、まるで誰かわからないくらい変身していて、本当にお見事。『ウィンストン~』では、オールドマンのそっくりさんメイクをデザインした日本生まれの特殊メイクアップアーティスト、辻一弘も受賞した。昨年の主演男優賞受賞者も、フレディ・マーキュリーになりきったラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)。この部門で彼のライバルだった『グリーンブック』のヴィゴ・モーテンセンも、実在の人物に似せるため、体重を増やし、イタリア系アメリカ人のアクセントを身につけて、すっかり別人のようになっている。
条件2:時代背景
自分たちの生きる社会が抱える問題に鋭く迫る映画は、観た人たちの間で意義深い会話を呼び起こす。悲しいかな、人間は同じ間違いを繰り返しがちなため、たとえ昔を舞台にした話であっても、それらの名作は、いつまでも古く感じられることがなかったりするのだ。昨年、助演女優部門で受賞し、脚色、作曲部門でも候補入りした『ビール・ストリートの恋人たち』は、70年代のニューヨークが舞台。原作小説が書かれたのも70年代だが、近年、警察によって無実の一般黒人が射殺されることが続いているアメリカでは、まさにタイムリーだ。また、アニメではあるが、昨年ピクサーやディズニーを制して受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』も、ピーター・パーカーはそのままにしながら、主人公を黒人にしたクリエイティブさと新鮮さが評価されたと思われる。『ゲット・アウト』も、ホラーというジャンルの中で人種への偏見を扱う斬新さが絶賛された。
条件3:実話作品
事実は小説より奇なりと言われるが、そのとおり。もしもフィクションだったら、ありえなさすぎて観客に信じてもらえない驚くべき話が、実話映画の中にはたくさんある。2014年に作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』は、ニューヨークで一般市民として自由な生活を送っていた黒人男性が誘拐され、奴隷として南部に売り飛ばされるという、19世紀に実際に起きた悲劇的すぎる話。今作では、ほかにルピタ・ニョンゴが助演女優賞、ジョン・リドリーが脚色賞を受賞した。一見、ヒーローとは最もほど遠そうな女性がすごいことを達成してみせる『エリン・ブロコビッチ』も、エンパワメント感満点の伝記映画。この映画ではジュリア・ロバーツが念願の主演女優賞を受賞している。ほかにも、『ガンジー』『リンカーン』『ソーシャル・ネットワーク』『アポロ13』などが、実在する、あるいは実在した、興味深い人々の物語を語る。
上記の映画はすべて、2月にWOWOWで放映される。また、今年のアカデミー賞授賞式も、例年どおりWOWOWが日本独占生中継。授賞式放映は2月10日。その日に向けて、今からたっぷりとオスカー気分を盛り上げてほしい。
第92回アカデミー賞授賞式は、2月10日(月)午前8時30分よりWOWOWプライムにて生中継
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