ウーマンラッシュアワー、簡単にブレイクできちゃう時代に嫉妬?
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、映画『ラ・ラ・ランド』のスタッフが再集結したことで話題を呼んでいる青春音楽映画『ティーンスピリット』! オーディション番組であっさりとスターになれる時代に、2人の思いは!?(取材・文:森田真帆)
『ティーンスピリット』
『ネオン・デーモン』などのエル・ファニングを主演に迎えた青春音楽ドラマ。歌手のオーディションに挑戦する少女の未来が描かれる。ケイティ・ペリーやアリアナ・グランデらの楽曲を、『ラ・ラ・ランド』の音楽スタッフがアレンジ。『アレクサンドリア』などの俳優マックス・ミンゲラが監督を務める。
夢を追いかける村本 VS 隠居直前のパラ兄!?
中川パラダイス(以下、中川):めっちゃ観やすかったし、スーッと成功するからえぇねんけど、あまりにも苦労なくて突っ込みたくはなるよね。苦労しなさすぎちゃう? 無名の芸人がM1グランプリに出場してトントン拍子で初優勝してしまうようなもんやん。えぇなぁ。ミルクボーイやんか!
村本大輔(以下、村本):お前かてそうやったやんか! お前だけは共感できるはずやぞ。オレが書いたネタで何の苦労もなく売れたやん。オレはこの映画は夢があって良かったと思ったよ。そんな現実知っているみたいな言い方をするパラダイスから見て、この映画は一体誰に響くと思うん?
中川:夢を追いかける10代後半からの若者たちや、これから何かを目指そうとする人に響く映画やと思うわ。
村本:それを言い出したら、オレがアメリカに行ったらパラダイスは1人になるわけやん。でもそんなパラダイスが、「これから何かを目指そうとする人に響く」っていうってことは、これから何にも挑戦せぇへんってことなんやな。こういうドリームズカムトゥルーな映画がもう響かんのは、お前が隠居じじぃになっているってことだからや!
中川:僕の今の夢は、棺桶に入るときに奥さんと息子に見守られることやもん。
村本:何やそれ、オレへの当てつけか! アメリカンドリームを夢見るオレは、きっとホームレスに囲まれて死んでいくというのに。
ティーンエイジャーで夢を叶えるということ
村本:この映画って『ラ・ラ・ランド』のスタッフ再集結っていうのが売りやけど、出てくる人たちは真反対よな。だって、『ラ・ラ・ランド』は苦節何年っていう売れない女優と、全く目が出ないミュージシャン。でもこっちは、10代で夢を叶えてしまうティーンエイジャーが主人公で。こっちの方が、安心して観られる感じやったわ。
中川:何年か苦労してからのブレイクじゃないのがイマドキっぽいよな。
村本:そうそう、最近ってみんなそうちゃう? パッと出てきた人が急にブレイクしている感じ。InstagramやYouTubeで人気が出てあっという間にスターになっていく。お笑い芸人の養成所なんて、いらんのちゃう? NSC(吉本総合芸能学院)もなくなりそうやん!
中川:その辺はこの映画のヒロインと似ているのかも知れんわ。ふと受けたオーディション番組で、一気に人気が出ていくみたいな。何の苦労もせずに駆け上がっていくみたいな感じ?
村本:いや、苦労してないとかはわからんやろ。要は何を持って苦労と呼ぶかやと思うし。苦労しているって言ったら苦労しているように聞こえてしまうやろ。米津玄師だって、あいみょんだってバーっと売れたけど、それぞれにそういう時代はあったやろうしな。
村本、主演のエル・ファニングの美しさにぞっこん
村本:主演のエル・ファニングはめちゃくちゃキレイやったなぁ! 歌も上手いし。透明感がすごかった! 理想そのものやわ!
中川:でも最初そこまで歌上手くないように聞こえたんやけど、あれは後のことを考えてわざと歌を下手に歌っていたのかな? なんかラストになっていくにつれてどんどん上手くなっていく感じせんかった?
村本:お前! これ、歌が上手い女の子がオーディション番組でその魅力を見つけてもらうっていう映画なんやから、最初から歌は上手かったわ! 原石をあのおっさんが見つけて磨いていったやんか。キラリと光るものがあんねん。あの子はダイアモンドの原石なの! でも、後半はめっちゃ磨かれてどんどん光っていったな。
中川:なんかやっぱりお笑い芸人と歌手は違うと思うのは、歌っている時ってめっちゃかわかったり、かっこよかったり見える。Aikoみたいな! いい歌作る+歌上手いってなると、より魅力が上がるし、かわいく見えんねん!
村本:いや、Aikoに謝れ!
中川:芸人に置き換えてみると、楽しいことをやれているから輝いて見えるのかも知れんね。
村本:そうよ! この映画はさ、まだ輝き出すまでの過程が描かれているのよ。原石から、磨かれていくっていうね。やっぱり好きなことをやるには、まずは誰かに認めてもらわないと輝くこともできんから。お笑いだって松本さんのお墨付きやら、そういう誰かに認めてもらって、ようやく自分の価値を見出せる。だから飯を食うためには、誰かに評価をしてもらわないと、好きなことで飯を食えるようにはならない。だからこそ早い方がえぇねん!
パリピ中川、超ナイスな選曲にテンション上がる!
中川:最近の歌が多いし、そこは観ていて楽しかったですね。これクラブ行った時に聞いたやつや! ってなりました。
村本:え? ほんま? オレ、一曲も知らんかったで。むしろヒットソング知らなさすぎて、全てがオリジナル曲に聞こえたんやけど。
中川:かかっている曲めっちゃヒット曲ばっかりやったで。しかもクラブで盛り上がるやつな。もうテキーラ飲んで、フロアでキスしたりする時にかかるアゲアゲの曲ばっかりや!
村本:オレはクラブのヒットソングだったとかは知らんかったけど、音楽がかっこえぇなって単純に楽しめたわ! それでえぇやんか!
※記事内容には個人の意見が含まれています。
映画『ティーンスピリット』は全国公開中 映画『ティーンスピリット』公式サイト (C) 2018 VIOLET DREAMS LIMITED.
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。