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トラウマの連続!2月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 今月の5つ星映画は、全米でスマッシュヒットを記録したヒューマンドラマ、綾野剛松田龍平の共演作、アカデミー賞10部門ノミネート作、アリ・アスター監督の最新スリラー、世界の映画祭で話題となった三池崇史監督作品。これが2月の5つ星映画5作品だ!

誰もが夢を追う権利がある!不思議な冒険の物語

ザ・ピーナッツバター・ファルコン
(C) 2019 PBF Movie, LLC. All Rights Reserved.

ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(2月7日公開)

 アメリカで17館から始まり1,490館まで拡大公開となったスマッシュヒット作。プロレスラーになることを夢見るダウン症のザックと、兄を亡くした漁師のタイラーが冒険を繰り広げる物語。プロレスの養成学校に入ろうとあの手この手で施設を脱走する自由奔放なザックと、ほかの漁師の獲物を盗んだことをきっかけにボートで逃亡する羽目になるタイラー。偶然出会った2人が、旅を続ける中で不思議な絆で結ばれていく過程が丁寧に描かれる。決して善良な人間とは言い切れないタイラーだが、一途に夢を追うザックを否定せずに応援する姿は胸が熱くなる。実際にダウン症であるザック役のザック・ゴッツァーゲンは、長編映画デビュー作とは思えないほど堂々たる演技を披露。タイラー役のシャイア・ラブーフや、ダコタ・ジョンソンブルース・ダーンといった共演者たちと堂々と渡り合う。「誰もが夢を追う権利がある」と力強くも優しいメッセージが込められた人間賛歌だ。(編集部・梅山富美子)

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映画ならではのアレンジがことごとく成功

影裏
(C) 2020「影裏」製作委員会

影裏』(2月14日公開)

 沼田真佑の芥川賞受賞作を、大河ドラマ「龍馬伝」や映画『るろうに剣心』などの大友啓史監督が映画化した本作。岩手に転勤した会社員・今野(綾野剛)が、失踪した同僚・日浅(松田龍平)の行方を追ううちに彼の知られざる顔が明らかになっていく、というのが主な筋書きで、原作はわずか70ページほど。原作では今野のアイデンティティーや、今野と日浅の関係など匂わせる程度に留まっているが、映画ではミステリアスなニュアンスを損なわずに映像的なアレンジを加えている。2人を表すモチーフがまたユニークで、果実、蛇、絵画、水だったりもする。特に象徴的なのが釣りのシーンで、静寂の中、突然魚がかかった時の衝撃のように、今野と日浅の関係は、静と動のふり幅がかなり激しい。和やかに見えて突如一変する、2人の危うい関係から目が離せない。時に愛おしく、恐ろしくもある日浅にふんした松田龍平は、本作で初の海外映画祭受賞を果たした。(編集部・石井百合子)

映像革新がもたらした、圧巻の没入体験

1917 命をかけた伝令
(C) 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

1917 命をかけた伝令』(2月14日公開)

 第一次世界大戦の最中、1917年4月のフランス。二人のイギリス軍兵士に重要な任務が課せられる。連合国軍がドイツ軍と西部戦線で対峙するなか、先に歩を進める部隊に「作戦中止」の伝令を届けること。メッセージを届けるというミニマムなシチュエーションを計算しつくされた縦横無尽のカメラワークで彼らの体験を捉えることで、観客もリアルタイムを錯覚するような体感をする。そして疑似的な全編ワンカットで描くことで、圧巻の没入表現をもたらす。見えない敵の影に警戒し、後戻りできない状況に置かれた彼らの息づかいすら届くようだ。カオスな状況での意思のすれ違いや、勇猛な行為の果てにある戦争の空虚さを露わにする点は出色で、主人公のヒロイックな姿で感情移入を誘うような戦争映画とは一線を画す。革新的な映像技術が物語を創り上げた画期的な秀作だ。(編集部・大内啓輔)

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トラウマ描写の連続!白夜の祝祭に逃げ場なし

ミッドサマー
(C) 2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

ミッドサマー』(2月21日公開)

 現代ホラーの頂点と評された『へレディタリー/継承』で、華々しい長編デビューを飾ったアリ・アスター監督。最新作は、北欧スウェーデンの村で開かれる夏至祭(ミッドサマー)を舞台にしたフェスティバル・スリラー。一日中太陽が沈まない白夜、至る所に咲く色とりどりの花など、平和を連想させる祝祭が、徐々に狂気に満ちた空間へと変貌していくさまは、美しくもあり恐ろしい。アスター監督が仕掛ける身震いするようなトラウマ描写にも磨きがかかり、目を覆いたくなるような光景が連続する。奇妙な文字や神聖な儀式を暗示する壁画など、至る所に物語の伏線となる要素が散りばめられているので、一瞬たりとも気が抜けない。アカデミー賞にもノミネートされ、勢いを増す女優フローレンス・ピューの絶叫や号泣も恐怖を誘う。『へレディタリー』で観客を恐怖の底へと陥れたアスター監督だが、本作ではそれ以上のトラウマ体験を提供してくれる。(編集部・倉本拓弥)

窪田正孝、三池崇史ワールドでブッ飛ぶ!

初恋
(C) 2020「初恋」製作委員会

初恋』(2月28日公開)

 負けるはずのない相手にKO負けした天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田正孝)は、試合後の診察で自身が余命わずかの病であることを知る。希望を失い夜の町を彷徨っていたレオは何者かに追われている少女と半ばヤケクソになってアンダーグラウンドの世界で強烈な一夜を過ごす。ドラッグ、悪徳刑事、ヤクザ、マフィア……三池崇史ワールド全開の映画で、役者たちはブッ飛び、輝きを放つ。鍛え上げられた筋肉とアクションを披露する窪田はもちろん、ずるがしこいヤクザにふんした染谷将太の悪の顔、復讐の鬼と化す女を演じたベッキーの振り切りまくった演技は鬼気迫るものがある。三池流ラブストーリーは血みどろ、笑い、スリル、感動、暴力をバランスよく配置し、絶妙にブレンドしている。息もつかせぬスピード感で爽快な映画体験になる。(編集部・海江田宗)

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