事実上引退したキャメロン・ディアス、女優としての才能を振り返る
あの人は今
日本にも多くのファンがいるキャメロン・ディアスが2014年に出演した『ANNIE/アニー』を最後に事実上、女優業を引退しました。キュートなビッグスマイルとはつらつとした明るさで、多くの人を魅了し続けた彼女が、今年1月3日に自身のInstagramを通して、第一子となる娘ラディックスの誕生を公表しました。47歳にして母としての人生を歩みだした女優キャメロン・ディアス。彼女の女優としての素晴らしい功績を振り返ってみましょう。(森田真帆)
演技経験ゼロのブロンド美女がモデルから女優へ
多くのスーパーモデルを輩出しているエリート・モデル・マネジメントと16歳の時に契約したキャメロン。モデルの仕事で東京の六本木に滞在していたことがあるのは有名な話ですが、モデルとしての活動後、21歳の時に女優としてのキャリアをスタートします。彼女が初めてのオーディションでつかんだ役は、『マスク』で主人公のジム・キャリーが一目惚れするヒロインのブロンド美女。しかし、モデルとしてのキャリアは5年間ある一方、演技の経験はゼロ。Entertainment Weekly によれば、『マスク』をプロデュースしたニュー・ライン・シネマはキャメロンのキャスティングに大反対だったそう。当時、キャメロンに求められていたのはかわいいブロンド美女というだけ。演技力への期待はまるでなかったのです。
人気に追いつかない演技力がキャメロンを苦しめる
演技の経験がゼロのキャメロンは、急に高まった人気に追いつかない実力とのギャップに苦戦。『マスク』の直後から、彼女はハリウッドの有名な演技コーチ、ジョン・カービィのもとで演技の勉強を真剣に始めます。もちろんすぐに実力がつくわけではなく、多くのハリウッド俳優が出演した『デンバーに死す時』のオーディションに不合格。キャメロンが狙っていた役は、ロンドンのドラマスクールを卒業し、15歳の頃から女優としてのキャリアを着々と重ねていた同世代のガブリエル・アンウォー(髪の色はブルネット)が手にしました。芝居ができなければただのブロンド美女で終わるという、ハリウッドの現実に直面したキャメロンは真摯に芝居と向き合い、役づくりなどの基礎をジョンのもとで徹底的に学んだのです。
女優キャメロン・ディアスを育てた演技コーチとエージェント
芝居を学んだキャメロンは、大作には恵まれませんでしたが、インディペンデント系映画で着々と実力をつけていきました。『デンバーに死す時』のオーディションに落ちた後、彼女が出演したのは『最後の晩餐/平和主義者の連続殺人』。この映画もまた舞台のようなワンシチュエーションものの芝居力を試される作品で、彼女の美ぼうやスタイルなどは関係ない役柄でした。ここからキャメロンは低予算の映画からメジャー級の映画まで様々な作品に出演。ダニー・ボイル監督のハリウッドデビュー作『普通じゃない』など、彼女のエージェントもまた普通のブロンド美女ではない役柄をキャメロンと一緒に挑戦していったのです。『ベスト・フレンズ・ウェディング』では主役のジュリア・ロバーツを食う演技で観客を魅了し、ファレリー兄弟が監督を務めた『メリーに首ったけ』では超下劣なシーンも明るく演じるなど、ラブコメディーのヒロインとしての地位を確かなものにしていきました。
『チャーリーズ・エンジェル』シリーズで全米の人気者に
『メリーに首ったけ』以降もキャメロンの挑戦は続きます。スパイク・ジョーンズ監督の『マルコヴィッチの穴』では超ボッサボサ頭のスッピン女を好演するなど、芝居のできない金髪モデルと呼ばれていたキャメロン・ディアスは、人知れず積み上げた努力でいつしか実力派の女優となっていきました。ドリュー・バリモア、ルーシー・リューと組んだ『チャーリーズ・エンジェル』シリーズではタフなアクションもこなし、カッコいい強い女像を世間に見せしめました。そんなド派手な映画で成功を収めた後も、キャメロンは『姉のいた夏、いない夏』というインディペンデント映画、『シュレック』シリーズのフィオナ姫の声、トム・クルーズ主演の『バニラ・スカイ』などで、嫌味な女、かわいくてはつらつとした役柄、サイコな女、さまざまな役をこなせる実力を発揮しました。
女優としてのイメージを気にしないのはプライベートも同じで、キャメロンはいつだって自然体。プライベートでパパラッチされる写真を見ると、基本的にノーブラ主義。女優の命である顔面ですら、趣味のサーフィンを楽しんで何度も鼻を骨折していることだって彼女らしい。女優やセレブである前に、自分の人生を自由に楽しんでいる姿は、多くの女性たちから愛されました。
多くの恋を経てたどり着いた真実の愛
キャメロンはこれまで多くの恋愛でハリウッドを騒がせてきました。俳優のマット・ディロン、ハリウッドの問題児と言われていたジャレッド・レトー、9歳下のジャスティン・ティンバーレイク、プロサーファーのケリー・スレイター、イギリス人モデルのポール・スカルフォーやミュージシャンのジョン・メイヤー、ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスなどなど、さまざまな職業のイケメンたち(基本的にみんなイケメン!)と自由な恋愛を楽しんで、独身時代を謳歌しました。
そして2014年、恋多き女が見つけた運命の男性が、キャメロンと仲のいいニコール・リッチーの夫ジョエル・マッデンの双子の兄ベンジー・マッデン。ベンジーとジョエルは、パンクロックバンド「グッド・シャーロット」のメンバーとしても知られる人気ミュージシャン。これまで結婚にクールだったキャメロンですが、42歳だった2015年に交際期間約7か月でベンジーと結婚を発表。それからは女優業をセーブして、2人の生活を優先させています。事実上は引退を宣言していますが、コメディエンヌとしての地位を確立し、女優として輝き続けた彼女は、今年母となり新たな人生を歩みはじめました。自分の人生を、自分の思うように生きるキャメロンは、これからもっと輝き続けていくことでしょう!