なんだこりゃ?異色インディペンデント映画『みぽりん』がやってきた!
まほの別府ブルーバード劇場日記
私がお手伝いをしている別府ブルーバード劇場では、邦画、洋画問わずいろいろな映画が上映されています。メジャーな映画を上映することもあれば、低予算の独立系映画を上映することも。今後大きく花開くかも知れない可能性を秘めた若手監督たちを応援することは、とっても大切であり、同時にワクワクすることです。今月も、素敵な映画がやってきました。(森田真帆)
映画『みぽりん』との出会い
私はいつも別府ブルーバード劇場で上映する映画を、岡村照館長や館長の娘さんのみきさんと3世代に渡って決めています。それでもこの日本では、毎週たくさんの映画が公開されているので、なかなかすべての映画を把握するのは難しい現状でもあります。そんな時に助けられているのが、観客の方からのこの映画をかけて!というリクエストであったり、お友だちの映画ライターさんからこんな面白い映画があったよ!なんていう推薦だったりします。実は映画『みぽりん』の存在を知ったのも、友人のドラァグクイーンであるベビーヴァギーちゃんからの一本の電話がきっかけでした。ヴァギーちゃんは、大阪で映画を紹介する番組のMCをしているのですが、ある日ヴァギーちゃんから「今日来たゲストの監督がすごい面白いのよ! 映画も意味わからなさすぎて、ツッコミどころ満載なんだけど、インパクトが半端じゃないからブルーバード劇場でかけて!」という電話が。早速、本編を観ることにしました。
なんじゃこりゃ!忘れられない変な映画
私、みきさん、そして男性観客の代表としてひろきくんの3人で鑑賞。パニックホラー映画ということで、最初からビクつきまくっていたホラー映画嫌いの私は、ホラーっていう言葉だけで終始何が起きるのか! と身構え続け、そして突然画面に映り込むとあるものに大絶叫をあげていたのですが、後ろで鑑賞していたひろきくんとみきさんは「全然怖くないやん! っていうか、なんかめっちゃ変な映画やで!」と全く怖くない様子。私もラストシーンになると、自分の予想をはるか斜め上をいく展開にびっくりしすぎて、「え! 何この変な映画! やばい!」とパニック状態になるほど。ヴァギーちゃんが言っていた通り、ツッコミどころ満載すぎてしばらく、ありゃなんだったんだとみんなで話していたのです。でもね、私は映画を観た後に、あーだこーだと話す時間ってすごく好きなんです。それで、この『みぽりん』というのは、意外にもそんな時間を私たちにくれる不思議な映画だと思って、別府での上映を決めました。
『みぽりん』の上映が生んだ異様な熱気!
上映決定をお伝えすると、松本大樹監督から「行きます! 自腹で行くので、ご心配なく! 舞台あいさつもします!」というお電話が。うちの劇場は、小さな場所のため、いつもゲストの方々のご好意で舞台あいさつやトークショーが開催されます。だから、こんな風に自分から来ていただける方々ばかりで、本当にありがたいのですが、「神戸からフェリーで行きます!」という監督の気合がめっちゃすごくて、こっちまでうれしくなってしまいました。そして舞台あいさつ前日にやって来た松本監督は、『みぽりん』のチラシを山ほど持って、劇場周辺のお店や通りがかりの人たちにチラシ配り! 自分の作品を観てもらいたいという熱い気持ちが、こちらにまで伝わって来ました。
舞台あいさつの当日は、なんとベビーヴァギーちゃんも応援にかけつけてトークショーに参加。「この映画って、ただ観るだけじゃなくてこの監督の面白トークを聞かないと終わらないのよ!」とツッコミ役でわざわざ別府まで来てくれたヴァギーちゃんの軽快なツッコミで、松本監督が『みぽりん』撮影の裏側を暴露すると客席は大爆笑。ラストシーンの展開について「言ったら出演してくれないと思ったので、3日前に言いました」という衝撃発言にも驚いたけど、映画が大好きで、大好きだった映画をついに撮れたことへの喜びの爆発っぷりはなんだかほっこりさせてくれました。監督の映画に対する思いは、来場していたお客さんにも届いたようで、なんと全員がパンフレットを買って帰ってくれるといううれしい出来事も!
翌日の舞台あいさつでは、映画館の常連さんでもあり、福岡インディペンデント映画祭のスタッフも務めている大塚大輔さんが急遽登壇してくださり、インディペンデント映画の面白さを大いに語ってくれました。この『みぽりん』は本当に観客から愛されていて、ファンの人が全国の上映を追いかけて来ていたり、オリジナルのグッズをファンの人が作って売っていたり、まさかの主題歌まで作られていたりとものすごい熱狂ぶり! 『カメラを止めるな!』をきっかけに、インディペンデント映画に触れる機会も少しずつ増えて来ていますが、皆さんにもぜひインディペンデント映画の楽しさに触れてもらえればと思います!