ついに勃発!囁く者たちとの全面戦争
今週のウォーキング・デッド
「ウォーキング・デッド」シーズン10、後半の3話目となる今回は、ついに大きな出来事が勃発する! その前に心に染みるシーンもたっぷり。“静”と“動”の両方が楽しめる、中身の濃いエピソードになっている!(平沢薫)
※ご注意 なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン10について、後半の「もう観ちゃった方向け」はネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
今週のウォーキング・デッド~シーズン10第11話
<これから観る方向け:ネタバレなし>ビッグイベントと静かな感動、その両方が詰まってる!
シーズン9で“囁く者”が初登場して以来、いつかやってくると思っていたあの出来事が、ついに始まる。はたしてその内容は、ここまで待たされたファンの期待に応えてくれるのか、今回から始まる大きなドラマが見逃せない。
さらに今回は、そのビッグイベントを前に、主要登場人物たちが、お互いの気持ちを確かめ合ったり和解したりするシーンが続々。今回は、これらの心に響く静かなシーンと、怒涛のエピック的シーン、その両方が楽しめるのが魅力。
監督マイケル・E・サトラゼミスは、シーズン4から本作に参加している常連で、このシーズン後半の初回エピソード、第9話「暗闇」に続く登板。このシリーズをよく知る監督ならではの演出で、人気キャラたちの感動的なシーンを盛り上げてくれる。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>戦闘描写も新鮮!戦闘前の和解と友情のシーンが胸に染みる
待ってました! シーズン9で“囁く者たち”が登場して以来、いつか起きると思っていた“囁く者たち”との全面戦争。それがついに勃発した。
今回の前半は、その戦いを前に、友たちが絆を確かめ合うシーンが続くので、戦闘開始は次回に持ち越しなのかと思ったら、そんな予測を裏切って後半でスタート。そして、今回は序盤戦だけで、次回に続くという演出もうまい。
しかもこの戦闘の描き方が、新鮮。ただ両者が入り乱れて戦うのではなく、各陣営がどんな仕掛けを準備したのか、どのように攻撃するのか、戦術が段階ごとに具体的に描かれる。人気テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の戦闘シーン描写の影響を感じさせるこの演出が、「ウォーキング・デッド」に新たな魅力をプラスしてくれた。
この戦闘の前に、人気キャラたちの感動的なシーンを連打するという演出も巧み。まず、キャロル(メリッサ・マクブライド)とエゼキエル(カリー・ペイトン)の和解。彼の説得でキャロルはアレクサンドリアに戻り、彼の病気についても知る。この大人のカップルの落ち着いた雰囲気がいい。また、今は無線の通信相手に恋するユージーン(ジョシュ・マクダーミット)と、彼がかつて片思いしていたロジータ(クリスチャン・セラトス)は、友情を再確認。リディア(キャサディ・マクリンシー)とキャロルが思いを語り合う。ダリル(ノーマン・リーダス)とジュディス(ケイリー・フレミング)の怖いのは守れないことだという対等な会話も。
そして、キャロルとダリルの和解。前々回、キャロルは洞穴崩落の原因となり、ダリルに「わたしのせいだと言って」と言ったが、今回はダリルに「わたしを嫌わないで」と言う。するとダリルが返答する、「嫌ったりしない(I'm never gonna hate you)」が胸を打つ。
その前半のしんみりするシーンの締めくくりに、ユージーンが歌を歌う、という意表を突く行動を持ってきて、その歌が流れる画面に人々の戦いに備える姿を映し出していくという演出も感動的。映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでホビットのピピン(ビリー・ボイド)が歌う場面を思い出したりもさせられる。ちなみにユージーンが歌うのは、アカペラなのでかなり雰囲気は違うがヘビメタバンド、アイアン・メイデンの「When the Wild Wind Blows」とのこと。そして「ウォーキング・デッド」ファンはこれらの感動的なシーンを観ていると、ついつい、この戦いでこの中の誰かが死ぬのかもしれないなぁ、と思ってしまうのだ。
一方、気になるのがニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)の動き。前々回でアルファ(サマンサ・モートン)に急接近したニーガンは、何を企んでいるのか。今回は儀式を経て“囁く者”の一員になる。戦いの前にアルファに、虐殺するよりも「最高の気分になるのは、クソどもを降伏させひざまずかせることだ」と提言するところは、彼の目的はアレクサンドリアの人々の命を救うことなのか(?)とも思わせる。そして戦闘中にアルファに「彼らを引き入れるんじゃないのか?」と問うが、アルファが「ウォーカーの群に引き入れる」と答えると「こりゃまいった」と笑い飛ばしたりもする。はたしてニーガンの真意はどこにあるのか。
ともあれ、ついに戦闘は始まった。柵を燃やされて退路を絶たれたダリルたちは、これからどうするのか? 次回を見逃すわけにはいかない。