ウーマンラッシュアワー驚がく!華やかな芸能界に隠された闇
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は主演のレネー・ゼルウィガーがハリウッドの伝説的な女優ジュディ・ガーランドを熱演し、アカデミー賞主演女優賞を授賞した映画『ジュディ 虹の彼方に』をななめ見!(取材・文:森田真帆)
『ジュディ 虹の彼方に』公開中
『オズの魔法使』『スタア誕生』で知られる女優・歌手のジュディ・ガーランドを、『シカゴ』などのレネー・ゼルウィガーが演じた伝記ドラマ。47歳の若さで亡くなる半年前に行ったロンドン公演に臨むジュディを映し出す。
初めて知った女優ジュディ・ガーランド!
中川パラダイス(以下、中川):めっちゃ切ない話やったなぁ。劇中で描かれたロンドン公演のすぐ後にジュディは死んでしまったんやな。映画の中だともっと年上に見えたけど、まだ40代やったって。 このジュディ・ガーランドって女優さんのこと全然知らんかったけど、実話って聞いてびっくりしたわ。
村本大輔(以下、村本):オレも知らんかった。でも、この映画観た後に、調べたわ。そしたらLGBTのレインボーパレードのレインボーは、ジュディが主演した『オズの魔法使』で歌った「虹の彼方に」の虹からきてるって知った? 劇中に出てきたあのゲイのカップルのファンも、そのLGBTの人たちとの関係に繋がってるらしい。
中川:僕も映画観た後に調べたわ。『オズの魔法使』、ちょっと観てみたいなって思ったもんな。
村本:パラダイスが映画観た後に調べ物するとかめっちゃ奇跡やん! 多分オレらみたいにジュディのこと知らない人が観たとしても、きっと映画が終わった後、ジュディのこと調べて考えてしまうんやろな。映画ってのは、時代も国も違う人を知る窓口になっててすごくいいと思ったな。
パラ兄まさかのステージパパに!?
村本:ジュディは、子役の時からずっとショービジネスの世界に縛られていたのがわかるよな。しかも周りにはひどい大人ばかりで。今は#Me Too運動もあるから、あんなひどい状況は改善されていると思いたいけど、覚せい剤を飲まされたり、睡眠薬を飲まされたりほんまにひどかった。
中川:あの薬を飲ませてたりするのって、お母さんなんかな。だとしたらめっちゃひどい話よな。この映画観たら、こういう世界に入りたくなくなりそうやわ。
村本:そうやな。『オズの魔法使い』のときも、大人たちがジュディで儲けようとピノキオのキツネのように華やかな世界に誘惑して、現実を恐ろしく伝えるやろ。例えば、一般人の世界の女は老けて惨めだみたいなさ。ジュディは子供だったから甘い誘惑に乗っちゃうわけやん。でも人として愛されたい気持ちの強い彼女は何度も途中で自由を求めて、その度に彼女を道具扱いしている大人たちに恐怖で縛られてしまう。結局、悪循環で、離婚して孤独になって。ショービジネスの世界から抜け出せなくなってしまったんやろうな。パラダイスは、自分の子供を芸能界に入れようと思ったことあるん?
中川:いや、芸能界に入れたいと思ったことはないけど、こないだYouTuberと話したら、今子供がいろんなおもちゃで遊ぶ動画が流行ってるらしくてな、人気の動画は1本何百万円とかもらえるらしいねん。すごない!?
村本:思いっきり子供で商売しようとしてるやんけ!
普通の人に憧れる!?
中川:子供もおるのにかわいそうやったな。ていうか、子供の頃から飲んでいたのって覚せい剤やったんやな。全然気づかんかったけど、子供の頃からあんな風に薬ばっかり飲まされて、睡眠薬飲んで、酒も飲んでたら、それは体も壊すわ。
村本:パラダイスにはストレスというものがないから、わからんやろな。睡眠薬とか飲んだりしたことないやろ。めっちゃ眠れてそうやし。
中川:そもそもストレスとかあんまり感じたことないし、芸能人だから嫌やなって思うのは家族でディズニーランドに行ったときに、写真撮ってくださいって頼まれた時くらいかもしれへんわ。そういう時は子供と嫁さんを待たせなあかんからディズニーの時間がもったいないなぁって。
村本:パラダイス、いつもマスクもサングラスもかけへんもんな。
中川:そやで。いっつもそのままやし、芸人やからって面白いことしてとか言ってくるようなめんどくさい人への対処法も考えてるから安心なんや。
村本:何それ?
中川:全然知らんけど、芸人さんやったら面白いことして~って言ってくる人おるやん。そういうのはな、男だったら面白いことしますけど、○門見せてって言って、女だったら面白いことしますけど、○っぱい揉ませてなって言うねん。ちゃんと金払って芸するのと一緒やもん。
村本:そんなんお前だけやわ! オレはジュディの気持ちがわかる芸能人は多いと思うで。みんなスターというものに憧れるし、人というものにも憧れる。それは多くのショービジネス界で生きてる人たちの葛藤だと思った。オレも一度は芸能界というところにいたけど、今は独演会を毎日のように50人規模の小さな場所でやってる。そこは自分を金の卵だとは思っていない人たち、自分を肯定してくれる人たちと繋がれる唯一の場所で、ジュディにとってのライブの場所と同じ。ジュディも一度は大スターになったけど、結局いつも自分のステージを見に来てくれるお客さんの顔は覚えてるやろ。それはオレも思う。客席にいる純粋なファンの顔は、オレらの支えになっていて、ちゃんと覚えてるもんや。
※記事内容には個人の意見が含まれています。
映画『ジュディ 虹の彼方に』は全国公開中
映画『ジュディ 虹の彼方に』公式サイト
(C) Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。