女性の人生は誰のもの?短編アニメに込められた力強いメッセージ
10分の極上無料短編映画体験
ブリリア ショートショートシアター オンライン × シネマトゥデイコラボ企画
ショートフィルムが無料で楽しめるオンライン映画館「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE(ブリリア ショートショートシアター オンライン)」では、これまで毎週1本ずつ、10~20程度の短編映画(ショートフィルム)を配信してきた。この4月からは水曜夜はわたし時間という新しいキャッチフレーズのもとに、水曜日に配信開始日を変更することになった。目指すのは、週の中日にエネルギーをチャージする、映画のあるライフスタイルだ。特に生活のリズムを崩しやすいテレワークをされている方は、毎週の決まりごとを作ると暮らしが前向きに変わるかもしれない。
ここでは、4月配信作品の中からこだわりの作品を紹介しよう。
イラン発、女性の自由を問う作品『ビーチフラッグ / Beach Flags』
『ビーチフラッグ / Beach Flags』
監督 サラ・サイダン
製作年 2014年
製作国 イラン・フランス
上映時間 約14分
配信期間 4月1日~6月30日
4月1本目の作品は、イラン出身のアニメーション作家が制作した短編アニメーション。主人公の女性ヴィダはライフセーバーで、国際的な競技大会への出場を目指して仲間たちと日々トレーニングに打ち込んでいる。そんなある日、監督が有望な新人・サレを連れてくる。身長も足の速さもヴィダの上を行くサレに、ヴィダの心中は穏やかでない。そんな折、ヴィダは買い物に出た街でサレの思わぬ姿を目撃する……。
監督の故郷・イランの封建的な地域社会を背景とした物語。「女性の人生は誰のものなのか?」シンプルで強いメッセージが込められた社会派の一本だ。声の出演は同じくイラン出身でフランスを中心に活躍する女優・ベヒ・ジャナティ・アタイが務める。
ショートフィルムならではのワンシチュエーションドラマ『二つの窓 / Two Windows』
『二つの窓 / Two Windows』
監督 ティム・エルリッヒ&レオンハルト・カウフマン
製作年 2015年
製作国 ドイツ
上映時間 約10分
配信期間 4月15日~7月14日
一人暮らしの男性・へルムトがテレビアンテナを修理しようと窓枠に立っていると、隣室の住人・ワルターが窓越しに声をかけてきた。ワルターは、これから飛び降り自殺をするという。思いとどまるよう必死に説得をするへルムトだったが……。
ショートフィルムにできて、長編映画にできないこと。それは、アイデアひとつで映像化ができる点だ。この映画がいい例だが、ワンシーンをワンカットで描く作品は少なくない。窓辺で二人の男が会話している(だけ?)の10分強。カメラは定点で固定。長編では描けない、10分だから成立する作品といえるだろう。長編小説と短編小説の違いと同様、短編には短編のリズム感や尺がある。短い、低予算と侮ることなかれ。短く描き切る作品を観て、ショートフィルムの魅力にハマる人も多い。
好きという気持ちの原体験をたどる『アグネス / Agnes』
『アグネス / Agnes』
監督 アンジャ・リンド
製作年 2015年
製作国 スウェーデン
上映時間 約15分
配信期間 4月29日~7月28日
最後は、映画らしく登場人物の繊細な心の動きを描く、北欧スウェーデン発の作品をご紹介。幼いアグネスは母親と歳の離れた兄と暮らす。とにかくお兄ちゃんが大好き。お兄ちゃんのために朝食を作ってベッドまで届けるというベタベタぶり。ある日、お兄ちゃんが付き合っている彼女がやってきた。お兄ちゃんがわたしのお兄ちゃんじゃなくなる……!? 焦りと不安を抱きつつ、それをうまく表現できないアグネス。つい、お兄ちゃんへの当たりも強くなってしまう。歳の離れた兄弟や従妹を持つ人なら、こんな気持ち一度は味わったことがあるのではないだろうか。
新型コロナウィルスの流行で、思ったような外出ができない今の社会状況。いろんな情報に流されそうになるけれども、毎日毎週のリズムを保ち続けるのもコロナとの闘いの一つといえるだろう。お気に入りのお酒やおつまみ、温かい紅茶やお菓子を用意しておうちシネマを楽しもう。(大竹悠介)
今回紹介した各作品は「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」で期間限定配信中および配信予定。