マーベルあるある言いたい
アイアンマンやスパイダーマンなど、マーベルコミックスに登場する人気キャラクターの映画作品を総称したマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。その全23作に共通するあるあるを紹介します。(文・杉山すぴ豊)
理系のヒーローが多い
アイアンマン、ハルク、シュリ、スパイダーマン、アントマン、ワスプ、ジェーン、ロケットといわゆる科学者系やエンジニア、理工的な知識を持ったヒーローが多く、自ら高性能な武器や装置を組み立てます。マーベルのキャラクターの多くは、宇宙開発や原子科学が花開いた1960年代にコミックスでデビューしたヒーローたちが多いので、その影響のよう。
タイトルが長い
Twitterや字数の決まっている原稿でMCU作品を紹介する際、これが結構な悩みのタネなのですが、タイトルの字数が長い(笑)。特に『キャプテン・アメリカ』シリーズはヒーロー名も長いのに、さらに『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』と副題部分も字数をくいます。これから公開されるMCUには『シャン・チー・アンド・ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス(原題) / Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings』『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題) / Doctor Strange in the Multiverse of Madness』とこれまた長い。シンプルに1、2、3とナンバリングなのは『アイアンマン』シリーズぐらい。劇中でそのキャラクターがどういう存在なのかをキチンと表示するのがMCU流。
スタン・リーが出てくる
これはあるあるというよりもはや常識ですが、 マーベルコミックスの世界を創り上げた偉大なるクリエーター、スタン・リー氏が必ず出演しています。2018年に逝去されたので、最後の出演は『アベンジャーズ/エンドゲーム』までです。各作品で毎回違った役柄で出てくるのですが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』で明かされたことによると、実は彼は“ウォッチャー”という宇宙の出来事を監視する超存在の頼みでMCUの世界をいろいろ見ていたから、という説明がなされています。
父親がひどい
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に登場したスター・ロードの実の父エゴ、ガモーラとネビュラの養父サノス、ソーとロキの父オーディン、ブラックパンサーの父ティ・チャカなど、ヒーローの父親たちのそりゃないでしょう的なふるまいが宇宙の危機を招くというパターンが多い。アイアンマンことトニーも父親ハワードへの反発から少しひねくれてしまったところもありますが、結果父の愛を知ります。逆にアベンジャーズの強敵ウルトロンはトニーによって生み出されたから、ウルトロンの凶行は父親であるトニーへの反発だったかもしれません。
悪人にかわいげがある
ヒーローに対して戦う悪役をヴィランといいます。基本的にヴィランたちは恐ろしい計画をたててヒーローたちがそれを阻止するというパターンです。ただMCUの場合、ヴィランを完璧かつ無敵の悪として描くというより、彼らにもちょっと人間味ある、どこか間抜けなところもある愛すべきキャラクターとして登場させています。例えばMCU最強のヴィランであるサノスはスパイダーマンに蜘蛛糸を顔にかけられ結構慌てます(笑)。これはマーベルコミックスの世界を創り上げたスタン・リーが「この世に完璧なヒーローなんていない、だから完璧な悪党もいない」という視点でキャラクターを作ったからだとされています。
ヒーローの食事シーンが多い
トニー・スタークがチーズバーガーほおばりながら記者会見する、ソーがカフェで「おかわり」とカップをたたきつける、キャプテン・アメリカが超人ゆえ飲んでも酔えない、『アベンジャーズ』で戦いの後、アベンジャーズがファーストフード店で黙々とシュワルマを食べるシーン、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』での食事をしながらの作戦会議など、ヒーローたちもちゃんとお腹がすくみたいなリアリティーをまぜていくのもMCUのうまいところです。
仲間内でヒーロー名は使わない
例えばブラック・ウィドウはナターシャ・ロマノフという本名がありますが、アベンジャーズのメンバーが彼女をブラック・ウィドウさん的に呼びかけることはなく、愛称の“ナット”で呼びます。アイアンマンとキャプテン・アメリカが会話するときも“トニー”“スティーブ”と呼び合います。つまりヒーロー名というのは対外的な職場の肩書みたいなもので、仲間内では本名で呼び合っています。ソーはヒーロー名と本名が一致していますが。キャプテン・マーベルに至ってはいつもキャロルかキャロル・ダンバースと呼ばれています。MCUの中で彼女が初めてキャプテン・マーベルと言われたのは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でスパイダーマンことピーターのセリフの中です。
虫の名前がついたヒーローが多い
スパイダーマン(くも)、アントマン(あり)、ワスプ(はち)、そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』から登場した、頭に触角のあるテレパスの女性はマンティス(かまきり)です。さらにブラック・ウィドウもクロゴケグモというクモに由来し、ブラック・ウィドウのシンボルともいうべきあのマークはまさにこのクモの模様をイメージしています。
ゲームに注目するとMCUに登場する新ヒーローがわかる?
マーベルはさまざまなヒーローのゲームを出していますが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのロケットやキャプテン・マーベルは映画でデビューする数年前から世界的に発売されるゲームに登場していました。つまりゲームでキャラを浸透させてから映画でデビューというパターンが多いようです。2020年9月4日、スクウェア・エニックスから発売されるアベンジャーズのゲームにミズ・マーベルというヒーローが登場します。彼女は近々、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」のMCUドラマでデビューが決まっているので、これもうまくゲームとMCUの展開を連動させた例といえます。
女性ヒーローが多い
MCUでは超人女性をスーパーヒロインとはいわず女性ヒーローという言い方をします。そして多くの魅力的な女性ヒーローが登場します。ブラック・ウィドウ、シュリ、オコエ、ワンダ、ワスプ、ガモーラ、ネビュラ、ヴァルキリー、マンティス、アイアンマン・スーツを着たペッパー・ポッツ、キャプテン・マーベル。『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも女性ヒーローたちが集結するシーンが圧巻でした。マーベルコミックスにはA-Forceという女性ヒーローだけで構成された女性版アベンジャーズのようなチームがあるので、いずれMCUにも登場するかも。
いかがだったでしょうか? MCUはまず余計なこと考えず楽しむ。そして見直すときには、こうしたあるあるを頭に入れておくと楽しい発見がありますよ!