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トラウマ映画5選 「呪怨:呪いの家」三宅唱監督に聞く

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呪怨:呪いの家
Netflixオリジナルシリーズ「呪怨:呪いの家」は7月3日より全世界独占配信

 大ヒットホラーシリーズ『呪怨』をNetflixで初めてドラマ化する「呪怨:呪いの家」(7月3日配信スタート・全6話)で、『きみの鳥はうたえる』(2018)などで高い評価を受ける三宅唱監督がホラーに初挑戦しました。もともとはホラー映画が大の苦手だという三宅監督が、トラウマになったという5本の映画を紹介。「なぜかあのカットは強烈に覚えている……」そんな感覚を基準にセレクトしていただきます。(取材・文:編集部 石井百合子)

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三宅唱
三宅唱監督

『ゴジラVSビオランテ』(1989)

監督:大森一樹 出演:三田村邦彦、田中好子、高嶋政伸ほか

ゴジラVSビオランテ
「ゴジラVSビオランテ <東宝DVD名作セレクション>」DVD発売中 発売・販売元:東宝

 『ゴジラ』シリーズ第17作。新宿副都心の大破壊から5年後、核兵器を無力化する威力を持つ抗核バクテリアを作り出すゴジラ細胞(G細胞)の争奪戦が繰り広げられる日本。遺伝子工学の権威である博士が、人間の細胞を融合させたバラの種子にG細胞を組み込んだことから、巨大怪獣化したビオランテが誕生する。

 「5歳のころに、親に連れられて観に行ったと思います。たしか、ゴジラの映画を観に行くとオマケがもらえて、それがすごく欲しかった記憶があるんですよね。映画は……オフィスの窓の外にゴジラがヌッと現れる瞬間が目に焼き付き、大きな窓がトラウマになりました。当時は本物だと思って観ていたので、窓の外にありえない巨大な生き物がいるのが怖くて怖くて。それにビオランテの造形。特に触手と無数の歯が怖かったですね。大体、植物が動くなんて意味がわからなくないですか……」

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『グレムリン』(1984)

監督:ジョー・ダンテ 出演:ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ホイト・アクストンほか

グレムリン
(C)Warner Bros. Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

 水に濡らしてはならない、真夜中過ぎに餌を与えてはいけない、光に当ててはいけない、という不思議な動物を巡るパニックスリラー。発明家ペルツァーがチャイナタウンの骨董屋で見つけたモグワイという愛らしい生き物を手に入れ、息子にクリスマスプレゼントとして贈る。しかし3つのルールはいとも簡単に破られ、モグワイは凶暴な怪物グレムリンへと増殖し、街は大パニックに陥る。

 「今でこそ愛らしい映画だと思いますが、小学生になる前に観たので怖かったんですよ。あのネチョネチョしたさなぎ状態とか……。増えたりするのも意味がわからないですし。というか、ぬいぐるみ(ギズモ)が動いてしゃべっている時点で怖かったんですよ。変身前すら怖く、変身後のビジュアルには耐えきれなかったです。子どものときは『ホーム・アローン2』の鳩おばさんだって怖いんです。それに、3つのルール。禁忌、タブーを破る怖さ。“うっかり水をこぼす”という自分でも簡単にやらかしそうなことが惨事のキッカケになってしまう怖さったらないです!」

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『バスケットケース』(1982)

監督:フランク・ヘネンロッター 出演:ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック、テリー・スーザン・スミスほか

バスケットケース
(C)Photofest/ゲッティ イメージズ

 切り離され肉塊となった結合双生児の兄が、弟の力を借りて少年期に自身を殺そうとした医師たちに復讐するホラー。弟のドウェイン(ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック)は兄ベリアルをバスケットケースに隠して医師のもとへ連れていくが、ドウェインが受付の美女と恋仲になったことから兄との関係に亀裂が生じていく。カルト的な人気を博し、シリーズ化され3作まで作られた。

 「11歳の時に、友達から当時流行していた『X-ファイル』のビデオが手に入ったぞ、と騙されて観ました。(切り離された双子の兄ベリアルへの)恐怖というか、ある種の嫌悪感みたいなもの。でも何か感情移入をしてしまって生まれる哀しみ。普段あまり味わえない感情が湧きました。友達の家で数人と観たんですけど、怖くても途中でギブとか無理なんですよ。男の意地というか、少年なりの意地というか。必死になって観たけど、もうマジで嫌でしたね……」

『キャビン・フィーバー』(2002)

監督:イーライ・ロス 出演:ライダー・ストロング、ジョーダン・ラッド、ジェームズ・デベロほか

キャビン・フィーバー
(C)Lions Gate Films/Photofest/ゲッティ イメージズ

 『ホステル』シリーズや『グリーン・インフェルノ』などのイーライ・ロス監督の長編デビュー作で、19歳の時ロス自身が体験した皮膚病を基に描いたスプラッタ映画。学生生活を終えた5人の若者が人里離れた森を訪れたところ、肉体が腐る謎の伝染病が蔓延し、楽しい夏休みが地獄絵図と化していく。2016年にはイーライ監督が製作総指揮として参加したリブート版も制作された。

 「大学生のころにバイト先(シネセゾン渋谷)で映写した一本です。この映写室には“出る”という噂があって、映写室で一人きりで仕事をするのが本当に嫌で。耳慣れたはずの映写機の音すら怖かったです。映写室では、その都度チェックのために観るので部分的にしか観ていないんですけど、『こんなに大写しでひどいことが続くんかい!』と激しく思った記憶があります。今はなき映画館ですが、映写室の空間は今どうなっているんだろう……。キアヌ・リーヴスが美女2人にひどい目にあう『ノック・ノック』もパンチが利いていていいですよね。いかにもありそうな話で……」

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『孤独な場所で』(1950)

監督:ニコラス・レイ 出演:グロリア・グレアムハンフリー・ボガートほか

孤独な場所で
(C)Columbia Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

 ジェームズ・ディーン主演作『理由なき反抗』(1955)の名匠ニコラス・レイによるフィルム・ノワール。殺人容疑をかけられたハリウッドの脚本家ディクソン(ハンフリー・ボガート)は、同じアパートに住むグレイ(グロリア・グレアム)の証言により助けられ、2人は恋に落ちる。仕事に没頭するディクソンを献身的に支えるグレイだったが、次第に彼の狂暴性に不安を抱き、彼が本当は殺人犯なのではないかと疑い始める。

 「これも大学生のころに観ました。ボガート演じる主人公が暴力をふるってしまう瞬間があるのですが、その異様さというか。本人もわかっているのにやってしまう。何かにとりつかれているとしか思えないというか。それがすごく強烈に残っていて。自分に暴力衝動がないので感情移入なんてしようがないキャラクターなんですけど、にもかかわらず彼に信じられないくらいのめり込んでしまって、見終わった瞬間にまるで自分が暴力を振るってしまった、恐ろしい人間になったような生々しい感覚がありました。なぜか観た後、数日高熱にうなされました。映画としても一級の作品だとは思うんですけど……」

呪怨:呪いの家
「呪怨:呪いの家」より

 他にも「ラストが最悪」として『ショーシャンクの空に』のゴールデンコンビ、スティーヴン・キング原作×フランク・ダラボン監督のスリラー『ミスト』(2007)も挙げた三宅監督。これまでは脚本も兼任してきましたが、「呪怨:呪いの家」では高橋洋一瀬隆重から脚本を得て、呪われた家を取り巻く人々の惨劇を多彩な恐怖描写を交えて描きます。

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