村本のウディ・アレン監督愛が爆発!
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、村本が心から愛するウディ・アレン監督の最新作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』について語ります!(取材・文:森田真帆)
『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』7月3日公開
マンハッタンが舞台のロマンチックコメディー。甘いひとときを過ごそうとする若いカップルに、次から次へと思わぬ事態が巻き起こる。監督と脚本を務めるのは『女と男の観覧車』などのウディ・アレン。『君の名前で僕を呼んで』などのティモシー・シャラメ、『マレフィセント』シリーズなどのエル・ファニング、『ゲッタウェイ スーパースネーク』などのセレーナ・ゴメスのほか、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナらが出演する。
巨匠ウディ・アレン監督を知らない中川に激怒!?
村本大輔(以下、村本):今回はめちゃくちゃうれしかったんですよ。僕はウディ・アレン監督が好きだからね! 映画『ミッドナイト・イン・パリ』とか、もう最高! だから、新作が公開されるって聞いて絶対に観たかった。めちゃくちゃうれしいわ。
中川パラダイス(以下、中川):え? なんて? ウディ?
村本:ウディ・アレン!
中川:え? ウディ・新井? って誰? あの金髪の女の人?
村本:マジで知らんのか? ウディ・アレン知らんのか?
中川:知らん。誰? 村本は、よう監督とかで映画観てるけど、僕は何も情報入れずに観ているの。だから今回もさ、なんかサスペンスみたいな殺人とか、何かしら起こるんかな~って思って観てたけど、結局そんなすごいことは起こらんかったな。
村本:だからそれがウディ・アレンの映画の素敵なところやねん。抑揚があるわけでもなく、小さな出来事が起きて、ふわっとオシャレにムーディーにだらっとずーっと観れるところが好き! ウディ・アレンファンとしてはもう120点やったわ! 今回もずっと観ていたかったし! 終わり方がさ、雨とともにまた恋が始まるみたいな。その日常さがいいわけよ。登場人物もみんな特別な人たちではなく、最低な女の子でも、最高な男の子でもない、普通の子たちの日々に起きた事件たち。
村本がニューヨークの美しさを熱弁!
村本: あとウディ・アレンはヨーロッパもいいけど、やっぱり地元のニューヨークはいいなぁ。やっぱりニューヨーカーが撮っているから愛が違うわ。ニューヨークを一番オシャレに撮れる人だと思う。
中川:あれニューヨークかぁ。まあでも物語が始まったら、そんなに景色とか気にならんかったな。だって別にニューヨークじゃなくても特に変わらん物語やろ! まぁ、オシャレではあったわ。
村本:お前なぁ、絶対パリとか好きじゃないやろ! ニューヨークは特別な街なの! あの町並みを歩いているだけでめっちゃええやん。ホテルの雰囲気とかさ、美術館の感じだったり、雨の中を走る黄色のタクシーだったり、セントラル・パークだったり、最高なわけ! お前みたいに、ニューヨークの良さがわからんやつにはこの映画の素晴らしさは絶対に伝わらんと思うわ。
中川:ニューヨークってだけでオシャレやもんな。あのジャズバーみたいなところとかも村本が好きそう!
村本:お前みたいに、酒や女遊びができるところにしか興味を持てないやつには、ニューヨークの良さはわからんわ。
中川:でもさやっぱり女の子とかは好きそうやな。オレはバンコクやマカオが好きだからな(笑)。
セレブに舞い上がっちゃう女子心!
中川:あの彼女がさ、インタビューで会った俳優さんに舞い上がっちゃう感じは、よくわかるわ。芸人のファンの女の子たちも、突然声をかけられたらあんな風に舞い上がっちゃう感じ。
村本:ほんまは彼氏がいるのに、「あ~、彼氏はいませんね」って嘘ついちゃう感じとかな。多分さ、セレブにしてみれば日常のことなのよ。出会った女の子に気軽に声をかけちゃうのも。でも田舎から来た女の子にしてみれば、すごく特別でさ。そうなっちゃう気持ちもわかるわけ。だから、彼女自身悪い子ではなくていい子なんだよ。でも、好きな芸能人が声をかけたら一気に舞い上がっちゃうのは仕方がないよね。
中川:まあ僕はファンにはいかへんからな。
村本:いやお前何言ってんねん。お前の奥さん、一番のファンやったやんけ!
中川:そうや。奥さんだけ! ファンなんて近すぎるしさ、あんな目にあったら後で何を言われるかわからんしめっちゃ怖いやん。あの金髪の子も、もしかしたら後で雑誌とかにしゃべるかもわからんやん。だから、奥さん以外のファンにはいかんねん。
村本:それは、お前にファンがおらんからや! それよりファン、いく、いかへんの感覚とちゃうねん! そんな低俗な話じゃないねん! もっとロマンチストな話をしようぜ! なんかニューヨーカーが、生粋のニューヨーカー女子に心を動かされちゃうのもわかるねん。あの金髪娘はめっちゃいい子かもしれないけど、でもさあまりにも純粋だとそれはそれで刺激がないのよね。男としては全部イエスで聞いてくれるだけのかわいい女の子よりも、ああいうニューヨークのズケズケした女の子の方が一緒にいて楽しかったりすんねん。
ウディ・アレン監督が作り出す主人公は村本自身!
村本:ウディ・アレンの作品を観ると、オレは主人公と自分をつい重ねてしまうわけ。あの神経質なところとか、彼女に対してめっちゃ怒るところとかさ。両親と会ったら揉めちゃうところとか。皮肉屋なところもそうやな。だから、よっしゃ、ニューヨークを案内してやろう! って気持ちだったんやと思うんけど、仕事とはいえ、達成できなかったことがめっちゃ悔しいのもわかるわぁ。
中川:共感かぁ、共感は誰もできなかったなぁ。僕は客観的に観ていた方やと思うわ。出て来た人みんな、僕にはない一面があったからそこは面白かった。それより、ちょいちょい小ネタみたいなん挟んできてたよな。ついつい笑ってしまうみたいな小ネタ。
村本:ウディ・アレン監督はもともとコメディアンやし、そういうの入れてくんねん。手法としてはめっちゃベタな笑いやねんけど、コメディアンの人が作ってる感じがする。北野武映画みたいな感じだよね。たけしさんも映画の中にちょいちょい笑いを入れてくるやん、映画の中に入れてくるわかりやすい笑いがたくさん入っているわけ。その一方で、こちらがキュンキュンしちゃうようなラブストーリが作れちゃうわけで、現代に無理やり合わせてないからそれがいい。わかりやすい一方で、王道のハッピーエンドがないっていうのもええよな。
中川:不倫が見つかって、バタバタする感じのとことかめっちゃコントっぽかったもんな。
村本:あのクラシックなスタイルの笑いに、ロマンチックな恋模様、雨のニューヨーク、ジャズ! もう最高! ほんまに良かった! 素晴らしい人間賛歌やったわ!
中川:なるほどなぁ。ジャズが流れていたのなんか、全然気づかんかった。今の村本の話聞きながら、なんか悲しくなった。
村本:この映画の良さがわからんかったら、もう一生YouTubeを観ていればいいわ。中川みたいにTikTokやYouTubeばっかり観ているからこういう映画が若い人たちに響かなくなってくるんやろな。佐藤健のドラマよりも、こういう良質なラブコメディーを観てほしいわ!
※記事内容には個人の意見が含まれています。
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は全国公開中
映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』公式サイト
Photography by Jessica Miglio (C) 2019 Gravier Productions, Inc.
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。