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刺激的で上質な青春映画!8月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 今月の5つ星映画は、サンダンス映画祭審査員特別賞受賞作、人気青春漫画の映画化、女優オリヴィア・ワイルドの監督デビュー作、NHK傑作ドキュメンタリーの劇場版、トニー賞11冠の傑作ミュージカルの映画版。これが8月の5つ星映画5作品だ!

逃げずに自分と向き合えるか

ハニーボーイ
(C) 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

ハニーボーイ』8月7日公開

 ハリウッドを代表するスターの一人でありながら、私生活では何かとお騒がせなシャイア・ラブーフが、リハビリ施設で治療の一環として書いた自伝的脚本を映画化した本作。横暴な父親に振り回される人気子役の葛藤と成長の物語で、シャイア自ら父親を怪演している。「人生で信じられないほど苦しい時間を映画にできるのは、僕のキャリアの中で最大の成果」とコメントしているシャイア。彼の親友でもあるアルマ・ハレル監督が、美しい色彩と幻想的なシーンを交えながら、逃げずに自分と向き合うことで新たな一歩を踏み出す尊い人間ドラマを描き切った。役者たちの情緒的な演技も素晴らしく、特に父親の呪縛に耐える12歳の主人公を演じたノア・ジュープには惹きつけられる。背伸びせざるを得なかった子の悲嘆をあふれる熱量で表現。『クワイエット・プレイス』『フォードvsフェラーリ』などで磨かれた実力が、彼のかわいらしい魅力と共に示されている。(編集部・小松芙未)

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切なくて美しい!青春のきらめき

思い、思われ、ふり、ふられ
(C) 2020「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C) 咲坂伊緒/集英社

思い、思われ、ふり、ふられ』8月14日公開

 「ストロボ・エッジ」「アオハライド」などで知られる咲坂伊緒の人気漫画を原作に、同じマンションに暮らす高校生4人の切ない恋を描く。まず、青春のきらめきを一つの取りこぼしもなくスクリーンに収めたような映像に心を奪われてしまう。美しいものをより美しく映し出す三木孝浩監督の面目躍如。それがまた、青春の尊さを体現したようでもある。浜辺美波北村匠海の『君の膵臓をたべたい』コンビは、若手俳優のなかでも第一線で経験を積んできた2人だからこその安定感。そこに福本莉子赤楚衛二というブレイクが期待される2人が加わることで、4人の主人公が絶妙なバランスで物語を織りなしていく。そうして、4者4様の恋模様の行く末をどこまでも追っていきたくなる世界が出来上がった。不意をついて登場する、少女漫画原作らしい胸キュンシーンがアクセント。Official髭男dismによる主題歌も感情移入を加速させる。(編集部・小山美咲)

刺激的!青春したい優等生JKの濃すぎる卒業前夜

ブックスマート
(C) 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』8月21日公開

 『トロン:レガシー』などで知られる女優オリヴィア・ワイルドの監督デビュー作は、優等生の女子高生コンビが主役の青春コメディー。優等生エイミーとモリーは、遊びと学業を両立させ、レベルの高い進路を決めたリア充同級生たちに衝撃を受け、卒業前夜で4年間分の青春を満喫しようと卒業パーティーへと繰り出す。学業第一だが、恋愛や性にオープンな女子高生役に、ケイトリン・デヴァービーニー・フェルドスタインの実力派コンビが挑戦。リアリティーあるセリフと抜群のコメディーセンスで、等身大の学生を演じ切った。『ビバリーヒルズ・コップ』などの刑事バディー映画から影響を受けた点もユニークで、主役コンビの友情をパワフルかつ泥臭く描いているのが新鮮。ストップモーション・アニメーションを盛り込むなど、監督の斬新な演出方法にも驚かされる。ライアン・レイノルズテイラースウィフトら著名人が絶賛するのも納得がいく、上質な青春映画だ。(編集部・倉本拓弥)

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命を奪うことの重みを知る濃密な99分間

僕は猟師になった

僕は猟師になった』8月22日公開

 京都で19年にわたって猟を続ける千松信也さんに密着した2018年のNHKドキュメンタリー「ノーナレ けもの道 京都いのちの森」は、再放送の要望が1,000件以上届く反響を呼んだ。劇場版は、300日の追加取材を行い、約2年間撮りためた映像を再編集したもので、池松壮亮がナレーションを務め案内人としての役割を担う。約4か月間の猟師の暮らしを追っているだけなのに、なぜこんなにスリリングなのか。千松さんは動物を捕獲、解体、料理して食し、時には薬まで作るが、販売はしない。千松さん自身も「動物たちの命が消えていく数分間に慣れることはない」と話しているが、山で大けがを負ったときの驚くべき決断からも、命を奪うことの覚悟、重みが伝わってくる。クライマックスのイノシシとの格闘は、千松さんやスタッフの恐怖が生々しく伝わってくる出色のシーンとなっている。(編集部・石井百合子)

特等席から観る、まごうことなき傑作ヒップホップミュージカル!

ハミルトン
(C) 2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

『ハミルトン』配信中

 カリブ海の小さな島で私生児として生まれ、幼くして孤児になりながら、その才気と文才だけでアメリカに渡って建国の父となったアレクサンダー・ハミルトンの激動の人生をヒップホップで描いたミュージカル「ハミルトン」。トニー賞11冠の傑作を、ブロードウェイ公演2回分+舞台上での追加撮影で映像化したのが本作だ。ライブパフォーマンスのみなぎる熱量をそのまま封じ込めながらキャストのクローズアップも盛り込むという舞台と映画のいいとこ取りで、まるで特等席から観ているかのような没入感。ハミルトンの才気と焦燥感があふれ出す「My Shot」、時間を巻き戻す演出が切なくも美しい「Satisfied」、登場人物それぞれのテーマ曲が重なり合い第2幕へと否応なく突き進んでいく「Non-Stop」と、いかに「ハミルトン」の音楽、歌詞、舞台演出がミュージカルとして秀でているかが本作を観ると本当によくわかる。いまや映画界でも引っ張りだこのオリジナルキャストも輝いている。(編集部・市川遥)

ディズニープラスで配信中

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