『コンフィデンスマンJP プリンセス編』長澤まさみ&東出昌大&小日向文世 単独インタビュー
やっぱりまた騙される
取材・文:浅見祥子 写真:中村嘉昭
テレビドラマ「リーガルハイ」などを手がけた古沢良太によるオリジナル脚本で2018年4月、月9枠の連ドラとしてスタートした「コンフィデンスマンJP」。番外編であるショートドラマ「コンフィデンスマンIG もうひとつのスイートルーム」、スペシャルドラマ「運勢編」、初の劇場版『ロマンス編』を経た劇場版第2弾が完成した。その中身は? 信用詐欺師を演じる長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が劇中でのチームワークそのままに、作品について語った。
ロケ地はどこだ!?
Q:最初に『コンフィデンスマンJP プリンセス編』をやると聞いたときはどう思われましたか?
長澤まさみ(以下、長澤):劇場版の第2弾があると信じていたので、本当にうれしかったです。台本を読むと「今回は感動作!?」と意外に思えました。それほど心温まる素敵なお話でした。
東出昌大(以下、東出):前作『ロマンス編』で「海外が苦手」とおっしゃっていた小日向さんが、いろいろと面白いエピソードを残してくださいました(笑)。なので、今度のロケ地は国内か、海外なのか? と盛り上がったのを覚えています。
小日向文世(以下、小日向):本当に。だから第2弾が決まったときは、ロケ地がどこなのか? とそればっかりが気になって。
長澤&東出:(笑)。
小日向:僕は国内でもいいんじゃないかな~? と思っていたんです。北海道という案もあったようですけど、夏だと熊が出るのが心配。そしたら行ったことのないマレーシアで。心配したのはトイレ事情だったので、携帯のシャワーを買ったんです。でも携帯用だと、弱くてダメですね。
長澤:そんなの知らないし!(笑)。
Q:長澤さんは前回「次のロケ地はハワイがいい」とおっしゃっていました。
長澤:ドラマのころから一緒にこの作品をつくってきたので、スタッフの方々にご褒美のようなものがあればいいなという思いがありました。今回のランカウイ島もとても気に入りました! 楽しい思い出をつくらせていただきましたね。
東出:前作の香港では大都市が舞台、それはそれで高層ビルや夜景が画的にもキレイでした。今回は白い砂浜に青い海、青い空でまた映画を撮れるのは、スケールも大きいし、どんな映像になるかも楽しみでした。
騙されるとわかっていても、やっぱり毎回騙される台本
Q:台本を読まれた印象は?
長澤:物語の仕掛けが前回よりも多く、きっと前作より楽しんでもらえるんじゃないかなという期待を持ちました。
東出:新しい切り口でありつつ、非常に王道だなと思いました。ですので、このシリーズに馴染みのない方でも絶対に楽しんでいただけるだろうなと。この3人が仲間というのは一目見ればわかると思うので。
小日向:古沢さんの台本には毎回ヤラれるというか……。これはきっと観客の方も同じように騙されるだろうと思いました。騙されないぞ! と思うんだけど、やっぱりまた騙されるんですよね~。しかも今回は騙されるだけじゃなく、(関水)渚ちゃんが演じるコックリが成長していく話でもあって、それに周囲が影響されていく。いままでと切り口がちょっと違って、それがとってもよかったです。
Q:それぞれが演じる役柄の見せ場を教えてください。
長澤:どんどんオサカナの規模が大きくなっていて、今回は史上最大のオサカナを落とそうとするので、ワクワク感が確実にスケールアップしています。今回はオサカナを落とすために、ダー子は新たな弟子のコックリと親子にふんして仕掛けていくんです。ある意味お母さんの役とも言えるのですが、それが心地よかったです。あんなにかわいい娘がいたらいいな~って。
Q:東出さんは?
東出:いやぁボクちゃんの見せ場は別に……。
長澤:……筋肉。
東出:(笑)。ボクちゃんって常にダー子に翻弄され続けるんですけど、今回はどちらかというと3人の呼吸が合っている話じゃないかと。それでもボクちゃんは翻弄されているんですが(笑)。僕が注目していたのは五十嵐(小手伸也)の活躍でした。
長澤&小日向:(笑)。
小日向:演じる小手君のキャラがね……敵わないなと。あっち側に僕は行けないな~って思いました。
長澤&東出:(笑)。
小日向:僕は今回なんたって、「運勢編」に続いて広末(涼子)さんとの絡みがあったので、それがとっても嬉しかったです。
友達でも仲間でも家族でもない、つかず離れずの関係
Q:長い付き合いだからこそ知る、それぞれの裏の顔を教えてください。
長澤:本当に知らないんです。ふだんは会わないんですよ、私たち。セリフにもありますけど、友達でも仲間でも家族でもない、つかず離れずの関係なんです。
東出:そうですね……足掛け4年ですか、この企画。だから役と本来の人間性とが少しずつ混じって現場に存在していると思うんです。ですので、別の作品で共演ってなったとき、絶対に恥ずかしそうですよね?
長澤:……そう?
小日向:……そうかな?
東出:……恥ずかしくないです。
長澤&小日向:(笑)。
小日向:でも確かにこの映画のあとで、全然違う関係性の役だと面白いかもしれないね。
長澤:小日向さんとは『マスカレード・ホテル』でご一緒しましたよね?
小日向:あれはこの映画の前でしょ?
長澤:そうだけど……。でもまた共演しても、大丈夫だと思う。
東出:そっか(笑)。
いままでで最も映画らしい雰囲気をまとった作品
Q:完成した映画を観た感想は?
長澤:前作もハッピーでエンタメ作品としての力強さを感じましたけど、今回はいままででいちばん映画らしい雰囲気をまとった作品になったなと。観終わった後、余韻に浸れました。古沢さんも「今回がいちばん好き」とおっしゃっていました。
東出:面白かったですね! 長澤さんもおっしゃいましたが、今回の映画はまさに映画らしい映画です。コンフィデンスマンらしく驚くところもあればほろっとさせるところもある作品になりました。
小日向:ハリウッド映画みたいにゴージャスだな~と。そんな作品に出ているんだ! と嬉しかったです。
Q:続編があったら、長澤さんにやってほしいコスプレはありますか?
東出:くノ一もマリリン・モンローもやって。ダー子はいっぱいやりましたね。
長澤:ブルース・リーの黄色いトラックスーツ、またあれを着たいな。
小日向:僕、やってもらいたいのがある。
長澤:え、なんですか?
小日向:女子体操選手みたいなの。それで段違い平行棒をやってもらいたい、CGでいいから。
東出:ダー子に!?
長澤:CGいいですね!
小日向:サーカスもいいね、空中ブランコ。
東出:ダー子が!?
小日向:ダー子が。
東出:どんなエピソードになるんだろうそれ、想像がつかない……。
長澤:やらせてくれないかなぁ(笑)?
掛け合いがそのままダー子、ボクちゃん、リチャードのそれになりそう、というわけではないが、3人が揃うとまさに息はピッタリ。作品の主軸を担う貫禄さえ漂わせる長澤と、丁寧に場をつなごうとする東出、いちばん自由にポップに明るい声で場を沸かせる小日向。いくつもの作品をつくり上げてきたチームワークが確かに存在する。この楽しい空気感そのままに、撮影が進み、それが画面を通して観る側にも伝わるのだろう。
(C) 2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会
映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は7月23日より全国公開