優しい嘘は大事?実は世の中にあふれている!
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、世界中で絶賛された映画『フェアウェル』 。本作を観た村本と中川の反応の違いが大きな嵐を巻き起こしました!
今回の映画は、10月2日公開の『フェアウェル』です。
中国系アメリカ人のルル・ワンが監督を務め、余命わずかな祖母と親戚が過ごす日々を描いた人間ドラマ。『ムーンライト』など数々の話題作を送り出してきたスタジオ「A24」が携っている。
おばあちゃん子の村本の胸がキュー
村本大輔(以下、村本):先にパラダイスがこの映画先に観た反応聞いて、これはオレにとっておもろい映画やな! 間違いなくオレが好きな映画や!! と思ったら、やっぱりやったわ。これは感性の映画なんや。おまえみたいな鈍感なサイコパスにはわからん良質な映画やねん。
中川パラダイス(以下、中川):そやねんなー。僕やっぱり人がたくさん死ぬ映画とか、アクションが好きやもんな。なんか、唯一心動いたのは、結婚式のシーンで家族が飲みゲームしたとこやった。新郎が常にハイになるとこ観て笑ったわ。
村本:結局、おまえは何がわかったん?
中川:アメリカと中国の文化の違いやろ。葬儀の時に泣き屋を雇うとか、アメリカ人にはわからんかもやけど、日本人にはけっこうわかるよな。
村本:こんなに主人公の気持ちがわかる映画はないわ。オレもさ、おばあちゃんががんで亡くなってん。しかもオレが大阪来てすぐの時に。あの主人公の気持ち、めっちゃわかるわ。福井におったときは、おかんとおばあちゃんがオレの何気ない一言で気まずくなってさ、それからおばあちゃんと夕飯食べて一緒に寝てた。おばあちゃんを大好きな彼女の気持ちがめっちゃわかって切なかった。なんかオレも田舎に帰らんかったから、次いつおばあちゃんに会えるんかなっていう気持ちを思い出して胸がキューってなったわ。
アジアの期待の星!主演女優オークワフィナを絶賛
村本:あの主人公のオークワフィナもめっちゃ良かったな。いい意味で普通で、この映画でゴールデン・グローブ賞の主演女優賞(コメディー/ミュージカル)をアジア系女優で初めて受賞したって聞いたけど、納得やわ。しかもラッパーなんやって! すごいよな。
中川:めっちゃ声ガサガサなんはラッパーやったからなんか。たしかに普通の日本映画やったら、こういう役って綾瀬はるかとか、広瀬すずとかキレイな女優さんがするよな。なんかいい意味でキレイすぎなくて、普通の人やから見やすいし、ストーリーが入ってきやすかった。ああいう女優さん、いいよな。
村本:常にカジュアルな服もニューヨーカーぽくてかっこよかったな。結婚式だからって全然媚びない格好してたし! それでいて日本人のアイコにも優しかったのとかもよかった。その優しさも、「大丈夫~?」みたいな押し付けがましい優しさじゃなくて、めっちゃナチュラルやなと思ったわ。好感度大!
がんの告知ってめっちゃ難しい
中川:人の体には常にがん細胞があって、がんの告知されると一気に大きくなるっていう噂を聞いたことがある。もしかしてこの迷信みたいなのも、ほんまなんかなって思ったわ。たしかに告知するかしないかって難しい問題やけど、告知されたらされたでやっぱり落ち込むからな。
村本:うーん、難しいけどやっぱりオレはオカンに告知するやろな。うちのオカンはめっちゃアクティブな人やから、旅行も行きまくるやろし、きっと遺言も書きたいやろし。悲しいとは思うけど告知すると思うわ。
中川:自分だったらどう?
村本:オレ自身は言ってほしいな。旅行とか早めに取ったら安いやん。それと一緒で葬式とかもさ、ちょっと早めに予約したら安いとかないんかな! それやったら早く教えてもらって、早割で葬式予約するのに。
中川:うーん、僕はたぶん周りの空気感でわかるんちゃうかな? なんか日本ってアメリカと中国の間って感じするやん? 告知するかどうかは自由で、家族によってその選択はどうするかって違うところが。僕はわざわざ教えてくれるんじゃなくて、なんとなくわかりたいな。
村本:たしかにパラダイスが言う通り、この中国の家族関係ってアメリカよりは日本の方が理解できる気がすんねん。オレが開始数分でおもろいってわかったのは、孫がアメリカから中国のおばあちゃんに電話してるシーン。お互い心配かけないように気を遣ってたやん。オレも大阪いてた時、あんな風におばあちゃんに心配かけへんようにしてた。告知のことになるとあの主人公はいきなりアメリカ人の考え方になるけど、そういう気遣いの嘘って日本人もよくつくと思う。
中川:心配かけないように嘘をつき続けるとか、アメリカ人より日本人の方がわかる感情かもな。
村本:いや、おまえは絶対わからん感情やろ!
パラ兄が明かした村本への優しい嘘
中川:優しい嘘って大事よな。この世の中にめっちゃあふれてるわ、優しい嘘。僕は嘘つくときはそれしか無いよって感じで話すもんね。もうそれが事実! っていう姿勢が大事。
村本:パラダイスの優しい嘘は、全然おもんないくせにこの映画良かったですよ! ってやつやろ(笑)。そういうのほんまにいらんからな!
中川:僕はね、彼女や奥さんに浮気を疑われた時の嘘は、優しい嘘やと思う。6割奥さんを守る、4割自分を守る優しい嘘!
村本:まあ、オレも優しい嘘つきまくりやなぁ。この年になるとみんな結婚していくけどさ。子どもが産まれて、「かわいいやろ、うちの子!」って写真見せられた時に、優しい嘘つきまくってるわ。全然かわいくないけど「かわいいな~」みたいな。
中川:ひどいな! でも僕もあるで。かわいい女の子の写真見せて、オレの彼女って見せてくるやつ。最初から嘘って知ってるけど、ノッてあげんねん。そしたら大体2秒後に「ウッソー」って言ってくるのもわかってるからね。
村本:お前、それオレのことやんか! くそぅ、中川がいっつも写真見て「へぇ~」って言うのは、自分は結婚しててかわいい女と遊べへんから悔しくて興味ないフリしてるんかなと思ってた!
中川:じゃあ、優しい嘘に助けられてるやん。
村本:最終的に1番厳しい現実突きつけられたやんか! ひどいわ!
※記事内容には個人の意見が含まれています。
『フェアウェル』10月2日公開
映画『フェアウェル』公式サイト
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。