ワンダーウーマン役の女優ってどんな人?ガル・ガドットのキャリアをおさらい
近年、『アントマン&ワスプ』(2018)や『キャプテン・マーベル』(2019)などのアメコミ映画で、女性ヒーローが目覚ましい活躍を見せている。今後の作品にも期待が高まるなか、草分けとなった作品といえば、やはり『ワンダーウーマン』(2017)だろう。そして、同作で主演を務めたガル・ガドット(35)の魅力的な存在感というのも、忘れてはならないはずだ。続編『ワンダーウーマン 1984』やアガサ・クリスティ原作の「名探偵ポアロ」シリーズ第2弾『ナイル殺人事件』の公開も控えている彼女は、一体どんな人生を歩んできたのだろうか? その足跡を辿ってみよう。(文・構成:zash)
イスラエル国防軍で経験を積み、女優の道へ
ガル・ガドットは1985年4月30日、イスラエルでエンジニアの父と教師の母の間に生まれた。名前のガルはヘブライ語で波という意味であり、ガドットは川岸を意味する。母方の祖父母はヨーロッパで生まれ、祖父はアウシュビッツ強制収容所に投獄されるも、ホロコーストを生き延び、祖母はナチス侵攻の前に難を逃れた。そのため、幼少期は非常にユダヤ人らしいイスラエルの家庭で育ったことを後に告白している。
成長したガルはその後、18歳でイスラエル国防軍に入隊。イスラエルには18歳以上の未婚の女性は必ず入隊しなければならないという義務があるため、ガルは2年間戦闘員トレーナーの職務に就いた。軍務を終えたガルは、IDCヘルズリヤ大学にて法律と国際関係について学んでいる。
そんなガルの、ショービジネス界でのキャリアはモデルから始まった。18歳の時にミス・イスラエルを決めるコンテストで優勝を飾り、一気に注目を集めた彼女は、グッチ、ジャガー、ファーウェイといったブランドの広告塔となり、様々なファッション雑誌でも表紙を飾るようになる。
モデル業と並行して演技のキャリアも追求し始めたガルは、いくつかの大作映画のオーディションに参加。もともとイスラエルのテレビドラマなどで端役を演じた経験があったガルは、ジャスティン・リン監督による大ヒットカーアクション『ワイルド・スピード MAX』(2009)にてジゼル役に抜てきされる。ガルは、過去にイスラエル国防軍で経験したことが役に立ったと語っており、同作におけるスタントも自らこなした。
ガル演じるジゼルは最初、ドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)やブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー)といった主要キャラクターの前に、敵のような存在で登場した。セクシーでありながら、信念をまとったその存在感は好評を呼び、以降のシリーズ作品でもワイスピ・ファミリーとして存在感を放ったのだった。
妊娠中にまさかのアクション挑戦!ワンダーウーマン役で飛躍
『ワイルド・スピード』シリーズで頭角を現したガルは、その後、ショーン・レヴィ監督によるコメディー映画『デート&ナイト』(2010)、トム・クルーズ&キャメロン・ディアス共演の『ナイト&デイ』(2010)、ジョン・ヒルコート監督のクライムスリラー『トリプル9 裏切りのコード』(2015)などに出演。女優として、着実にステップアップしていった。そして2016年、DC映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で、ダイアナ・プリンス=ワンダーウーマンを演じることになる。
実は同作への出演より以前に、ガルにはDC映画出演のオファーがあった。2013年の『マン・オブ・スティール』でヴィランの一人であるファオラ役の候補として名前が挙がっていた。しかしながら、ガルは当時妊娠中であったため、オファーを蹴ることに。そうした経緯を経て、ワンダーウーマン役に抜てきされたのだ。
ワンダーウーマンを演じるにあたり、ガルは徹底した役作りを敢行。体づくりと並行して、剣術、カンフー、カポエラ、キックボクシング、ブラジリアン柔術などのトレーニングを受け、見事に原作から飛び出してきたかのような最強の美女戦士像を体現。多方面から絶賛される形となった。
続く、単独映画『ワンダーウーマン』でもダイアナ役を続投することになったガルは、ここで伝説を残すことになる。撮影中のガルはなんと、次女マヤちゃんを妊娠中だったのだ。しかも、再撮影時は妊娠5か月であり、お腹も膨らみ始めていた。そんな中で、つわりによる吐き気や偏頭痛と格闘しながらも、壮絶なアクションシーンをこなし、スタッフにはその苦労を全くもって漏らさないという女優魂を見せつけた。この絶え間ない努力と熱意が功を奏し、作品は世界累計興行収入8億2,184万7,012ドル(約862億円)もの大ヒットを記録。それまで男性ヒーローの活躍が目立っていたアメコミ映画界に新風を巻き起こし、映画界の在り方さえも変えてしまったのだ。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル105円計算)
クレオパトラ役も!今後も新作が目白押し
DCヒーローが勢ぞろいした映画『ジャスティス・リーグ』(2017)でもワンダーウーマンを演じ、さらなる活躍に期待が持たれるガルは、今後どのようなキャリアを歩んでいくのだろうか?
まずは、『ワンダーウーマン』の続編『ワンダーウーマン 1984』(12月25日全国公開)が控えている。DCエクステンデッド・ユニバース9作目となる同作は、1984年を舞台に、究極のゴールドアーマーを身に纏ったワンダーウーマンが、全人類滅亡の脅威にたった一人で立ち向かっていく姿が描かれる。さらに壮絶さを増したアクションに注目だ。
また、『オリエント急行殺人事件』(2017)に続く新作ミステリー映画『ナイル殺人事件』(12月18日全国公開)に、物語のキーパーソンとなるリネット・リッジウェイ・ドイル役で出演。『ワイルド・スピード』シリーズで共演したドウェイン・ジョンソンや、『デッドプール』のライアン・レイノルズらも出演するNetflixのアクションコメディー『レッド・ノーティス(原題)/ Red Notice』も控えている。
さらに、古代エジプトの女王クレオパトラを演じる伝記映画『クレオパトラ(原題) / Cleopatra』で、『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンス監督と再タッグを組むことも明らかになった。現在、ハリウッドにおいて最も待機作が目白押しの女優であることは間違いない。
これからもワンダーウーマン女優として、映画ファン、アメコミファンの心を鷲掴みにし続ける、ガル・ガドット。アクションからコメディー、シリアスな演技までこなす彼女の女優人生は、未来永劫輝きに満ちていることだろう。