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「鬼滅の刃」無限列車編の重要キャラ!煉獄杏寿郎の魅力とは

「鬼滅の刃」
(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 人気コミック「鬼滅の刃」(作・吾峠呼世晴)を原作とした映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、ついに10月16日に公開となった。2019年に放送されたテレビアニメの続編が描かれるこの劇場版は、主人公・炭治郎に大きな影響を与えることになる煉獄杏寿郎(※1)がキーパーソンとして登場することでも話題だ。煉獄杏寿郎がなぜこんなにも重要なキャラクターであるのか、彼の魅力とあわせて紹介していきたい。(以下、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の具体的な内容に触れています)

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鬼殺隊最強の剣士にして、炎の呼吸を極めた“炎柱”

 人を喰らう鬼がすむ大正時代の日本を舞台に、心優しい少年・炭治郎が家族を殺した鬼を討つため、鬼に変貌した妹・禰豆子(※2)を元に戻すため、“鬼狩り”の道へと進む姿を描く「鬼滅の刃」。煉獄杏寿郎は、人喰い鬼を狩る鬼殺隊のなかでも最上級の強さを持つ、9人の“柱”のひとり。隊士たちが鬼と渡り合うために身に着ける呼吸法のうち、炎の呼吸を極めた“炎柱”(えんばしら)として、鬼殺隊を支えている。炎のような髪色と羽織の模様、カッと見開いた力強い瞳と迷いのない言動は、一度目にしたら忘れようがないインパクトだ。「己の責務を果たす」という信念を持ち、独学で鍛錬に励んだ彼の強さは、他の柱からも一目置かれるほど。また、劇中で「うまい!」と豪快に弁当を食べている姿からもわかるように、明瞭快活な性格の持ち主。面倒見の良さもあいまって、後輩からも慕われている兄貴肌のキャラクターだ。胸に響く名言も多い。特に『無限列車編』で登場する「心を燃やせ」という彼の言葉は、「鬼滅の刃」という作品においてとても重要なワードとなっている。

 煉獄が「鬼滅の刃」に初めて登場したのは、アニメ第21話。そして、劇場版が描く『無限列車編』は、アニメの最終回となった第26話から続くエピソードだ。アニメで放送された“竈門炭治郎 立志編”を始まりとするならば、『無限列車編』からは鬼殺隊としての炭治郎たちの成長が描かれていく。ますます苛烈になってく鬼との戦いに不可欠な全集中・常中を会得したばかりの炭治郎とその仲間の善逸、伊之助に、メンタル面ーーつまり鬼殺隊の心構えを示してくれるのが、煉獄なのだ。

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理不尽なものに立ち向かう炭治郎の道を照らす存在

「鬼滅の刃」
(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 「鬼滅の刃」という作品の一番の敵は、“理不尽”だ。生まれや境遇、己の素質など、理不尽な出来事が人間にも鬼にも平等に降りかかる。その理不尽さに、自身が飲み込まれないように、大切な人が飲み込まれないようにと懸命に立ち向かう人間たちの姿が、読者の心を動かした。さらに鬼殺隊は、鬼という圧倒的に理不尽な存在にも立ち向かわなければならない。そこに、煉獄杏寿郎が人気キャラクターとなった理由があるのだ。

 あまりにも残酷で理不尽な現実に立ち向かっていくために、未来をあきらめないために、前に進むために必要なもの。鬼殺隊としての生き方や心得を、炭治郎たちは『無限列車編』で煉獄から学ぶ。絶望的な状況において、炭治郎の道を照らしてくれた煉獄の存在なしには、この後の物語は成り立たないといっても過言ではない。その証拠に、炭治郎はこの先の戦いでも、度々煉獄の言葉で己を奮い立たせることになる。

煉獄の根幹をなす、家族と過去が明らかに

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、闇を進む“無限列車”が舞台。短期間で40人以上が行方不明になったその列車を捜索する任務に就いた炭治郎は、禰豆子、善逸、伊之助とともに、煉獄と合流し、列車の中で鬼と対峙することになる。

 『無限列車編』の大きな核はふたつある。ひとつは、先述のとおり炭治郎の成長。もうひとつは、煉獄杏寿郎の物語だ。彼を語るうえで欠かせないもの、それは家族と過去である。無限列車のなかで下弦の壱・魘夢(えんむ)の血鬼術にかかり、鬼殺隊の4人は夢のなかに閉じ込められてしまう。幸せな夢を見る炭治郎たちに対し、煉獄の見る夢は少し違っていた。そこで初めて、煉獄の背景や過去、根幹にある想いが明らかになるのだ。なぜ彼はこんなにも正義感にあふれ、強い信念のもと明るくふるまえるのかーー。代々炎柱を受け継いできた煉獄家に生まれ育った杏寿郎。彼の強さの裏にある辛い境遇を知ることで、煉獄の人物像がより深く濃く心に刻まれる。「鬼滅の刃」らしいキャラクターの掘り下げ方だが、煉獄の場合、受ける印象はきっと人それぞれだろう。想像をかきたてる絶妙な余白が、さらに彼を魅力的なキャラクターにしているのかもしれない。

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煉獄のバトルシーンは圧巻!

「鬼滅の刃」
(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 鬼と人間の闘いがどういうものなのかを、改めて思い知らされることになるのもこの『無限列車編』だ。下弦の壱・魘夢は、人間を強制的に眠らせ夢を見せている隙に殺す鬼。人の不幸や苦しみを見るのが大好物という、残虐な性格の持ち主だ。走る列車で繰り広げられる魘夢とのバトルシーンは、映画館のスクリーンにふさわしい迫力で描かれる。乗客を守りながら戦うという難しい局面を、切り抜けてくさまは見ものだ。もうひとりの鬼、上弦の参・猗窩座(あかざ)との闘いでは、炎の呼吸を使う煉獄のバトルシーンが見どころとなる。これまでにも、水の呼吸やヒノカミ神楽など美しい映像表現が話題となった本作だけに、炎の呼吸の表現も秀逸だ。ふたりの鬼との闘いをとおして、炭治郎たちはかつてないほどの理不尽さや怒り、己の不甲斐なさに直面する。同じような壁を幾度も乗り越えてきた煉獄の言葉は、厳しくもあたたかい。

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のキャッチコピーは「その刃で、悪夢を断ち斬れ」。これは、眠り鬼・魘夢との闘いだけを意味するものではない。長い歴史のなかで、多くの鬼殺隊が命を賭して立ち向かってきた理不尽な悪夢、すなわち鬼との闘いを断ち斬れ、という意味も込められているのではないだろうか。そして、悪夢を断ち斬るために必要なものを炭治郎・善逸・伊之助の3人に示すのが、煉獄杏寿郎なのだ。(文・実川瑞穂)

※1「煉」は「火+東」が正式表記 ※2「禰」は「ネ+爾」が正式表記

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