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『スター・ウォーズ』で意味するM値とは?

今週のマンダロリアン

 スピーダー・バイクが! タイ・ファイターが! チャプター12「包囲」(シーズン2第4話)の今回は人気メカの逃走&迎撃アクション満載! そして旧帝国軍指揮官モフ・ギデオンの陰謀の一端が見えてくる!? (平沢薫)

※ご注意:このコンテンツは、「マンダロリアン」シーズン2についてネタバレが含まれる内容となります。後半の「もう観ちゃった方向け」はご注意ください。

今週のマンダロリアン(シーズン2)連載:第4回

<これから観る方向け:ネタバレなし>迎撃アクション満載回!

マンダロリアン
このスピード感!(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 今回は『スター・ウォーズ』に欠かせない、人気メカ群に追跡されて逃走しつつ、敵を攻撃するという迎撃アクションが満載。マンドー(ペドロ・パスカル)は、愛機レイザー・クレストの修理のため立ち寄った惑星ナヴァロで、賞金稼ぎギルドのリーダー、グリーフ・カルガ(カール・ウェザース)に頼まれ、遺棄された旧帝国軍基地の破壊に協力することに。ところが、その基地は今も使われており、ストームトルーパーとの激しい銃撃戦や、スピーダー・バイク、タイ・ファイターとの追撃戦が繰り広げられることになる。

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マンダロリアン
向かって右がカール・ウェザース。(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 今回の監督は、カルガ役のカール・ウェザース。この『ロッキー』シリーズの主人公の親友アポロ役で知られるベテラン俳優は、1995年からTV監督にも進出し、「HAWAII FIVE-0」「ダナ&ルー リッテンハウス女性クリニック」などを手掛けている。本作では彼自身の演じるカルガが、銃撃の腕前も披露。元反乱軍戦闘員キャラ・デューン(ジーナ・カラーノ)が、今回は優れた戦闘能力に加えて名ドライバーぶりも見せてくれる。

<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>キーワードはM値!

マンダロリアン
ザ・チャイルドのバンザ~イ!(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 今回もリンクがいっぱい。最初に出てくる窃盗犯たちの種族は、『スター・ウォーズ/新たなる希望』のカンティーナでオビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)に腕を切断されたアクアリッシュ。マンドーの船に細工した修理工は『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』や本作シーズン2第2話にも登場した赤い肌の種族ミンバニーズ。学校の先生は、C-3POと同じ機種のプロトコル・ドロイド。彼女が生徒に語る話の中には、旧銀河共和国の首都コルサント、反乱軍のリーダーのモン・モスマの故郷シャンドリラ、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したケッセルやアカディーズ・メイルストロムなど、おなじみの地名が続々登場。生徒の中には『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の時のレイと同じ髪型の少女もいる。

 そして見逃せないのは、マンドーたちが学校に入る場面で背景にチラッと映る、ドロイドIG-11(声:タイカ・ワイティティ)の像。彼はシーズン1第8話でマンドーたちを救うために自ら犠牲になったが、その偉業を讃える像が設置されているのだ。「マンダロリアン」内リンクでは、シーズン1第1話のミスロルや、シーズン2第2話の新共和国パイロットが再登場するのも楽しい。

マンダロリアン
明言はしていないが、M値ときたら……。(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 しかし、なんといっても今回のキーワードはM値(M-counts)。この言葉から、旧帝国軍将校モフ・ギデオン(ジャンカルロ・エスポジート)の壮大な計画と、彼がザ・チャイルドを狙う理由が見えてくる。

 この言葉が登場するのは、旧帝国軍基地のホログラム・データに残っていた、シーズン1でチャイルドを研究していた科学者の言葉。彼はモフ・ギデオンへの通信の中で「このM値以上のドナーはほかにいない」「これ以上輸血をしても被験者は同じ運命をたどるだけ」と言う。『スター・ウォーズ』でM血液が一緒に登場したら、連想されるのはミディ=クロリアンに決まっている

 念のため復習しておくと、ミディ=クロリアンとは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に初登場した、人間の体内に存在する共生微生物の名称。この作品で、血液中のミディ=クロリアン値が高いとフォースの感応力が高いという設定が描かれたが、大多数のファンにはそれはフォースの概念に相応しくないと不評で、続3部作ではまったく触れられなかったアイテムだ。

 そんなアイテムを、ここでわざわざ出してきたということは、本作のクリエイターであるジョン・ファヴローには、ミディ=クロリアンの使い方について何か勝算があるはず。そこで気づくのは「マンダロリアン」では最初からバイオテクノロジー技術がチラチラ見え隠れしていたことだ。

 まず、このホログラムに登場した科学者ドクター・パーシング(オミッド・アブタヒ)はシーズン1第1話から登場するが、第3話でザ・チャイルドと一緒に研究室に入る時、服の右腕に着いたマークがくっきり見える。その図形は『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で、惑星カミーノで育成されたクローンたちの服についていたマークと同じ。彼がクローン技術を含むバイオテクノロジーと関係がありそうなことは、ここからも推測できる。今回、データを消そうとした帝国軍兵士2人の服にも、同じマークが付いていた。

 そしてシーズン1第7話、クイール(声:ニック・ノルティ)はチャイルドを見て「遺伝子操作には見えん。遺伝子農場にいたからわかる」と言う。この世界ではバイオテクノロジーがかなり発達しているようだ。

 そこで今回、帝国軍基地の複数の水槽に閉じ込められた生体と科学者の報告を考え合わせると、モフ・ギデオンが計画しているのは、ミディ=クロリアンとクローン技術を使って、特殊な能力を持つトルーパー軍団を創造することなのではないだろうか。今回、彼と一緒に映し出される無数の黒いアーマーはそのためのものだろう。そしてその先にある彼の野望は、新たな軍団による宇宙の征服に違いない。

 ちなみに黒いトルーパーといえば、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に黒い装甲のトルーパーのエリート部隊デス・トルーパーがいて、彼らは本作の第7話、第8話にも登場したが、実はほかにもいる。それは「スター・ウォーズ バトルフロント」などのゲームに登場する強化されたトルーパー軍団ダーク・トルーパー。モフ・ギデオンの計画はこの軍団と関係があるのだろうか。

 このモフ・ギデオンの陰謀の壮大さを予感させるのが、彼が登場する直前のシーン。帝国軍のアークワイテンズ級司令クルーザーが画面を覆っていく映像は、『スター・ウォーズ/新たなる希望』の冒頭シーンにそっくりではないか。ここからまた壮大な物語が始まるのか!? そんな予感に震えてしまうのだ。

10月30日(金)よりディズニープラスにて独占配信中 (毎週金曜日17:00に新エピソードが配信:全8話)

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