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菅田将暉に恋する映画6選

今週のクローズアップ

『花束みたいな恋をした』より (C) 2021『花束みたいな恋をした』製作委員会

 現在、有村架純とダブル主演を務める映画『花束みたいな恋をした』が大ヒット中の菅田将暉。今後も『キネマの神様』『キャラクター』『CUBE』など新作映画が続々控える人気絶頂の菅田だが、キャリアを遡ってみると意外にも恋愛モノへの出演は少ない。そこであらためて、彼の恋愛映画での魅力を振り返ってみた。(編集部・石井百合子)

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どこにでもいそうなリアル彼氏『花束みたいな恋をした』(公開中)

絹の髪にドライヤーを当てる麦

 東京の京王線・明大前駅で終電を逃し偶然に出会ったことから恋に落ちた大学生の山音麦(菅田)と八谷絹(有村)の5年間の悲喜こもごもを追うラブストーリー。脚本は、「最高の離婚」「カルテット」などの人気ドラマを手掛け、「問題のあるレストラン」で菅田と組んでいる坂元裕二

恋する表情にときめく前半

 菅田演じる麦にとって絹は、小説、音楽、映画など不思議なほど趣味が合い、“運命の相手”を予感させる存在。菅田の「恋する表情」を存分に堪能できるのが本作の大きな見どころ。付き合う前にはぎゅう詰めの電車で絹と密着して視線のやり場に困っていたり、ファミレスでスマホ越しに「好きです」と告白したり。絹が就活中に落ち込んでいたらすぐに駆け付け抱きしめてあげたり。劇中で一番ドキッとしたシーンとして、菅田は信号待ち中のキスシーンを挙げ、「キスした後の絹ちゃんのセリフ『こういうコミュニケーションは頻繁にしたい方です』って、あれは名言でしたね。あれは言われてみたいですよね」と舞台あいさつで話していた。

厳しい現実を描く後半では幻滅しそうな表情も

社会人になった麦

 そんな甘美な日々から一転して二人の人生観がすれ違っていく後半では、麦の表情から輝きが失われ、人としての弱さや、若さゆえの未熟さがあらわれてきて、これはこれで目が離せない。イラストレーターを目指し、厳しい現実にうちのめされ屈辱的な日々を送る麦は、「絹との未来のために」と就職を決意。仕事に忙殺されるようになってからは笑顔が消え、小説の代わりに自己啓発本を手にするようになり、絹との約束を反故にすることでケンカになるシーンでは思わず幻滅してしまいそうな表情も。絹と好きな小説を読んで感動して涙していたのが、後半ではまるで違った涙へと変わっていく。

 本作で菅田が演じた麦は、女性の理想をかなえる王子様キャラではなく、欠点も目立つ「どこにでもいそうな」青年で、観たあとに「あの発言、行動はどうなのか」と誰かと話したくなること必至。脚本の坂元は、「とても多面的で、矛盾したものを抱えた俳優さんだと常々思っています。いい人な部分や悪い人な部分、純粋な部分やどこか擦れた部分、闇を持っていたり、光を持っていたり、そんな二つの反するものを同時に表現でき、人間的なものをお持ちになった唯一無二の存在だと感じています」と舞台挨拶で菅田の演技力を絶賛していた。

20代の青春を彩るファッション&カルチャー

絹が寝落ちしてしまうガスタンクの映像

 ちなみに麦の衣装には、「音楽や映画が好きな子たちは洋服にもそれらのテイストを取り入れている場合が多い」との理由からスチャダラパーZAZEN BOYS のツアーTシャツなどを使用。麦が描く絵は、イラストレーターである朝野ペコの描き下ろし。麦が自宅アパートで絹に見せるガスタンクの映像は、麦が訪れたガスタンクを趣味で撮影している、という設定でこの映画のためにオリジナルで制作された。手掛けたのは映画監督の坂西未郁で、本作のメイキングカメラマンとしても参加しているほか、Awesome City Club(オーサムシティクラブ)によるインスパイアソング「勿忘」のMVでも監督を務めた。

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酔った勢いで強引にキス『ピース オブ ケイク』(2015)

 ジョージ朝倉の同名漫画を実写映画化した本作で菅田が演じたのは、恋愛依存症のヒロイン・志乃(多部未華子)のアルバイト仲間・川谷。志乃が気になるようで、飲み会のシーンではドキドキの展開が。べろんべろんに酔っぱらった川谷がトイレから出てきた志乃を待ち伏せ。「本当は二人で飲みに行きたかった」「電話番号教えて」と迫り、引き上げようとする志乃に強引にキス……! というもの。出演シーンは多くないものの、この長いキスシーンは菅田ファン必見。

顔舐めシーンが話題に『溺れるナイフ』(2016)

 『ピース オブ ケイク』と同じくジョージ朝倉漫画の実写化作品で、小松菜奈とダブル主演。菅田にとって恋愛映画初主演となった。菅田が演じるのは、東京から越してきた人気モデル・夏芽(小松)と恋に落ちる神主一族の跡取り・コウ。傲慢なキャラクターで金髪のビジュアルもハマり、菅田のセクシーな魅力がさく裂。コウが夏芽の顔に付いたジュースをペロッと舐めてからキスをする“顔舐め”が話題となり、海中のラブシーンや祭でのキス、夏芽の帯を締め直すシーンなども世の女性を沸かせた。すれ違いざまに夏芽に向ける冷たいまなざしにもゾクゾクさせられる。山戸結希監督は『ホットギミック ガールミーツボーイ』(2019)の清水尋也板垣瑞生しかりSキャラの名手と言えるかも。

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少年のようなピュアさ『となりの怪物くん』(2018)

 『君の膵臓をたべたい』(2017)、『センセイ君主』(2018)などのティーンの恋愛を描くことに定評のある月川翔監督による学園モノ。菅田が、20代半ばで高校生役に。容姿端麗で頭脳明晰だがエキセントリックな性格ゆえに周囲から恐れられる問題児という役どころを演じた。ガリ勉のヒロイン・雫にふんした土屋太鳳とのコンビネーションもキュートで、前半ではプリントを届けに行った雫を押し倒すというドキドキのシーンも。悲しい生い立ちがあり、陰口をたたかれていたところをかばってくれた雫に涙を流すピュアな一面も。菅田は公開当時、シネマトゥデイのインタビューで「映画でこんなに笑ったことはない気がします。でも無垢に笑うって本当に難しくて」と話していた。

苦労性の彼氏を哀愁たっぷりに『生きてるだけで、愛。』(2018)

 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」などの小説家、劇作家、本谷有希子の小説に基づく本作は、鬱々としたタッチが特徴。菅田は、鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の恋人・寧子(趣里)を懸命に支える出版社勤務の男性・津奈木を好演した。寧子とは3年ほど同棲していて、情緒不安定な彼女から日常的に八つ当たりを受けながらも耐え忍ぶ日々。そんなときのあきらめたような哀しい目や、暴れ泣き叫ぶ寧子を抱きしめ、落ち着かせようとするけなげな姿も印象的。共演の趣里は「シーンによっては鋭い目をするときもあれば、本当に楽しいときもあって、だからいろんな役ができるし、いろんな場所にも対応できる。本当に多彩な方だなというのは毎日思っていました」と公開当時の公式コメントで菅田を絶賛していた。

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小松菜奈と3作目の共演『糸』(2020)

 中島みゆきの楽曲「糸」をモチーフにした本作で、小松菜奈と『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)、『溺れるナイフ』に続いて3作目の共演。平成元年生まれの男女の18年を追う壮大なストーリーで、菅田はチーズ工房で働く青年に。かつて初恋の相手を守ることができなかった挫折感、愛する者に先立たれる夫の哀しみ、娘のために仕事に邁進しようとする父親としての頼もしさなど、さまざまな顔を演じて見みせた。小松演じるヒロイン・葵とはすれ違いのシーンが多いだけに、クライマックスで人混みの中、必死に葵を捜し求める姿には感涙。昨年8月末に行われたオンラインイベントでは、小松が「こんなに役のことを相談できる人はいない。いつも一生懸命聞いてくれて100倍にして返してくれる。でもライバルみたいに刺激にもなる。人に対する優しさ、周りが見えるところも素晴らしい。わたしもこうありたいと思える存在」と話していた。

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