タイムループしたい究極の1日って？明日は必要？
映画たて・よこ・ななめ見！
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、ゴールデン・グローブ賞（ミュージカル／コメディ部門）で作品賞、主演男優賞にノミネートされた映画『パーム・スプリングス』。ある1日の中に閉じ込められた主人公たちが経験するタイムループの世界は、2人からどう見えたのか!?（取材・文：森田真帆）
今回の映画は、4月9日公開の『パーム・スプリングス』です。
アメリカ・カリフォルニアのリゾート地パーム・スプリングスを舞台に、謎のタイムループに巻き込まれた男女を描くラブコメディー。メガホンを取ったのはマックス・バーバコウ。何度も同じ日を繰り返す男女を、本作の製作も務める『俺たちポップスター』などのアンディ・サムバーグと、ドラマ「モダン・ラブ ～今日もNYの街角で～」などのクリスティン・ミリオティが演じ、『セッション』などのJ・K・シモンズ、『蒼い記憶』などのピーター・ギャラガーらが共演する。
ずっとタイムループしていたい!?
中川パラダイス（以下、中川）：人によってタイムループしたらどんな行動を取るかって違うけどさ、僕は結構主人公の男寄りの考え方やなって思ったわ。現実世界に戻ったら嫌なこともたくさんあるけど、もし好きな人ができたらその人と2人だけでずっとタイムループの世界にいたいって思うもん。だってやりたい放題できるし歳もとらんし、うらやましかった。女の人とエッチもいっぱいしてたしな。そんな生活も悪くないなって。まぁ、うちの子供が成長した姿を見られないのは残念やけど、15歳とかになったら反抗して嫌われるかもしれんし、好き好き言ってくれる今くらいがちょうどええなって。
村本大輔（以下、村本）：あの2人は現実にトラウマ抱えてるやん。あの声が高くてバカっぽい金髪女、ああいう人いるわって思ったわ。ちょっとバカにしすぎてて、金髪の人にめっちゃ怒られそうな気がするくらいステレオタイプに描きすぎやったけどな。でも現実世界はすごく最悪やし、それやったらもうずっとここにいたいっていうのは、めっちゃ逃げな考え方やからな。
中川：そうやで。別にええねん。僕はもう明日に進んでもらわな困るって思わんもん。現実世界なんて嫌なことばっかりやし、それやったら明日なんて来なくていいから、毎日アホなことして楽しく暮らしたいって思った。
村本：でもパラダイスが言うようにずっとタイムループの世界にいるって、やってくる明日を拒否して、一瞬の痛み止めのためのバンドエイドを毎日張り替えてるだけやと思うねんな。もしまた傷つくのが怖いから明日が来るのを拒否したら、傷口は一生治らんやん。オレは逆に毎日やってくる現実に感謝させられた気がするわ。そういうのを教えてくれたような気がするね。
もしもタイムループできる日を選べるとしたら
村本：映画では結婚式の日やったけど、パラダイスはもしループできるなら、どの1日をタイムループしたい？ たとえばさ、めっちゃ楽しい1日に戻りたいと思うかもしれないけど、オレはその「最高！ この瞬間を永遠に！」って言うのを考えたときに、なかなかないねんな。何かをして楽しいなぁって思ってさ、ふと振り返ったときに、ああ、あの時は楽しかったなって振り返ることはできるけど、時を止めたいくらい一番楽しい瞬間っていうのがわからん。
中川：どうせタイムループするんやったら、楽しかった1日とかそういうんじゃなくてさ。何もしないゆっくりした1日を永遠にタイムループしたいな。
村本：じゃあパラダイスは毎日タイムループしとるやんか！ 毎日何もしてないやんか、今！
中川：いやいや、この1日が永遠に続くってことよ。だってさ、ハワイとか行ってめっちゃ楽しい1日をひたすらタイムループしたとしても、最初良かったとしてもハワイから抜けられなくなる。てなると家で過ごす何もない1日を選ぶな。始まりを家にして、そっからいろいろ楽しみたいねん。だって風俗行って帰ってきても、またお金戻ってるでしょ。そしたらまた違う風俗行ける。コロナだってずっと陰性でいられるし。風俗行ったり、家族と一緒に過ごしたり。
村本：真逆なこと言うなよ！ ヌキの1日と息抜きの1日やんか！
中川：まぁ、嫁との関係性は何も変わらへん。そこはタイムループしても何も変わらんな。あの主人公の彼女みたいなもんや。
村本：オレはほんまに早く明日が来てほしい人やから、絶対にタイムループになんてハマりたくないって思ったわ。毎日同じ日なんて絶対に嫌。どんないい1日やったとしても、そこに閉じ込められるのは嫌やわ。
パラ兄の意外な野望に村本が戦慄！
村本：ここだけの話、お前もしかしてタイムループしてるんちゃうか？ 昔からずっと同じ状態やからこんなに漫才やっても腕が上がらんのちゃう？
中川：いや、それは僕が努力してへんだけや（笑）。僕がもしタイムループできてたらもっと漫才うまくなってたはずやろ。あ、昨日はここミスったから明日は気をつけよって思えるし。
村本：いやいや、パラダイスがタイムループしてさ、毎日同じ漫才を繰り返したとしても、どうせ毎回違うミスすると思うわ。きっと別のところで噛んだりするんやろな。オレからのダメ出しだって絶対に聞かへんやろしな。
中川：まあ聞かへんやろな。また明日やってみればええって思うやろしな。いやタイムループできるとしたら、僕はもう村本を殴ってるやろな。手を出してると思うわ。だってまた翌日には無傷の村本が帰ってくるやろ。
村本：なんでやねん！ ハハハッ！
中川：それで日替わりで村本泣かしたんねん。翌日目覚めたらメリケンサック、その翌日は金属バット……。
村本：何でオレだけが毎回殺されなあかんねん！
※記事内容には個人の意見が含まれています。
『パーム・スプリングス』4月9日公開
映画『パーム・スプリングス』公式サイト
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です！」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため（中退）、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。