重岡大毅~人間的かつ繊細な感性で、幅広い役を表現 熱い視線を注がれる演技派俳優
銀幕のジャニーズ
映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面に注目して、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第18回は、ジャニーズWESTの重岡大毅。(文・新亜希子)
2014年4月、ジャニーズWESTのメンバーとしてCDデビュー。2016年には『殿、利息でござる!』『溺れるナイフ』と2本の映画に出演。近年はドラマ作品においても主役やキーマンを演じる機会が増えており、演技派として注目を浴びている。
映画デビュー作:『寮フェス!~最後の七不思議~』(2012年3月31日公開)伊達慎之介役(当時19歳)
現ジャニーズWESTメンバー・重岡大毅、神山智洋、藤井流星、小瀧望を中心とした関西ジャニーズJr.内ユニット「7WEST」主演の青春映画。
舞台は、老朽化を理由に取り壊しが決定した男子寮。断固阻止したい生徒たちは、寮に伝わる七不思議の一つ「寮フェス」開催を計画。ぶつかり合いながらも準備を進めていくうち、周囲と距離をとっていた伊達(重岡)も仲間たちに心を開き始める。フェスのステージで行われる、伊達と遠山(神山)のダンスバトルも見どころだ。
■ドラマデビュー作:「8月10日、僕らは花火を上げる」(2008年8月18日、25日)村上剛役(当時15歳)
関西ジャニーズJr.によるオムニバスドラマ「DRAMATIC-J」内の1作。とある地方に暮らす、受験を控えた中学生たちのひと夏を描いた。重岡演じる村上は、ひきこもりでゲームばかりしている少年。表情にはまだあどけなさが残るが、キリッとした眉と目は今と変わらず印象的だ。
映画俳優としての主な活躍
演技派として、すさまじい勢いで世間から注目を浴びる俳優だ。2016年には『殿、利息でござる!』『溺れるナイフ』と2本の映画に出演。開花した。
以降、ドラマ作品に続々と起用され、とくに2019年からの躍進はめざましい。俳優・重岡大毅について特筆すべきは、キーポジションを任される機会の多さ。難しい役どころを演じる機会も多いが、見事に期待に応え続け、作品に出演するたび視聴者から大きな反響を得ている。
『溺れるナイフ』の舞台は田舎町。方言も、高校生役も、違和感なく演じ切った。わざと冴えないふうにビジュアルを整え、思春期の男子をナチュラルに好演。カラオケボックスで、夏芽(小松菜奈)への思いのたけを叫ぶように歌うシーンは印象的だ。「俺ら東京さ行ぐだ」を歌うその姿は、一見可笑しいのに、不思議なほど切ない。重岡が、そのシーンに至るまでの大友の心情を丁寧に演じてきたからこそ。
とにかく表情の引き出しが多く、人間的なエネルギーのある俳優だ。さわやかな好青年のルックスからは想像もつかない闇をも演じ切る。その感受性の強さは、彼が紡ぐ繊細で人間らしい歌詞や、歌手としての姿を見ていれば一目瞭然だ。表現できない役はないのでは? と思うほど、重岡が持つ独自の感性には、期待したくなるなにかがある。
最新作『溺れるナイフ』(2016年11月5日公開)大友勝利役
原作は、多感な10代の少年少女を痛々しいほどに描いた、ジョージ朝倉による人気漫画。ダブル主演を務めたのは、小松菜奈と菅田将暉。架空の町・浮雲町の美しい風景描写や、どこか懐かしさを感じさせるエモーショナルな映像演出により、絶対的な世界観が確立された作品だ。
小松は、東京から転校してきた長身の美少女・望月夏芽を、菅田は神主一族の跡取り息子・コウこと長谷川航一朗を演じ、二人が衝動的に惹かれ合うさまを主軸にストーリーが進む。
重岡が演じたのは、クラスのムードメーカー的存在・大友勝利。コウと別れた夏芽を放っておけない大友は、夏芽の心にぽっかり空いた穴を埋めたいと寄り添う。夏芽に惹かれていく大友の心には、落ち込む夏芽を励ましたい気持ちと、自分を好きになってほしいと思う気持ちが共存する。
本作で重岡は、初のキスシーンに挑戦した。初々しさの反面、心から「夏芽をほしい」と思う大友の思いが溢れた印象的なシーン。ヒリヒリした展開の多い本作において、まっすぐで純粋な大友の存在は視聴者をほっとさせ、作品においてはある種の異質な印象を残した。
フィルモグラフィー(映画)
『寮フェス!~最後の七不思議~』(2012年3月31日公開)伊達慎之介役(Blu-ray&DVDにはメイキング含む特典映像が収録された)
『関西ジャニーズJr.の京都太秦行進曲!』(2013年3月30日公開)三村真人役(エンディングでは関西ジャニーズJr.がオリジナル曲「NOT FINALE」を披露)
『劇場版 BAD BOYS J -最後に守るもの-』(2013年11月9日公開)小野沢圭太役(不良グループ「エデン」の一員。元乃木坂46の白石麻衣が恋人を演じた)
『忍ジャニ参上!未来への戦い』(2014年6月7日公開)西の忍者・カザハ役(主題歌はジャニーズWEST「バンザイ夢マンサイ!」)
『殿、利息でござる!』(2016年5月14日公開)穀田屋音右衛門役(主演・阿部サダヲの息子役)
『溺れるナイフ』(2016年11月5日公開)大友勝利役(わずか17日間という短期間で撮影)
フィルモグラフィー(ドラマ)
「8月10日、僕らは花火を上げる」(2008年8月18日、25日)村上剛役
「サムライ転校生 ~我ガ道ハ武士道ナリ~」(2009年3月28日)志村剛役
「いつかの友情部、夏。」(2009年9月10日)沢村良太役
「誰も知らないJ学園」(2010年5月12日)山川丈二役
「翼よ!あれが恋の灯だ」(2012年2月12日)加藤淳平役
「SHARK 2nd Season」(2014年4月20日 - 7月13日)入江朔役
「ごめんね青春!」(2014年10月12日 - 12月21日)海老沢ゆずる役
「炎の転校生REBORN」(2017年11月10日配信開始)シゲオカ駆役
「宇宙(そら)を駆けるよだか」(2018年8月1日配信開始)火賀俊平役
「節約ロック」(2019年1月22日 - 3月26日)稲葉コウタ役
「ストロベリーナイト・サーガ」第1話・第8話(2019年4月11日 - 6月20日)大塚真二役
「これは経費で落ちません!」(2019年7月26日 - 9月27日)山田太陽役
「死役所」第6話(2019年11月21日)高関一文役
「知らなくていいコト」(2020年1月8日 - 3月11日)野中春樹役
24時間テレビ スペシャルヒューマンストーリー「誰も知らない志村けん -残してくれた最後のメッセージ-」(2020年8月22日)テレビディレクター・保科役
「悲熊」(2020年12月18日 - 12月24日)悲熊役
「教場II」(2021年1月3日・1月4日)出馬求久役