『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』仲里依紗 単独インタビュー
ギャルは無敵
取材・文:浅見祥子 写真:高野広美
今年の劇場版、『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』は本格(風)学園ミステリー。超エリート校・私立天下統一カスカベ学園に体験入学する、しんのすけたちカスカベ防衛隊。ところが学園内で、正体不明の“吸ケツ鬼”にお尻を噛まれた生徒が突如おバカになる怪事件が多発する。容疑者の一人となるエリートギャル・アゲハの声優は仲里依紗。ギャルな見た目ながらトップクラスの成績で、多彩な才能を持つキャラクターだ。作品の大ファンという仲が、今回の役柄、そして「しんちゃん」の魅力について愛たっぷりに語った。
子供のころから「クレヨンしんちゃん」ファン
Q:もともと「クレヨンしんちゃん」のファンだったそうですね。
子供のころからず~っと観ています。理由は面白いから。アニメ全般が好きというよりは、「クレヨンしんちゃん」が好きなんです。テレビシリーズの最後はチャンチャン! といつもの音楽で、シロがエサをもらえずに庭先でくぅ~んと鳴いて終わる。そういう感じが観やすいですしね。シロの犬種が知りたいです。何だろう?(笑)。
Q:すると、ゲスト声優として出演が決まり、ご家族から反応はありましたか?
私が「クレヨンしんちゃん」が好きなのを知っているので、とても喜んでくれていました。子供も一緒に観られる作品なので、「絶対、映画館で観たいね」と。いい休日になりますよね。
Q:『トロールズ ミュージック★パワー』ではCGアニメの吹き替えを担当されていました。今回、アニメの声優を務めた感想は?
トロールズのような妖精と違って、今回の役は人間なので、わりと普通のお芝居に近い感覚があります。トロールって実際に見たことないし(笑)、その方が難しいですね。
Q:アゲハは劇中、鼻歌を歌ったりもしますね。
アドリブでやらなきゃいけないところがあり、そこはちょっと困りました。声だけでアドリブをするのって難しいんです。声優さんってすごいな~と思いました。
ギャルとは、「プラス思考」
Q:アゲハはギャルな見た目で素行は悪いけれど、文武両道でもあるという役柄でした。
実写ではなかなかオファーをいただけないような役なのでうれしかったです。画面では本物の、ゴリゴリのギャル。だからやりがいがありましたし、セリフの言いがいがありましたね(笑)。ここまで言っちゃっても大丈夫っしょ! というくらいに典型的なギャルなので、演じていても楽しかったです。とりあえず、特に面白くもないのに「ウケる」って言うんです。そういうところもギャルっぽいですよね。
Q:以前ギャルの定義を「プラス思考」とおっしゃっていましたが、改めてギャルとは?
学生時代って保護者や学校に守られていて、そのなかで自由にできる貴重な時期だと思うんです。だから、ギャルってポジティブで無敵だなと思います。見た目ではなく、心の持ちようがギャルだと人生が楽しそうですよね! 年齢は関係なくて、誰でもギャルになれると思います。
Q:ゲスト声優発表の際の写真では、ギャル風の制服でポーズをキメていましたね。
あのときルーズソックスは履いていましたが、ネクタイもしていなくて。学生服っぽいですけどシャツとスカートで、普通の服という感覚でした。スカートの丈やチェック柄がギャルの制服風なだけで、シャツとスカート自体は誰でも着ますし、全然ありだなと思いました。素敵なファッションですよね。
青春とは、「浜崎あゆみ」
Q:青春に関するセリフが印象的ですが、仲さんにとっての青春とは?
浜崎あゆみさんです。私の青春はあゆの思い出しかないです! 曲を聴き、ライブに行って、ありとあらゆるグッズを買い、出ている雑誌を読んで……。あんなに誰かを追いかけることって、人生でもうないと思います。たぶん、あゆで終わりです。
Q:それだけ夢中になれた理由はなんでしょう?
一世を風靡し、時代をつくった方。ギャルの原点じゃないですか。だからいまでも好きなんです。自分のスタイルを貫き通していて、時代に合わせることなく、どんどんパワーアップしていますよね。人って年を重ねると落ち着いたりしますけど、“あゆ”で居続けてくれるのが最高です。
Q:ご自身もそうありたい、と?
やりたいことや、こうありたいと思う自分を表現したいし、ずっとそうあり続けたいです。時代に合わせるなんてもったいないと思うんです。周りの意見も、自分もそう思うならいいですけど、私は自分がやりたいと思うことをやりたい。そうできている浜崎あゆみさんはすごいなって思います。
子育てをする中で心がけていること
Q:「クレヨンしんちゃん」を見続けてきて、年齢を重ねたことで作品の見方が変わるものですか?
それはあります。自分にも家族が出来て子供がいるからこそ、しんちゃんみたいな子供っていいな~って思うんです。あんな子、最高ですよ! 一緒にいて楽しいし、魅力的で、癒やされますよね。それでいて、子育てのしがいがあると思うんです。自分が気づかされることも多くて、鍛えられるだろうし。しんちゃんってたまに正論をボソッと言いますけど、うちの息子もちょっと似たところがあるんです。意外と大人っぽいことをズバッと言ったりするんですよ。
Q:ご自身は母親として、天カス学園のようなエリート校に興味はありますか?
全然ないです。しんちゃんが通うふたば幼稚園がいいです(笑)。見た目は極悪だけどすごく優しい園長先生がいて、ピンクの猫みたいな通園バスもいいですし。
Q:目指すところはいわゆるエリートではない?
……息子はエリートにならなくていいかなと思います。心の優しい人になってほしいです。しんちゃんもああ見えて友達思いで、ものすごく優しいですよね。家族に対してもそう。そういう心の持ち主になってほしいです。
Q:子育てする上で心がけていることはありますか?
子供と同じ目線でいる、ということです。「こうされたら嫌だ」ということは、子供だから怒ってもわからないよね……ではなく、ちゃんと伝えます。同じ立ち位置で言い合い、息子の言うことも聞きたいと思っています。
Q:「クレヨンしんちゃん」が長い間、愛される理由は何だと思いますか?
しんちゃんの魅力じゃないでしょうか。ふざけておきながら、時々グッとくることを言うし、家族思い。また野原家がいいんですよね。色々なことが起きて疲れるでしょうけどね、野原家(笑)。でも、もっともっと観ていたいと思わせる家族で、そこにいるとハッピーになれそう。それから、時代と共に変わっていくのも「クレヨンしんちゃん」の魅力。だから飽きることがないのだと思います。
撮影に現れた仲は全身カラフル&キュート! 洋服はもちろん、アクセサリーも靴も、身に着けたものすべてがカワイイ。写真撮影をしながら袖がぱわんと膨れたブラウスに目をやり、「サンバを踊りそう!」と笑ったりする。劇中ではアゲハとしてギャル語を連発する彼女、枠にとらわれないおしゃれ心を持つ彼女だからナチュラルに演じられたのかも。
(C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2021
映画『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』は4月23日より全国公開