GW映画特集2021~劇場邦画編~
ゴールデンウィークに観られる劇場邦画はよりどりみどり。青春に感動し、日本の四季にうっとりし、コメディーに心躍らせ、アクションに大興奮。好みに合わせて楽しめる作品を厳選して紹介します。(文・早川あゆみ)
>>劇場洋画編はこちら
>>劇場&配信アニメ編はこちら
>>配信オリジナル&独占編はこちら
『砕け散るところを見せてあげる』公開中
監督・脚本・編集:SABU
キャスト:中川大志、石井杏奈
127分
高い人気を誇る竹宮ゆゆこの同名小説を、『覚悟はいいかそこの女子。』の中川大志と、『ホムンクルス』の石井杏奈のダブル主演で映画化。正義感の強い男子高校生・清澄は、学校一の嫌われ者・玻璃がいじめられている姿を目撃する。彼女には誰にも言えない大きな秘密があり、それに気づいた清澄にも危機が迫る。井之脇海、清原果耶、松井愛莉ら実力派若手の確かな演技と、北村匠海、原田知世、堤真一のミステリアスな芝居は見ごたえたっぷり。海外でも評価の高い鬼才・SABUが脚本、編集、監督を務める。予想を超えた大きなうねりを見せるスリリングな物語に衝撃を受けつつも、描かれる壮大な愛に圧倒される。
『椿の庭』公開中
監督・脚本・撮影・編集:上田義彦
キャスト:富司純子、シム・ウンギョン
128分
四季折々の草花に囲まれた海を臨む古い一軒家に、娘の忘れ形見の孫・渚とともに静かに暮らす絹子。だが、相続税の問題で家を手放すことを求められる。サントリー、資生堂、TOYOTAなど多くの広告写真を手掛け、その卓越した美学で国内外から高い評価を得ている写真家・上田義彦の映画監督デビュー作。構想15年、撮影に1年をかけた力作で、紫綬褒章を受章した名女優・富司純子と、『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞のシム・ウンギョンに、もうひとりの娘を演じる鈴木京香が加わり、3世代の女性の凛とした生き方を体現した。美しい季節のうつろいと人々の暮らしの息遣いをとらえた映像美が堪能できる。
『街の上で』公開中
監督・脚本:今泉力哉
キャスト:若葉竜也、穂志もえか
130分
『愛がなんだ』『his』など、味わい深い恋愛描写が癖になる今泉力哉監督が、サブカルの街・下北沢でオールロケを敢行、オリジナル脚本で描いた青春群像劇。元ミュージシャンで古着屋勤務の青は、はじめてできた恋人に浮気されてふられてしまうが、美大生の女性監督から自主映画への出演を頼まれた。演技の練習に付き合ってくれる友人、新しく出会った美大生たち。監督特有の心地いいテンポと不思議なユーモアが、青と彼をめぐる女性たちの出会いと別れをやわらかく包み込んでいる。青役は映画初主演となる若葉竜也。穂志もえか、古川琴音ら躍進著しい個性派若手女優陣が魅力的な芝居を見せる中、友情出演の成田凌も光る。
『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』公開中
監督:松居大悟
キャスト:田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一
100分
名脇役たちが本人役で登場し、大きな話題となった連続ドラマの映画化。シーズン1はシェアハウス、2は無人島、3は撮影所で奮闘していた元祖バイプレの田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一は、今回は配信ドラマの撮影現場が舞台。一方、若手バイプレの濱田岳らは、同じ撮影所で犬を主演に100人の役者で映画を作ろうとしていた。天海祐希、有村架純、役所広司ら豪華俳優陣も本人を演じている驚異のお祭り騒ぎは楽しいの一言。シーズン2の途中で急逝した大杉漣さんへのリスペクトも随所に感じられる。ユルさに笑って、展開に驚いて、おじさまたちがわちゃわちゃする姿にほっこりしつつ、ちょっぴりホロリともする、盛りだくさんの群像コメディー。
『BLUE/ブルー』公開中
監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔
キャスト:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生
107分
ボクシングの場合、青コーナーは挑戦者側となるので、万年負け続けている瓜田は常に青コーナーだ。一方、瓜田がボクシングに誘った後輩の小川は抜群のセンスと才能でチャンピオン目前。幼なじみで初恋の相手だった千佳は小川の婚約者となり、新人ボクサーの楢崎にも見下される日々。才能と努力と恋と嫉妬など、さまざまな感情で揺れ動いてもがきながら、それでも情熱を持ってボクシングを続ける瓜田を松山ケンイチが熱演。小川は東出昌大、千佳は木村文乃、楢崎は柄本時生が演じる。『犬猫』『ヒメノア~ル』などの吉田恵輔監督のオリジナル作品で、挑戦を続けることの苦悩と葛藤に心が揺さぶられる。
『るろうに剣心 最終章 The Final』4月23日公開
監督・脚本:大友啓史
キャスト:佐藤健、武井咲、新田真剣佑
138分
2012年から続く『るろうに剣心』実写映画シリーズがついに完結! 剣心の頬の十字傷の謎を知る最凶の敵・雪代縁(えにし)は、剣心に関わるすべてを破壊しようとするが、その理由は剣心の過去にあった。大ヒットした前3作からさらに進化し、圧倒的なスピードと迫力のアクション、魅力的なキャラクターと物語で描ききった「最終章」は、2作連続で公開。今作はその1作目にして“おわり”の物語だ。佐藤健、武井咲、江口洋介らお馴染みのキャストが総出演し、縁役は新田真剣佑、物語の鍵を握る剣心の亡き妻を有村架純が演じる。彼女と剣心のはじまりの物語は6月4日に公開となる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で明かされる。
『FUNNY BUNNY』4月29日公開
監督・脚本・編集・原作:飯塚健
キャスト:中川大志、岡山天音
103分
『ステップ』『虹色デイズ』などの飯塚健監督が、2012年に上演したオリジナル戯曲を自ら映画化。自殺志願者を見分ける能力を持つ自称・小説家の剣持聡と相棒の漆原聡が、ウサギの着ぐるみを着て区立図書館を襲撃し、「絶対に借りられない本」を探す。数年後、人数が増えたウサギたちはまたラジオ局で電波ジャックするが、その事件と過去の襲撃事件の裏にはある秘密が隠されていた。『砕け散るところを見せてあげる』の中川大志が、奇想天外な行動を起こす厄介な男・剣持聡に挑み、『ホテルローヤル』などで大活躍中の岡山天音が漆原聡を演じる。時間を超越した緻密なプロットと謎に満ちた展開の新鮮さは、ハマると深い。
『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たちから』公開延期
監督:飯塚健
キャスト:田中圭、土屋太鳳、山田裕貴
115分
1998年の長野オリンピックで日本中を沸かせたスキージャンプ団体の大逆転による金メダル。その裏側にあったテストジャンパーたちの奇跡の実話を映画化。代表から落選し、屈辱に震えつつも裏方として日本を勝利に導いた西方仁也選手を田中圭が演じる。聴覚障害、怪我のトラウマ、女子種目がないなど、さまざまな困難に立ち向かうテストジャンパーたちの葛藤と成長は涙なくしては観られない。山田裕貴、眞栄田郷敦、小坂菜緒たちの熱演はもちろん、日の丸飛行隊としてメダルを獲得した原田雅彦ら実在の選手を演じた役者陣のそっくりぶりにも注目。競技とは一味違うドラマチックなジャンプの映像は斬新で迫力満点。
『くれなずめ』公開延期
監督・脚本:松居大悟
キャスト:成田凌、高良健吾、若葉竜也
高校時代の友人の結婚披露宴のために5年ぶりに集まった悪ガキ仲間6人。余興の赤フンダンスで周囲からドン引きされ、二次会までの微妙な時間を過ごす仲間たちは、昔の思い出を懐かしみつつ、ある友人の死に向き合うことになる。主演はNHK朝ドラ「おちょやん」の成田凌で、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節ら実力派&注目株がずらり。脚本と監督は、テレビシリーズから映画まで『バイプレイヤーズ』を手掛ける松居大悟。やんちゃ男子たちのやり取りにクスクスしたり呆れたりしながら、予想の斜め上をいくラストにグッとくる、ノスタルジーあふれる青春映画。
『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』公開延期
監督・脚本:英勉]]
キャスト:浜辺美波、高杉真宙
119分
ギャンブルの強さでヒエラルキーが決まる私立高校での熾烈な争いを描く大人気シリーズの劇場版第2弾。最強にして孤高の賭ケグルイ・夢子役の浜辺美波をはじめ、高杉真宙、森川葵、池田エライザらオリジナルキャストが勢ぞろいし、さらにジャニーズWESTの藤井流星が最凶の侵略者として参戦。弾けまくった自身初の悪役芝居を見せる。原作・河本ほむらの完全監修で進行するオリジナルストーリーで、夢子らは奇抜でスリリングなゲームに命を懸けて挑む。旬なキャストたちが見せるノリノリでハイテンションなオーバーアクトと、ダーク目の色調で繰り広げられる刺激に満ちた独特の世界観は、一度見ると癖になる。