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『地獄の花園』永野芽郁 単独インタビュー

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『地獄の花園』永野芽郁 単独インタビュー

客観的な視点に共感

取材・文:坂田正樹 写真:尾藤能暢

『架空OL日記』などのバカリズムがオリジナル脚本を手掛けた最新コメディー映画『地獄の花園』で、初のOL役を務めた女優の永野芽郁。ところがこれが、普通のようで普通じゃなかった! 一見平和そうな会社だが、裏ではOL同士の派閥争いが激化。そのとばっちりを受けた普通のOL直子(永野)は、今までひた隠しにしてきた“ヤンキー魂”を爆発させ、壮絶なバトルロイヤルに身を投じていく。オン・オフのギアチェンジが難しい役どころ、殴る蹴るの激しいアクションにも挑戦した永野が、楽しくも過酷だった撮影の日々を振り返った。

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この脚本で面白くならないわけがない

永野芽郁

Q:バカリズムさんならではの奇想天外な物語が展開しますが、脚本を読んでどのような感想をお持ちになりましたか?

率直に言って、「これが面白くならないわけがない!」と脚本を読んだ段階で確信しました。そこに自分が存在できることもうれしかったし、「早く撮影がしたい!」という高揚感もすごくありましたね。

Q:そういえば、初めてのOL役ですよね?

やっとOL役ができる年齢になりました! まだまだ制服(高校生役)もいけますけどね(笑)。キャラクター的には、登場人物の中で見た目が一番普通のOLなんですが、わたし自身、会社勤めの経験がなく、なにが正解かわからなかったので、学校の休み時間や撮影の空き時間にかわす普通の会話のテンポ感を大事にして演じました。

Q:直子と永野さんがシンクロする部分はありましたか?

この映画って、全編を通して直子のモノローグが入っているんです。だから、直子目線で進んでいるところが多いんですが、わたしも基本的に日常生活を俯瞰(ふかん)するところがあって、「今こういう流れだから、こうしよう」とか、自分自身も含めて全体を見渡しながら考えて行動していることが多いので、そういうところは直子と似ているなと思います。もちろん、直子のようにいちいち頭の中で解説はしていないけれど、そういう客観的な視点を持っている、という点ではすごく共感できました。

セリフで暴言を吐くたびに謝っていた

永野芽郁

Q:ただ、普段は穏やかな直子ですが、「キレると怖い」という裏の顔を持っている……スイッチを入れるのが難しかったのでは?

すごく難しかったです。あそこまでキレる人って、なかなかいないじゃないですか。しかも、ツバを吐いたり、暴言を吐いたりしたことがなかったので、「どんな感じでツバを吐くんですか?」とか、「暴言のイントネーション合っていましたか?」とか。わからないことだらけで、関(和亮)監督を質問攻めにしていました。

Q:関監督からどんなアドバイスを受けたんですか?

直子がキレて、その怒りの感情が「ツバを吐く」という行動につながっていくような感じにしたいということだったので、そこは何度も練習しました。暴言についても、声を張ると言うよりも、内側から怒りが込み上げてくるようにと。言い方一つでガラッと変わってしまうので、そこはちょっとがんばりました。「寝言こいてんじゃねぇよ、ブス!」とか、すごいセリフがいっぱいあったのですが、カットがかかるたびに共演者さんに、「ホント、すみません!」って謝りながらやっていました。

Q:しかも順撮りではなかったそうですね。感情の入れ方がさらに難しかったのでは?

そうなんです。普通に日常を過ごしている直子と、急にスイッチが入って豹変する直子の撮影がバラバラに組み込まれていたので、熱が上がっていく感じを出すのがすごく難しかった。目つきが急に変わるところとか、ちょっと(興奮して)息が弾むところとか、関監督と「気持ちがどこで入ったか」を細かく確認しながら演じていた記憶があります。撮影中はうまくいくか心配で、ずっとドキドキしていました。

アクションは練習と本番ではまったく違う

永野芽郁

Q:アクションシーンも予想以上に本格的で、迫力がありました。

アクションは本当に大変でした。4、5か月前から練習して準備万端でクランクインしたのですが、いざ本番になって戦う相手と対峙すると、お互いに力が入っちゃうし、カメラに収まるタイミングとか、バランスとか、すべてをうまく決めるというのがなかなか難しくて……コツをつかむまでにかなり時間がかかりました。

Q:具体的にどんな準備をされたんですか?

アクションシーンの段取りはあらかじめ決まっていたので、どちらかというとダンスの振り付けに近い練習ですかね。例えば、ケンカの相手が右パンチを繰り出してきたら、それを避けて左から打ち返す、みたいな流れが決まっているので、それをひたすら練習して体に染み込ませ、そこにセリフのタイミングも合わせていくという感じでした。ワイヤーアクションにも挑戦しましたが、思っていたより楽しかったです(笑)。

Q:足蹴りもキレイに決まっていましたね。

本当ですか? ありがとうございます! でもわたし、どちらかというと体が硬いんですよ。硬いのに足を上げなきゃいけないから、勢いとか、角度とか、細かく試して、一番キレイに上がる方法をアクション部のスタッフさんに指導していただいて、なんとかカタチにできたという感じです。

Q:攻撃だけでなく、守備も学んだそうですね。

実際に投げ飛ばされて、受け身をとる練習もしてみたかったので、アクション部のスタッフさんと相談しながら、ケガのリスクが少ないシーン限定で、スタントマンを使わずやらせていただきました。受ける方の表現次第でアクションもより大きく見えるので、そういった効果も含めてすごく勉強になりました。

とてもプロフェッショナルな現場だった

永野芽郁

Q:広瀬アリスさん(カリスマヤンキーOL・蘭)、菜々緒さん(悪魔の朱里)、川栄李奈さん(狂犬の紫織)、森三中の大島美幸さん(大怪獣の悦子)、そして小池栄子さん(地上最強のOL・麗奈)と個性豊かな女優陣が勢揃いしました。みなさんと共演した印象はいかがでしたか?

最初は先輩ばかりだったので、ちょっと緊張していたんですが、何も心配することなく、とても居心地のいい現場でした。ただ、みんなで一緒に集まって「おしゃべりしましょう!」みたいなノリではなかったですね。いい意味でみなさん「個」なんですよね。与えられた役をしっかり演じるために集中し、「いいものをつくりたい」という最終目的に向かって、いざという時に全員が一丸となって力を合わせる。「こういう風に演じてみたい」とか、「こういう風に見せたら面白いんじゃないか」といったアイデアの提案もあって、とてもプロフェッショナルな現場でした。

Q:遠藤憲一さん(魔王・赤城涼子)率いる男性陣、勝村政信さん、松尾諭さん、丸山智己さん(トムスン三銃士)はいかがでしたか? 役は女装ではなく、女性でしたが。

みなさん、あのコスチュームで、いつもと変わらず低い声で普通にお話されていて。それを遠目に見ていると、本当にシュールで面白くて、ずっと写真を撮っていました(笑)。でも見ていると、だんだん慣れてきて、違和感がなくなってくるんですが、先日、TGC(東京ガールズコレクション)の舞台にみんなで立った時、「あ、これ普通じゃないんだ」ってことに改めて気付かされて、ハッとしました(笑)。

Q:直子以外で、好きなキャラクター、挑戦してみたいキャラクターはありますか?

好きなキャラクターは、やっぱり、大怪獣の悦子さんですね。子分が勢ぞろいして出迎える登場シーンで、一気にハートをつかまれました(笑)。普通にOLをしている時と、大怪獣になった時のギャップも面白かったし。あと、挑戦してみたいキャラクターは、地上最強のOL・麗奈さん! ヴィジュアルがとにかくかっこいいじゃないですか。でも、麗奈さんもそうですが、どのキャラクターも大きな声を張り上げて暴れ回るから、わたしには無理かな。基本的にそういうのが得意じゃないので、うーん、やっぱり直子でいいかも(笑)。

Q:5年後、もう少し貫禄が付いたら地上最強OL、いけるんじゃないですか?

え? 5年後だったらいけますかね。じゃあ、ぜひ挑戦してみたいので、5年間だけお時間ください(笑)!


永野芽郁

直子の強さを明るさに変えて、天真爛漫に撮影を振り返った永野。5年後、本当に地上最強のOL・麗奈を貫禄十分に演じ切ったらどうしよう……うれしいやら、悲しいやら、なんとも複雑だ。「女優として、もっともっと成長してほしい」と切望する反面、「いつまでも純朴な永野のままでいてほしい」と願うこの矛盾。ファンはきっとそんな心境ではないだろうか。

映画『地獄の花園』は5月21日(金)より全国公開

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