ヴェノムを凌駕する残虐性!最大最凶の敵・カーネイジとは
トム・ハーディ主演のマーベル映画『ヴェノム』の続編『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(12月3日全国公開)の予告編とポスターが5月10日、全世界で公開されました。注目すべきは、ポスターにトムとほぼ同等の並びで名前が表記されたウディ・ハレルソン。彼が演じるカーネイジというキャラクターは、ヴェノムにとって最大最凶の敵なのです(正確に言うと、ウディが演じるのはクレタス・キャサディという男で、彼が変身した姿がカーネイジ)。ここでは、続編の超重要キャラとも言えるカーネイジの基本情報について紹介します。(文:杉山すぴ豊)【編集部更新:9月16日】
カーネイジってどんなキャラクター?
カーネイジというのはいかなる存在か? そのために、まずヴェノムから説明しましょう。ヴェノムはマーベルのキャラクターで、スパイダーマンのコミックでデビュー。スパイダーマンの能力をコピーした黒い寄生宇宙生物/シンビオートが、エディ・ブロックという男と合体して誕生しました。ヴェノムがスパイダーマンのような見た目をしているのはこのためです。
映画『ヴェノム』では、スパイダーマン由来の設定を排してヴェノムを主役にした物語に仕立てたので、トム演じるジャーナリストがある事件を追うときにシンビオートに寄生され、ヴェノムとなります。このシンビオート自体にも人格があり、エディとシンビオートは二人羽織的な関係、いわゆるバディです。したがって、ヴェノムの1人称はWE(俺たち)なのです。ウディ・ハレルソン演じるクレタス・キャサディは、『ヴェノム』のエンドクレジット中に登場した、収監されている赤毛の連続殺人鬼。ジャーナリストであるエディが、取材のため彼に面会するところで終わります。
結論から言うと、カーネイジはシンビオートとクレタスが融合して生まれた怪物です。クレタスが赤毛で、また赤色に固執する性格のようですから体色は赤い。スパイダーマンを黒い怪物風にデザインしたのがヴェノム。そのヴェノムを赤くしたのがカーネイジと言えばわかりやすいでしょうか? ヴェノムは悪人を喰ってしまうなど怖い面もありますが、基本はエディの性格も反映されるので、弱き人を助けるヒーロー(ダークヒーロー)です。それに対してカーネイジは、大虐殺(Carnage)という意味を持つ名前の通り、殺人鬼クレタスの人格を受け、殺人マシーンとなります。
つまり『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、チョイ悪ダークヒーローなヴェノムと極悪モンスター・カーネイジの戦いが描かれることになります。冒頭でも述べたように、トム・ハーディとウディ・ハレルソンのW主演的に打ち出していますから、クレタス/カーネイジの出番も相当多く、映画でも暴れまわることでしょう。
原作コミックにおけるカーネイジ
原作コミックでカーネイジが本格的に登場したのは、1992年の「ジ・アメイジング・スパイダーマン(原題) / The Amazing Spider-Man」第361号ですが、クレタス自体は同誌第344号、カーネイジの一部は同誌第359号に登場しています。コミックの世界では、エディも犯罪者として収監されており、同じ部屋にいたのがクレタス。エディはシンビオートの力で(要はヴェノムになって)脱獄しますが、その時、シンビオートの一部が付着しクレタスはカーネイジになるのです。
原作コミック第361号では、スパイダーマンが暴れまわるカーネイジを止めるために立ち向かいますが、全く歯が立ちません。そこでスパイダーマンは、次の362号でなんとヴェノムに助けを求めて、スパイダーマン&ヴェノムVS.カーネイジという戦いが展開します! この構図から、カーネイジの強さがわかりますよね! 今回の映画には、恐らくスパイダーマンは出てきませんから、ヴェノムが一人でカーネイジに勝つことができるのか気になります。
ところで、コミック版のクレタスですが、ちょっとジョーカーに似ているんです。ジョーカーを意識した危険人物を目指したんでしょうか? 実際、1995年にマーベルとDCがコラボした「スパイダーマン&アンド&バットマン(原題) / Spider-Man and Batman」というコミックでは、ジョーカーとカーネイジがメイン・ヴィランで登場しているのです。
カーネイジ以外にも敵が?どうなる『ヴェノム』続編
さて、今回リリースされた予告編でカーネイジが教会のステンドグラスらしき所で全身を見せるシーンがあります。この教会というのがポイントで、シンビオートはある種の音が苦手という弱点があるのです。教会の鐘の音もその一つ。ヴェノムが最初に登場したトビー・マグワイア主演の『スパイダーマン3』でも、この設定が上手く使われていました。では、なぜわざわざカーネイジは苦手な音を発する教会に現れたのか?
ここで注目したいのが、この予告編に登場するナオミ・ハリス演じる女性キャラクター。彼女がふんするのは、シュリークというヴィランです。シュリークは、クレタスの恋人であり音を操る能力を持った超人。したがって、シュリークに教会の鐘の音とかを操らせ、ヴェノムにだけ作用するように仕向けるのかもしれませんね。これだけでもうワクワクですが、この予告編には歴代スパイダーマン映画や、もしかするとアベンジャーズ(!?)につながる要素も散りばめられており、さりげなくアメコミ界の巨匠スタン・リーさんの顔も登場しています。ソニーが展開しようとしている『スパイダーマン』ユニバースや、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)といった他の世界ともつながるのかも注目です。
杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)プロフィール
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画についての情報をさまざまなメディア、劇場パンフレット、東京コミコン等のイベントで発信。現在「スクリーン」「ヤングアニマル嵐」でアメコミ映画の連載あり。サンディエゴ・コミコンも毎年参加している。来日したエマ・ストーンに「あなた(日本の)スパイダーマンね」と言われたことが自慢。