まさかの新事実も!「ロキ」第1話からサプライズ満載
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で屈指の人気を誇るキャラクター、ロキを主人公にしたドラマシリーズ「ロキ」が遂に配信スタート! 「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」と快進撃が続くマーベル・スタジオ。今回はいったいどんなドラマを仕掛けてくるのか!? (文:平沢薫)
※ご注意:記事後半の「もう観ちゃった方向け」は「ロキ」のネタバレが含まれる内容となります。本編をまだ観ていない方はご注意ください。
<これから見る方向け:ネタバレなし>ロキ役トム・ヒドルストンが製作総指揮に参加!
マーベル屈指の人気キャラクター、ロキが主人公だというだけで期待大の本作だが、その期待値は上げたままで大丈夫。悪戯の神、屈折したヴィラン、キザな文学青年、お茶目な愛されキャラなど、さまざまな顔を持つこのキャラクターの一筋縄ではいかない魅力を、たっぷり味わえるドラマになっている。
それもそのはず、製作総指揮にはロキ役のトム・ヒドルストンが参加。ロキというキャラクターの魅力を熟知し、体現してきた彼が、第1話からロキの多面性をたっぷり披露してくれる。(しかも、サービスショット付きで!)
そのうえ、スタッフも実力派ぞろいだ。企画&脚本&製作総指揮のマイケル・ウォルドロンは、人気SFアニメシリーズ「リック・アンド・モーティ」の製作総指揮を担当した人物。同シリーズは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的なブッ飛んだ博士と少年の冒険を描くコメディーで、ギャグのノリがロキと相性抜群なのだ。しかも、この人物は『ドクター・ストレンジ』続編の脚本にも参加しているところが注目ポイント。
そして、全6話を監督し、製作総指揮も務めるのがNetflixドラマ「セックス・エデュケーション」のケイト・ヘロンで、こちらもコメディー出身。彼女はSF好きで知られ、The Playlist のインタビューでは「この作品をSF映画へのラブレターにしたいから、いくつかのSF映画を真似しています(笑)」と発言するほど。『ブレードランナー』『メトロポリス』『エイリアン』『砂の惑星』といった名作に加え、英国流のヒネクレたユーモア満載のダグラス・アダムスの小説「銀河ヒッチハイク・ガイド」を挙げているのもいい感じ。このクリエイターたちが、これからどんなドラマを描くのか。
<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>まさかのロキvsロキ!初回から小ネタ満載
マーベル恐るべし! 今回も期待を裏切らない。「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」はストレートな展開の作品だったので、今回は「ワンダヴィジョン」のようなヒネリと小ネタ満載のドラマになるだろうと誰もが期待するところ、その期待に応えつつ、ラストに「おお!」と驚くサプライズを盛り込んできた。犯行を続ける変異体の正体が、もう一人のロキだったとは。マーベルの親会社は、自社の悪役を主人公にした映画を作ると、そのキャラを善人に変更してしまいがちだが、この設定なら、片方は悪役のまま問題を回避できる。しかも、ロキは多面性が魅力のキャラなので、ロキが二人になって複雑さも二倍。ロキvsロキとは、このキャラにぴったりの設定ではないか。そして、もう一人のロキの目的は何なのか、それを解明する謎解きの面白さまでプラスされている。
さらにドラマを面白くしてくれそうなのが、「実はあの事件の犯人はロキだった」というエピソード。ロキが飛行機をハイジャックする話は、1971年に実際に起きたD.B.クーパー事件のことで、この事件の犯人は現在も不明。今後もこういう実話エピソードが出てくるのではないだろうか。
そして、マーベル系の小ネタはてんこ盛り! ロキが謎の組織TVAで呼ばれる時の苗字「ラウフェイソン」は原作コミックでの本名。「オーディンソン」はロキを養子にしたオーディンの苗字なのだ。また、エンドクレジットにも登場するロキの調書にて、性別が「fluid(流動的)」であるという新事実も判明。これはコミックやその元になった神話で、ロキが女性になったことがあることを踏まえている。
TVAやタイムキーパーズもコミック既出だが、人物にもコミックのキャラクターがいる。オーウェン・ウィルソン演じるメビウスは、コミックのメビウス・M・メビウス捜査官らしく、口髭と灰色の髪が原作と同じ。また、ググ・ンバータ=ロー演じるTVAの上級職員は、エンドクレジットで表記される役名がラヴォーナ・レンスレイヤー。コミックでは異次元の王女であり、征服者カーンの恋人。征服者カーンは時間旅行能力を持ち、映画『アントマン』第3弾の悪役と発表済みなので、本作と『アントマン』第3弾の関係も気になるところ。
さらに、今後のMCUにおける重要キーワード、ネクサスとマルチバースが、ロキが見るTVAの説明動画に出現。タイムラインが枝分かれすることが「分岐イベント」と呼ばれ、表示されるのがネクサス・イベント(nexus event)の文字。それを放っておくと「多元宇宙にわたる戦争が起きます」と言う時に表示されるのが危険:マルチバースの文字である。
マルチバースとは、マーベル・コミックの世界が複数存在するという設定、つまり多元宇宙のこと。この設定は、アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』にも登場しており、『スパイダーマン』シリーズ第3弾『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(原題) / Spider-Man: No Way Home』にも導入されると言われている。『ドクター・ストレンジ』続編のタイトル『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題) / Doctor Strange in the Multiverse of Madness』にまで入っている重要ワードだ。
そして、ネクサスという言葉は「ワンダヴィジョン」第7話のCMにも登場。コミックにおけるネクサス・ビーイングは多元宇宙を行き来できる存在のことで、ワンダことスカーレット・ウィッチや前述の征服者カーンが該当する。この言葉も、今後の新作に絡むのかもしれない。
ところで、1549年のフランスで、目撃者の少女が犯人に似た姿として悪魔を描いたステンドグラスを指差すが、そこで気になったのが、悪魔の額のツノの形がロキの兜に似ていること。 Comicbook.comは、トム・ヒドルストンが本作の記者会見で「ロキのツノの由来が描かれる」と明言したと報じており、このエピソードがその話に繋がるのか? まずは来週配信の第2話を待とう。
「ロキ」はディズニープラスにて独占配信中 (毎週水曜日16時に新エピソード配信)
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