丸山隆平~キャラクターを愛させる俳優 温度のある芝居で、代わりのきかない存在へ
銀幕のジャニーズ
映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面に注目し、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第23回は、関ジャニ∞の丸山隆平。(文・新亜希子)
2004年、関ジャニ∞のメンバーとしてCDデビュー。グループではベースを担当している。2012年「ボーイズ・オン・ザ・ラン」にて連続ドラマ初主演を、2017年『泥棒役者』にて映画単独初主演を果たした。助演としての評価も高く、コンスタントに俳優として活躍。
映画デビュー作:『ワイルド7』(2011年12月21日公開)パイロウ役(当時28歳)
原作は望月三起也による人気漫画作品。実写映画化にあたり、物語の舞台を昭和から平成(現代)へと移している。白バイに乗った超法規的な警察組織「ワイルド7」が、国家の危機を救うべく悪人を裁くバイクアクション。本作出演のために大型二輪免許を取得した丸山は、長めに伸ばした髪を耳にかけたワイルドなビジュアルで爆弾魔のパイロウを演じた。「ワイルド7」のメンバーには、瑛太や椎名桔平らそうそうたる俳優が名を連ねる。
ドラマデビュー作:「七人のサムライ J家の反乱」(1999年4月9日- 2000年9月30日)城之内隆平役(当時15歳)
ABCテレビで放送された番組で、前半はドラマ、後半はバラエティーコーナーで構成されており、毎回ゲストが出演した。ドラマは、東京の下町で豆腐屋を営む城之内家が舞台に、父親・武男(地井武男)と6人兄弟による7人家族の絆が描かれた。兄弟役を小原裕貴、今井翼、村上信五、安田章大、錦戸亮が務めた。丸山が演じたのは、アイドル志望の四男・城之内隆平。まだ10代のころの丸山の初々しい演技が光る。
映画俳優としての主な活躍:
直近に出演した2作はとくに、丸山らしいハマり役だった。『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』では真剣に生徒たちと向き合う、心あたたかなジビキ先生を関西弁で演じた。少しだらしないところも人間的で愛おしいキャラクターだ。『泥棒役者』は、ほぼワンシチュエーションで繰り広げられる喜劇。しかし、丸山演じるはじめの人柄や葛藤が伝わるからこそ、じんわりと泣ける作品でもあった。悲劇ではなく喜劇で観客が涙するには、技術だけではないなにか、少なくとも、人間としての温度が伝わらなくてはならない。丸山の芝居には、確かにそれがあった。
途切れることなくコンスタントに俳優として活躍しているのは、求められている証拠。とはいえ、決して持ち前の優しさや明るさだけで勝負しているわけではない。なにかと器用な丸山だが、それ以上に真面目で努力家だ。同系統の役を求められることもあるなか、それぞれきちんと味があり温度がある。観る者に、キャラクターを愛させることができる俳優だ。
アイドルというだけで、色眼鏡で見られることもあるジャニーズ俳優。丸山も例外ではなかったかもしれない。けれど、いまや代わりのきかない存在。期待に応え続け、「丸山でなくてはならない」役を掴み取っている。
最新作『泥棒役者』(2017年11月18日公開)大貫はじめ役
原作・脚本・監督は西田征史。もとは2006年に片桐仁ときたろうが主演をつとめた舞台作品であり、本作公開ののち、翌2018年には丸山主演で舞台版が再演された。
泥棒稼業から足を洗い、町工場で働きながら恋人の美沙(高畑充希)とつつましくも幸せに暮らしていたはじめ(丸山)。しかし、出所したばかりのかつての泥棒仲間・則男(宮川大輔)から「美沙に過去をバラす」と脅され、泥棒の協力をすることに。忍び込んだ豪邸で「豪邸の主人」「絵本作家」「編集者」と別人に間違われ続けるはじめ。泥棒であるとバレないよう必死になりすまそうとするが、次第に食い違いが生じる。
作品全体の色彩も含め、どこか非現実的な世界を楽しめるコメディーだが、はじめが抱える葛藤には、人間らしい切なさがある。はじめと美沙の何気ない日常も印象的なシーンだ。息の合った演技で、実に仲睦まじいカップルに見えるが、一緒に撮影した期間はわずか2日間だという。
フィルモグラフィー(映画)
『ワイルド7』(2011年12月21日公開)パイロウ役(バイクアクションが見どころ)
『エイトレンジャー』(2012年7月28日公開)丸之内正悟(オレンジ)役(デビュー8周年に向け何気なく話していた企画が実現)
『ストロベリーナイト』(2013年1月26日公開)湯田康平役(ドラマ版のレギュラーキャストとして劇場版にも出演)
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014年6月21日公開)ジビキ役(主演・芦田愛菜演じる主人公の担任教師を関西弁で演じた)
『エイトレンジャー2』(2014年7月26日公開)丸之内正悟(オレンジ)役(前作から5年後を描いた作品)
『泥棒役者』(2017年11月18日公開)大貫はじめ役(くるくるのパーマ頭で演じた初主演映画)
フィルモグラフィー(ドラマ)
「七人のサムライ J家の反乱」(1999年4月9日- 2000年9月30日)
「国盗り物語」(2005年1月2日)森蘭丸役
山村美紗没後十年スペシャル 名探偵キャサリンvs十津川警部「京友禅の謎~華の密室殺人事件」(2006年8月7日)四郎役
「自転車少年記」(2006年11月23日)草太役
「ダブル(複体)」(2006年12月28日)丸山役
「輪違屋糸里 ~女たちの新選組~」(2007年9月9日・10日)沖田総司役
「歌のおにいさん」(2009年1月16日 - 3月13日)斉藤守役
「0号室の客~HOTEL POINT~/Second Story 才能のある男」(2009年11月20日 - 12月4日)五十嵐修役
「フリーター、家を買う。」(2010年10月19日 - 12月21日)豊川哲平役
「フリーター、家を買う。スペシャル」(2011年10月4日)豊川哲平役
「ストロベリーナイト」(2012年1月10日 - 3月20日)湯田康平役
「ストロベリーミッドナイト」(2013年1月22日 - 1月25日)湯田康平役
「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」(2013年1月26日)湯田康平役
「O-PARTS オーパーツ」(2012年2月27日 - 3月1日)柿沢雄一役
「13歳のハローワーク」最終話(2012年3月9日)ゲスト出演
「パパドル!」(2012年4月19日 - 6月28日)丸山隆平役
「パパドル!特別編」(2012年5月3日)
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(2012年7月6日 - 9月7日)田西敏行役
「泣くな、はらちゃん」(2013年1月19日 - 3月23日)田中くん役
「ストロベリーミッドナイト」(2013年1月22日 - 1月25日)湯田康平役
「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」(2013年1月26日)湯田康平役
「世にも奇妙な物語'13 春の特別編」の「石油が出た」(2013年5月11日)湯元義弘役
「地獄先生ぬ~べ~」(2014年10月11日 - 12月13日)オープニングナレーション/鵺野鳴介役
「誘拐法廷~セブンデイズ~」(2018年10月7日)宇津井秀樹役
「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」(2019年1月21日 - 3月11日)加東亜希彦役
「大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~」(2020年6月6日 - 7月11日)辰五郎役
「知ってるワイフ」最終話(2021年3月18日)ゲスト出演
「着飾る恋には理由があって」(2021年4月20日 - 6月22日)寺井陽人役