歌って踊って、そして演技でも人を楽しませたい! マルチな表現者を目指す佐藤友祐
イケメン発掘調査隊
『星空のむこうの国』佐藤友祐(さとう・ゆうすけ)【第156回:イケメン調査隊】
インタビュー
Q:『星空のむこうの国』への出演の経緯を教えてください。
去年の9、10月あたりに監督との面談がありました。「どんな映画が好き?」と聞かれるなかで、そのころ、たまたま『インターステラー』というSF映画を観ていたので、その話をしたんです。そうしたら、監督から「『星空のむこうの国』を、また新しく自分の作品を撮り直すんだけど、要はそういうSFなんだ。自分がいる世界とは違う世界との話を撮りたいんだ」と言われて。それで、「主人公の親友の尾崎という役でセリフも多いし、物語のキーパーソンでもあるんだ」という話をされたときに、僕は主人公やヒロインをつなげるような全体の流れを作る役回りをやってみたかったので、「ぜひよろしくお願いします」で始まりました。
Q:撮影自体は11月から始まったそうですが、それまでの間に尾崎を演じるにあたって、どんな準備をしていたのですか?
とにかくセリフが難しくて、正直、最初は何のことなのかわからないことや言葉も多かったんです。「パラレルワールド」とか、現実の世界ともう一つの世界とのつながりとか。それが自分できちんとわかるように、台本を死ぬほど読みました。とにかく、物語を頭に叩き込まないといけないという思いでしたね。
Q:尾崎をどんなキャラクターだと分析しましたか?
主人公の昭雄と同じく、尾崎もクラスの中でも決してイケイケのグループではない。地味なほうだけど、昭雄とは唯一心を許して話せるような間柄なんです。で、昭雄は内向的なタイプで、僕が演じる尾崎が昭雄を引っ張っていく。ムードメーカーの部分が多いキャラクターですね。
Q:今、目の前にいる佐藤さんと尾崎とではずいぶん違う感じがします。
でも、プライベートは昭雄みたいな感じですよ。外見も尾崎のように眼鏡をかけてるし、髪も適当に水で濡らして、整えたみたいな感じ(笑)。僕、ゲームが好きなんですけど、ゲームを語るときは尾崎みたいな感じだし。だから、演じる上で役づくりはそんなにしてないです。それに、今年25歳なんですけど、僕自身、演じることでの年齢的なギャップはそんなになかったんです。ただ、ほかの共演者の方たちが20歳、17歳だったりで、自分が浮いてしまわないか不安になったんです。でも、そこは自分が一応、年上だから、現場の雰囲気は自分が率先して明るい感じにしたいなと撮影には入りました。
Q:昭雄役の鈴鹿央士さんと共演した感想は?
最初、央士君自身も、昭雄と同じようにおとなしい雰囲気なのかなと思ったんです、見た感じも素朴だから。でも、あまりしゃべらないのかなと思っていたら、家が近いことがわかって、一緒にご飯に行ったり。ゲームなどお互いの趣味も合って。撮影初日、終わったときには意気投合して、めちゃくちゃ話してました。おかげで、撮影中もすごく仲良くできて。昭雄とじゃれ合うシーンなど、アドリブで、ガチでいじってました(笑)。
Q:高校時代は、尾崎のような学生だったんですか?
僕は、高校時代はもう芸能界に入っていたので、学生生活がしっかりできたのは1年の時だけでした。中学校の時はハチャメチャだったので、高校からは真面目に勉強しようと思い、ちょっと暗かったかな(笑)。でも、暗いというより、クラスの中ではあまり目立たず趣味の話のときだけは友だちと盛り上がる。なんとなく尾崎みたいな感じでした。
Q:完成した映画を観た感想は?
尾崎っていい奴だなって改めて思いました。昭雄や理沙、お母さんたちの想いもわかりつつ、でも尾崎なりの考えも出さなくてはならない。観ていただけたらわかると思うんですが、尾崎だって理沙のことが好きなんだけど、その気持ちを抑えて、昭雄や理沙のために行動する。俺、尾崎を演じられて、本当に良かったと思いました。僕のセリフって物語の解説みたいなところも多いのですが、観た方に少しでもわかりやすく、自然と頭のなかに入っていくように心がけました。そんなところも皆さんに伝わると嬉しいですね。
プライベート 一問一答
Q:芸能界に入ろうと思ったきっかけは?
僕、人見知りなんです。でも、学生時代、合唱コンクールで指揮者をやったり、文化祭でギターを弾いたり、人から注目されることが好きでした。また学校にカッコよくて、キラキラしている人がいたんですけど、そういう人に憧れることも多かった。子どものころ、僕が育った北海道のプロ野球チームの日本ハムに新庄剛志選手がいたんですけど、僕のなかではプロ野球選手ではなくてスーパースターというイメージでした。本当に新庄選手は人を楽しませることが好きで、僕が小学校の4、5年生の時だったと思うんですけど、札幌ドームの天井からミラーボールに乗って登場したのを会場で観ていたんです。この人って、本当にスターだな、カッコイイなーと思いました。ハチャメチャだけど、表現者として新庄さんに憧れたのが、そもそもの始まりですね。
Q:自分の性格を一言でいうと…
ものすごく怠け者です(笑)。やることが決められていたり、自分でやらなきゃと思ったことはしっかり頑張ります。でもなにも予定がないと一日中寝てるぐらい、ダメな人間です。他力本願ですね(笑)。
Q:今回のように俳優として演じるということは、普段のグループでの活動にとって、どんな影響や刺激がありますか?
僕にとっては演技もグループでの活動も、表現という枠で考えると、一緒です。ただ、今回の作品でいえば、尾崎というキャラクターでやるか佐藤友祐でやるかの違いがある。一つひとつを詳しく見れば、舞台と演技に違いは出てくると思います。とはいえ、今回の映画で技術的なことも学んだし、共演者からもらうエネルギーや演技力はとても勉強になりました。たとえば、理沙の母親役を務めた有森(也実)さんの演技を間近で見る機会があったんですが、一瞬にして役に入る。その切り替えはすごいと思いましたし、感化されました。また鈴鹿君の演技はすごくナチュラルで、だから、それに合わせて僕もナチュラルに演技したほうがいいかなと思ったり。普段のグループでは得られない経験がありました。
Q:演技とパフォーマンス、どちらが好きですか?
演技のほうかなって思いました。演じるというのは自分では誰かになるわけだから、ものすごく楽しいんです。音楽の方は仕事といった意識は全くなくて、自分が本当にやりたいことがそのまま佐藤友祐としてみんなに見てもらえている。表現という面では一緒だけど、自分を表現するのと作品の中のキャラクターを演じることは別ものかなと思っています。
Q:俳優として目標にしている人は?
昔から好きなのは、大沢たかおさんです。この前の『AI崩壊』もそうですが、昔の作品『GOEMON』という時代劇映画があって、その中で大沢さんは雲隠才蔵という忍びを演じているのてすが、とてもカッコいい。また『キングダム』で王騎将軍を演じた大沢さんも素敵でした。もともと原作の王騎が好きでしたが、漫画の実写化って難しいじゃないですか。批判されるものも多いけど、一方で『るろうに剣心』みたいに受け入れられるものもある。『キングダム』での大沢さんの王騎将軍の再現度が高かった。そこまで似る? と思ってしまうほど。筋肉もたくさんつけて、プロ意識が半端じゃないと思います。将来、大沢さんと共演することができたら、夢のようですね。
Q:好きな映画は?
アクションが好きなので、ジェイソン・ステイサム主演の作品や『アベンジャーズ』シリーズが好きです。最近、観たもので感化されたのは、『ヤクザと家族 The Family』。これはとてもよかったです。このような作品を見ると、演技っていいなと思えます。
Q:どんな人を演じたいとか、どんなジャンルの映画に挑戦してみたいといった目標はありますか?
今はこういう作品に出たいというよりも、出させていただけるならばなんでもです。ただ、年齢的に25歳なので、やれるうちに青春映画はもっとやっておきたいです。キラキラした学生生活をちょっと演じてみたい。でも、その一方で、もっと演技力をつけて、渋い大人を演じられるようにもなっていきたいと考えています。
Q:俳優として意識づけのために、心がけていることは?
とにかく、いろんな映画を観るようにしています。さっき挙げた『ヤクザと家族』などのように自分の知らない世界を描いた作品を観ると、勉強になることも多いです。また、『愛がなんだ』を観たときは感動しました。その中に出演している若葉竜也さんという俳優さんの演技には驚きました。自然体というか、とてもリアルな演技だった。あんなに自分をさらけ出した演技を、いつか僕もできるようになりたいです。
Q:どんなに人に惹かれますか?
芯のある人ですね。ブレないで、自分の思ったことを実行できる人がいい。自分のエゴを押し通すのではなくて、自分の中で曲げない信念を持っているけれど、人の意見を否定するわけでもなく、自分にとって必要なことは吸収できる。そんな柔軟性がある人はすごいなと思っています。自分の周りでいえば、EXILEのSHOKICHIさん。プライベートでもお世話になっているんですが、人として完璧だと思っています。本当にジェントルマンで、音楽が大好きでやりたいことではストレートに自分を表現する。とても尊敬しています。10歳下の僕にも優しく接してくれるので、ああいう大人な人になりたいですね。そして、女性でも芯のある人はカッコイイと思いますね。と言っても、なかなか出会わないけど(笑)。
Q:もし休みがあったら。
最近、仕事で免許を取らせてもらって以来、バイクが好きで。ツーリングに行きたいです。これまで僕はインドア派だったんです。で、「そういうインドアな奴に限ってハマるよ」と言われて、「そんなわけない!」と断言していたんですけど、次の週にはツーリングに行きました。まんまとハマってますね(笑)。あちこちの観光スポットに行っては、心を浄化している感じです。
Q:挑戦したいことは?
今はひたすら演技です。俳優として、何でもできる人になりたい。これしかやらないじゃなくて。賀来賢人さんのようにぶっ飛んだコメディーを演じるかと思えば、『AI崩壊』では、とてもシリアスな演技を見せてくれるような。マルチな人になりたいですね。
取材・文:前田かおり 写真:高野広美
インフォメーション MOVIE INFO
『星空のむこうの国』 『ぼくが処刑される未来』などの小中和哉が、1986年に監督を務めたラブロマンス『星空のむこうの国』をセルフリメイク。夢に現れる美少女と現実に対面した男子高校生が、時空を超えた恋模様を繰り広げる。主演は『ホリミヤ』シリーズなどの鈴鹿央士。オリジナル版に携った小林弘利が脚本、木住野佳子が音楽を担当している。
プロフィール
生年月日:1996年6月11日
出身地:北海道・札幌
身長:172cm
血液型:O型
趣味・特技:ゲーム、バイク
芸歴:「avex audition MAX 2013」でアクター部門グランプリを受賞。男女混成ダンス&ヴォーカルグループ「lol-エルオーエル-」のメンバーでもあり、アーティスト活動だけでなく、俳優、モデルなど多方面で活躍している。主な出演作は、dTV「進撃の巨人」(2015)、映画『一礼して、キス』(2017)など。
『星空のむこうの国』は公開中
(C) 2021「星空のむこうの国」製作委員会