衝撃！短編でも怖いショートホラーの世界

ブリリア ショートショートシアター オンライン × シネマトゥデイコラボ企画

　連日の猛暑が続く8月。こんな季節は背筋がゾっと冷えるような映画が見たいもの。世界のショートフィルムを毎週水曜日に公開しているショートフィルム専門のオンラインシアター Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE（BSSTO）では、「真夏のホラー&スリラー特集」と題して、8月限定で個性的なホラー＆スリラー作品4本を配信している。オリンピックの箸休めとして、真夏の夜に観てみてはいかがだろうか。

隣にいるのは誰!?『真夜中のベッドの中で / Through the Night』

『真夜中のベッドの中で / Through the Night』
監督　リー・クローニン
製作年　2009年
製作国　アイルランド
上映時間　約10分
配信期間　8月4日～8月31日

　夜も静まった中、隣に寝ている彼女の様子がおかしい……「あなたの隣に寝ているのは誰？」

　ホラー映画の怖さは、観る人の想像力に左右されるところが大きい。登場人物を自分と置き換えてみたり、描かれない画面の外で何が起きているか思い描いてみたり。想像力が豊かな人ほど、自然と想像が膨らんで、気持ちの悪いゾっとした感情を味わうものだ。

　わずか10分の本作では、ある夫婦の一夜を描く。深夜、不気味な妻のつぶやきで目を覚ます夫。また眠りにつくが、幾度か起こされる。その度に妻の様子は不可解になっていき……やがて、妻は異形のモノへと姿を変えてしまう。人知の及ぶ範囲は世界のごく一部で、わたしたちがまだ知らない霊や、はたまた人間に取り憑くもののけが存在している。そう思って周りを見渡してみると、わたしたちが信じているものがぐらぐらっと揺れてくる恐ろしさを感じる。

　アイルランドの首都ダブリン出身のリー・クローニン監督。本作を含むいくつかの短編を制作後、2019年にホラー映画『ホール・イン・ザ・グラウンド』で長編デビュー。同作は日本でも公開された。現在は2022年公開の映画『イーヴィル・デッド・ライズ（原題）/ Evil Dead Rise』（『死霊のはらわた』シリーズの続編）を制作中とのこと。

どんでん返し！予想を裏切られるラストのホラー『悪魔が死んだとき / When Demons Die』

『悪魔が死んだとき / When Demons Die』
監督　ダニエル・ルーベサム
製作年　2016年
製作国　ドイツ
上映時間　約18分
配信期間　8月4日～8月31日

　家の外にいる危険な何かがうろついているため、家から出ることを知らない8歳のジョシュア。しかし父親がいない間に外に踏み出してしまう。

　ゾンビが跋扈（ばっこ）する終末の世界、ワイルドな親父と内気で優しい8歳の息子は、田舎の一軒家にこもり外の世界におびえて暮らす。音楽や画作りは本格的で、夜ひとりで観ると、かなり怖い。これはホラー映画らしいホラー映画を見つけたぞ、と思ったのも束の間、ラストにはどんでん返しが待ち構えていて、いい意味で視聴前の想像を超えた鑑賞体験になった。

　『カメラを止めるな！』のヒットは記憶に新しいが、また違った味のある海外のゾンビ風映画。本当に怖いのは、ゾンビではなく……。ラストシーンまで是非ご覧いただきたい。父親役はイギリスのバイプレーヤーのクリスピアン・ベルフラージュ。

トラウマ注意！イギリス発のサイコホラー『セバスチャンと僕たち / Sebastian and Them』

『セバスチャンと僕たち / Sebastian and Them』
監督　ベンジャミン・ビー
製作年　2015年
製作国　イギリス
上映時間　約7分
配信期間　8月4日～8月31日

　セバスチャンには幼なじみから離れなければならない理由がある。しかし当の「友だち」はそれを願っていなかった。実話に基づく作品。

　実話を元にしているだけあって、実際にありそうで怖いサイコスリラー。心の病を患う主人公のセバスチャンの前に、捨てられた「友だち」が現れる……。「幻想」なのか「現実」なのか、その境目があいまいになり入り混じっていく様はまさに狂気。心が弱っている時に観ると映画の負の世界観へと引き込まれてしまいそう。耐性のある方にだけお薦めしたい1本だ。

スウェーデン版・世にも奇妙な物語『シャドウアニマル / Shadow Animals』

『シャドウアニマル / Shadow Animals』
監督　ジェリー・カールソン
製作年　2017年
製作国　スウェーデン
上映時間　約22分
配信期間　8月4日～8月31日

　少女は父親たちと一緒に、とある晩餐会に参加する。一見ただのパーティーのような雰囲気だったが、時間が進むにつれ、参加者たちの行動が奇妙になっていく。人間がまるで動物のような行動をとっていくのだ。

　20分超と短編としては長めの作品。晩餐会の出席者たちの正体は？　そして少女が呼び込んでしまった「影」の正体とは？　最後まで「謎」が「謎」として残るスリラー作品だ。

　ショートフィルムには、起承転結がきれいについた作品もあるが、奇想天外なインパクトを残して幕を引く作品もある。謎の残る作品は、そこから観る人が想像を膨らませ、自分の「読み」を語り合うことができる。その点もショートフィルムの魅力と言えるだろう。

　これから迎えるお盆休み。わたしたちの住む世界と異世界とが近づき、その間に通路が開ける。ほんの10分の映画体験が、あなたと異世界がつながるトリガーになるかもしれない。そんな想像力を持って、夏の夜を過ごしてみてはいかがだろうか？（大竹悠介）

今回紹介した各作品は「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」で配信中。