藤ヶ谷太輔~豊かな愛と闇の表現 人間的な欲望を美しく映し出す俳優
銀幕のジャニーズ
映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面に注目し、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第28回はKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔。(文・新亜希子)
2011年、Kis-My-Ft2のメンバーとしてCDデビュー。2014年『劇場版 仮面ティーチャー』にて映画初出演、初主演を果たす。コンスタントにドラマに出演・主演しているほか、近年は舞台作品での主演も増えている。
映画デビュー作:『劇場版 仮面ティーチャー』(2014年2月22日公開)荒木剛太役(当時26歳)
原作は藤沢とおるによる同名漫画。連続ドラマ、スペシャルドラマ、映画版とも藤ヶ谷が主演を務め、生徒と教師が深く関わらなくなった近未来を舞台に、生徒を更生させるためなら力による制圧も許可された特別教師「仮面ティーチャー」を演じた。なお劇場版は、ドラマ版の半年後という設定である。ドラマ版に引き続き、Sexy Zone の菊池風磨や現 King & Prince の岸優太、SixTONESのジェシー、京本大我らが出演した。
ドラマデビュー作:「下北サンデーズ」(2006年7月13日 - 9月7日)佐藤新役(当時19歳)
石田衣良による小説を原作とした、上戸彩主演のドラマ。劇団「下北サンデーズ」のメンバーであり、おしゃれなメガネ男子・サトシンを演じた。原作には登場しない、ドラマオリジナルキャラクターである。
映画俳優としての主な活躍:
人間的な欲望、愛、闇。そうした美しいばかりではないものを、不思議なほど美しく演じる俳優だ。それらを胸に秘める姿も、むき出しにする姿も、リアルでありながらどこか品がある。ラブシーンを演じることも多いが、アイドル俳優のサービス的なものではなく、愛があるのかないのか、あるとすればどの程度の深さなのか、表情や仕草で演じ分けている。とくに愛情に満ちあふれたシーンでは、観客や視聴者にもぬくもりが伝播するほど、豊かな愛を表現する。
映画作品はこれまで3本と本数こそ多くはないが、近未来劇、時代劇、現代ラブストーリーと幅広い作品に出演してきた。2022年には『そして僕は途方に暮れる』の公開が予定されている。2018年、劇作家・三浦大輔がシアターコクーンに初めて書き下ろし、藤ヶ谷にとっても初の同劇場主演となった同作は、観客から熱い支持を受けた。人間関係を描く同作は、コロナ禍の今だからこそ映画化の意義があるとし、実現の運びとなったという。誰にでもあるようなできごと、どこにでもいるような青年を、立体的に演じる難しさのある作品だ。苦悩が似合う俳優でもある藤ヶ谷。スクリーンにどう映えるか、期待したい。
最新作『MARS~ただ、君を愛してる~』(2016年6月18日公開)樫野零役
原作は惣領冬実の大ヒット漫画「MARS」。藤ヶ谷太輔と窪田正孝のダブル主演にてテレビドラマ化され、第4話放送終了後に劇場版の公開決定が発表された。ゆえに、映画版の冒頭ではドラマ版のストーリーがダイジェスト的に流される。
藤ヶ谷演じる樫野零は、奔放に生きる学校の人気者だが、ひとたび頭に血が上ると手が付けられないほどの凶暴性を秘めていた。とあるきっかけから、絵を愛する孤独な同級生・キラ(飯豊まりえ)と親しくなり、2人は恋に落ちるが、零の中学時代の同級生・牧生(窪田正孝)が転校してきたことにより、運命が狂い始める。
映画版は、ドラマでは描ききれなかった牧生の歪んだ愛を軸に展開する。窪田のさすがの怪演もありサスペンスの風味も強いが、だからこそ零とキラが心を通わせ、愛を育んでいくシーンは美しくあたたかに描かれ、ほっと心が安らぐ。
登場人物それぞれが言い知れぬ過去を持ち、深い心の闇を抱えている。だからこそ、愛とはなにか、愛に正解はあるのかを考えさせられる作品だ。
フィルモグラフィー(映画)
『劇場版 仮面ティーチャー』(2014年2月22日公開)荒木剛太役(主題歌はKis-My-Ft2「Luv Sick」)
『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』(2016年1月23日公開)前田利家役(ドラマ版からの続投)
『MARS~ただ、君を愛してる~』(2016年6月18日公開)樫野零役(主題歌はKis-My-Ft2「Gravity」)
『そして僕は途方に暮れる』(2022年公開予定)菅原裕一役(2018年上演の舞台を映画化)
フィルモグラフィー(ドラマ)
「下北サンデーズ」(2006年7月13日 - 9月7日)佐藤新役
「白虎隊」(2007年1月6日・7日)伊東又八役
「美咲ナンバーワン!!」(2011年1月12日 - 3月16日)九条和真役
「美食カメラマン 星井裕の事件簿2 ~京都 源氏物語 華の道の殺人~」(2011年4月25日)北條ひかる役
「美男(イケメン)ですね」(2011年7月15日 - 9月23日)藤城柊役
「理想の息子」(2012年1月14日 - 3月17日)三船憲吾役
「シニカレ」(2012年5月28日 - 9月17日)如月雅喜役
「ビギナーズ!」(2012年7月12日 - 9月20日)志村徹平役
「PRICELESS ~あるわけねぇだろ、んなもん!~」(2012年10月22日 - 12月24日)榎本小太郎役
「仮面ティーチャー」(2013年7月6日 - 9月28日)荒木剛太役
「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2013」の「Xホスピタル」(2013年8月17日)佐々木直樹役
「独身貴族」(2013年10月10日 - 12月19日)川越裕太役
金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画「仮面ティーチャー」(2014年2月14日)荒木剛太役
「信長協奏曲」(2014年10月13日 - 12月22日)前田犬千代役
「平成舞祭組男(へいせいぶさいくサラリーマン)」第1話(2014年10月18日)ゲスト出演
「MARS~ただ、君を愛してる~」(2016年1月24日 - 3月27日)樫野零役
「バスケも恋も、していたい」(2016年9月19日 - 21日)土屋朝光役
「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」(2017年4月23日 - 6月25日)館脇正太郎役
「ミラー・ツインズ Season 1」(2019年4月6日 - 5月25日)葛城圭吾/葛城勇吾役
「ミラー・ツインズ Season 2」(2019年6月8日 - 6月29日)葛城圭吾/葛城勇吾役 「やめるときも、すこやかなるときも」(2020年1月21日 - 3月24日)須藤壱晴役
「華麗なる一族」(2021年4月18日 ‐ 7月11日)万俵銀平役