実写化も話題!「聖闘士星矢」って?知っておきたいポイント
新田真剣佑主演のハリウッド実写化作品『Knights of the Zodiac』の制作と撮影完了が、2021年9月に発表された。1980年代にヒットした日本のコミックが、今、ハリウッドで初めて実写映画化されることに驚きを感じる人も少なくないのではないだろうか。「聖闘士星矢」とはどのような作品だったのか、どんな影響を及ぼす作品だったのか、あらためて振り返ってみたい。(文・大山くまお)
車田正美による漫画「聖闘士星矢」の連載が「週刊少年ジャンプ」で始まったのが、1985年の年末のこと。当時の「ジャンプ」は、「北斗の拳」「ドラゴンボール」「キン肉マン」「キャプテン翼」「シティーハンター」などの人気連載が群雄割拠す“ジャンプ黄金時代”を迎えていた頃。その中にあって「聖闘士星夜」はまたたく間に人気を勝ち得ていく。
ストーリーは以下の通り。孤児の少年・星矢が壮絶な修行を積み、聖闘士(セイント)として覚醒、聖衣(クロス)と呼ばれる星座をかたどった防具を身にまとい、女神アテナを守るための壮大な戦いを繰り広げる。熱血漢・星矢と仲間たちの「友情・努力・勝利」を熱く描いた、「ジャンプ」のお家芸とも言える正統派バトルものである。
「聖闘士星矢」の人気を決定づけたのは、1986年10月にスタートしたアニメ版だ。当時としても異例のスピードで実現したアニメ化で、土曜夜7時というゴールデンタイム(一部地域を除く)に放映されたこともあって、放送開始とともに人気が沸騰。主人公の星矢が使う必殺技「ペガサス流星拳」を真似する子どもが続出し、日本中でブームとなった。主題歌「ペガサス幻想(ファンタジー)」は今でもアニソンの定番として耳にする機会が多い。そして、キャラクターと聖衣を立体化したフィギュア「聖闘士聖衣大系」も大ヒット。アニメの人気は海外にも飛び火し、フランスやイタリアを中心としたヨーロッパ圏、ブラジルなどの南米をはじめとする世界80以上の国と地域で放映されてきた。
「聖闘士星矢」で特筆すべきなのは、本来のターゲットである少年層のみならず、幅広い年代の女性からも圧倒的に人気を得たという点。人気の的になったのは次々と登場する美少年キャラクターで、まずはペガサス星矢とともに戦う青銅聖闘士(ブロンズセイント)の仲間たち、キグナス氷河、ドラゴン紫龍、アンドロメダ瞬、フェニックス一輝が人気となり、さらに美少年キャラクターの集団である黄金聖闘士が登場すると人気が爆発。先行して女性の人気を獲得していた「キャプテン翼」とともに多数の同人誌が作られ、同人誌即売会「コミックマーケット」が巨大化していく一因にもなった。また、「聖闘士星矢」のように、複数の美少年キャラクターが登場して戦うアニメがいくつも制作されていった。
注目したいのは、原作コミックの連載が終了し、アニメの放映も一旦終わった1991年に制作された舞台版「聖闘士星矢」。主要キャラクターにはデビュー間もなかったSMAPのメンバーがふんしており、ペガサス星矢を中居正広、ドラゴン紫龍を草なぎ剛、キグナス氷河を森且行、アンドロメダ瞬を香取慎吾、フェニックス一輝を稲垣吾郎が演じている。木村拓哉がふんしたのは、敵役の海皇ポセイドンだった。この舞台はミュージカルであり、2000年代以降に大ブームを巻き起こす「テニスの王子様」などのいわゆる“2.5次元舞台”の先駆け的存在でもある。
本編の連載が終了した後も、断続的に続編作品や派生作品が発表され続け、アニメ映画やオリジナルビデオアニメも制作された。2019年にはNetflixオリジナルのアニメシリーズ「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」の世界独占配信がスタート。今も続く「聖闘士星矢」の世界的な人気をあらためて知らしめた。
世界の運命をめぐるダイナミックなストーリー、数多く登場する美少年キャラクターたち、必殺技が飛び交う迫力満点のバトルが三位一体となり、世界中で人気を博してきた「聖闘士星矢」。初めての実写化であるハリウッド映画が世界中の期待を寄せられているのは、当然のことだと言えるだろう。