松本潤「99.9」シリーズの逆転劇を総まくり!
今週のクローズアップ
2016年と2018年にTBSの日曜劇場枠(毎週日曜夜9時~)で放送された人気ドラマシリーズの劇場版『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』が、12月30日より公開される。刑事事件専門の型破りな弁護士・深山大翔(松本潤)が所属する 斑目法律事務所のメンバーの活躍を描く本シリーズについて、ドラマのSEASON I&SEASON IIで深山が「事実」を導き出してきた事件を振り返ってみた。(編集部・石井百合子)
主人公
刑事事件専門の型破りな天才弁護士
深山大翔(みやま・ひろと 演:松本潤)
99.9%有罪とみなされた案件でも、残された0.1%の事実を自らが納得するまでとことん追求する刑事専門弁護士。スーツにリュックがデフォルト。常に冷静でひょうひょうとしている。モットーは「99.9%が有罪だとしてもそこに事実があるとは限らない。0.1%に事実が隠されているかもしれない」。出世には興味がなく、「事実を知ること」のみを追求する。グルメで、常にマイ調味料を持ち歩いている。料理の腕前も相当で、いとこが営む小料理屋「いとこんち」で料理をしながら考えをまとめるのが常。何か閃いたときに耳を触る癖がある。親父ギャグ好きで、シリアスな場面でも突如繰り出したりして斑目法律事務所の面々を戸惑わせている。上司の佐田篤弘(香川照之)とは“犬猿の仲”だが、親父ギャグを披露するときだけ“親友”になる。その親父ギャグは、亡くなった父譲りのもの。
SEASON I ※2016年4月期放送。平均世帯視聴率17.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)
1話 依頼人:運送業の経営者・赤木義男(演:赤井英和)
流通業界の風雲児としてメディアを賑わせたネットショップ社長が殺害された事件の容疑者として逮捕されるが無罪を主張。犯行時刻の数分後にガード下で赤木を目撃したという証人の矛盾を見破った。その明かりの中では色が違って見えるというナトリウムランプの特性を生かした謎解きが展開した。
事件を解くキーワード:ナトリウムランプ
2話 依頼人:山下 (演:風間俊介)
口論となった男を、もみ合いの末にナイフで殺害した疑いで逮捕されるが正当防衛を主張。殺害された男性は、室長・佐田(香川照之)のクライアントであった会社会長の孫だったことから早期解決の圧力をかけられる。深山は現場付近にいたホームレスに聞き込みをし、犯行現場にいた第三者を割り出した。
事件を解くキーワード:現金が入った封筒
3話 依頼人:被告人の母・冴子 (演:麻生祐未)
建設会社の金庫に常備していた非常用資金1,000万円が盗まれ、経理を担当していた果歩 (山下リオ)の自宅の押入れから現金1,500万円が見つかり逮捕された。金庫の暗証番号を知っていたのは社長と専務、果歩の3人だけだったこと、犯行当日に出張に出かけていたという社長と専務のアリバイに注目した。
事件を解くキーワード:金庫の暗証番号
4話 依頼人:太陽光発電に関する発明者・菊池 (演:板尾創路)
菊池が職場の元同僚である 井原宏子 (ハマカワフミエ) への強制わいせつの罪で告訴される。特許技術が完成間近だった菊池は、勤務先の研究所社長・鵜堂 (升毅) から早期解決のために示談を提案され受け入れるが、それは社会からの抹殺を意味していた。示談になり被害者が告訴を取り下げると二度と事件としては扱われないため、深山が大胆なアイデアでリベンジした。
事件を解くキーワード:ドライブレコーダー
5話&6話 依頼人:谷繁 (演:千葉雄大)
三枝 (平田満) に暴行したとして逮捕された谷繁。しかし、深山・彩乃 (榮倉奈々)との接見の最中、「あいつが殺したんだ……」とつぶやき意識不明の重体に。谷繁の妹から18年前に父親が自殺していたことが明かされるが、彼が遺した手帳をきっかけに谷繁の父は三枝に殺害されたのではないかという疑いが浮上。さらに、谷繁の父が亡くなった同日に起きた「杉並区資産家令嬢殺人事件」の目撃証言をしていたのが三枝だった。三枝の証言により起訴された大学生の真島(菅谷哲也)が無期懲役の有罪判決を受け、無罪を訴えながら獄中で死亡したという。しかも、この事件の担当検事が佐田だったことが判明。深山は三枝がアリバイ作りのために虚偽の証言をした可能性もあるとにらみ、二つの事件の真相を解明することに。
事件を解くキーワード:谷繁の父が遺した手帳、電柱
7話 依頼人:大手玩具メーカーの副社長・河村英樹 (演:高嶋政伸)
大手玩具メーカーの社長が副社長である息子の河村英樹に殺害される。しかし逮捕されたのは、専務の西岡 (嶋田久作) 。英樹は、裁判が長引けばイメージダウンになるとの理由から深山らに西岡の弁護を依頼する。これまでの展開と異なり、冒頭で犯行の一部始終、犯人を見せてから深山がいかにして真相にたどりつくのかという異例の展開となった。
事件を解くキーワード:花瓶
8話 依頼人:深山大翔(演:松本潤)
深山が殺人の容疑で逮捕されるという衝撃回で、深山の父を巡る哀しい過去も明らかに。深山が鈴木(林泰文) という男とレストランで会っていた際、鈴木が深山が作った調味料を料理にかけて口にしたとたん、苦しみ倒れ、病院搬送後まもなく死亡。深山の自宅から押収したパソコンから毒物の購入履歴が発見された。さらに、鈴木が深山を脅していたという事実も浮上。佐田や彩乃ら斑目法律事務所の面々が一丸となって深山と連携しながら彼の無実を証明すべく奔走した。
事件を解くキーワード:ポケットのフラップ(ふた)
9話 依頼人:富豪一家の三男の妻・皐月 (演:国仲涼子)
アガサ・クリスティーの世界を思わせる富豪一家の物語。山城鉄道の会長が殺害され、三男の妻である皐月が犯行を自供。深山は一族の証言が「皐月が会長の朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていた」とつじつまを合わせたかのように一致していることに違和感を抱く。深山が事件の真相にたどり着く過程もさることながら、その後の戦慄の展開が見もの。
事件を解くキーワード:ネクタイ
10話 依頼人:石川陽一(演:中丸雄一)
深山と因縁のある大友検事正 (奥田瑛二) の対決回。連続殺人事件の容疑者として逮捕された石川。殺害現場に毛髪と血痕が残されていたことで逮捕され犯行事実を認めていたが、検察の丸川 (青木崇高) による強引な取り調べに追い詰められ、調書にサインをしてしまったという。その後、深山の調査により石川のアリバイが証明されるが、大友が丸川に訴因変更(起訴状に記載された訴因または罰条を、審理の途中で追加・撤回・変更すること)を命じ、対抗。深山は、石川に25年前に亡くなった自分の父の二の舞をさせないために戦う。
事件を解くキーワード:週刊誌の記事
SEASON II ※2018年1月期放送。平均世帯視聴率17.6%、最終話の世帯視聴率は21.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)
1話 依頼人:加害者の娘・加代(演:谷村美月)
沢村ファイナンスの社長が殺害され、借金をしていた鈴木が容疑者として逮捕・起訴される。依頼人・加代の親友で、付き添いとしてやってきたのは元裁判官の尾崎舞子(木村文乃)だった。ところが舞子が求めたのは鈴木の無実を証明することではなく情状酌量で、深山と真っ向から対立。深山は事件当日、鈴木にゆるキャラを背景にした写真を撮ってもらったという社員の証言に注目する。パラリーガルの中塚美麗(馬場園梓)が着任した。今はアメリカにいる彩乃と同じくプロレスマニア。
事件を解くキーワード:ホヤぼーや
2話 依頼人:なし
「まるで最終回」のようと反響を呼んだ神回。深山が、26年前に父・大介(首藤康之)が逮捕された殺人事件の被害者・美里の妹(野々すみ花)から連絡を受け、事件現場に落ちていたというお守りを入手。それは現場に第三者がいたことを示す新証拠で、深山は父の無実を証明すべく丸川や斑目法律事務所の面々の力を借り、事件の担当検事だった大友と対峙する。深山が美里の遺体を発見した当時の警察官・三宅にお守りを見せた際、表情を曇らせたことから、ある事実を確信することになる。
事件を解くキーワード:なまずが描かれたお守り、透明人間
3話 依頼人:ロック歌手・ジョーカー茅ヶ崎(演:宇崎竜童)
ジャーナリスト・安田(伊藤高史)の殺害容疑、及び事件の目撃者・石川(安達祐実)の殺害未遂容疑で逮捕されたジョーカー茅ヶ崎。殺人事件では目撃証言、殺人未遂事件では、凶器に茅ヶ崎の指紋があった。検察官立ち合いのもと行われた意識を取り戻した石川との検証実験から、石川の目の異変に気付く。一方、舞子と元上司で東京地裁・所長代行の川上や、先輩だった山内(松尾諭)のやりとりから司法の危うさが浮き彫りに。舞子が中学時代、腹話術部にいたことがわかる。
事件を解くキーワード:モアイ像の写真立て
4話 依頼人:被疑者の妻・岩村梢(演:有森也実)
佐田が刑事裁判から民事裁判に切り替える奇策が展開したエピソード。取引先のタナハシ機械製作所専務・棚橋幸次郎を殺害後、自殺したとされる工場の社長・岩村直樹。被疑者死亡のまま書類送検され不起訴処分になり、梢は幸次郎の兄で社長の政一郎(迫田孝也)から損害賠償請求されていた。そんな折、直樹がエンジンに関する特許を個人で所有していたことが判明し、事態は急変。深山は、直樹の趣味を手掛かりにアリバイを証明する。工業会社の社長・足立(塚地武雅)ら直樹と同じタナハシの下請けだった人々が、口をそろえて直樹が「契約打ち切りのことで悩んでいた」と話すことに疑問を抱く。佐田とライバルである民事でやり手の弁護士・森本貴(近藤芳正)が激突。
事件を解くキーワード:モンスタークッキング(料理番組)
5話 依頼人:引っ越し業者・山崎大輝(演:市川理矩)
斑目法律事務所の元メンバーで今は新事務所を構える志賀(藤本隆宏)と奈津子(渡辺真起子)が、請け負った刑事裁判の弁護に協力してほしいという。女子高生(清原果耶)に対する強制わいせつ事件で、17歳の山崎大輝とその友人である大江徳弘(福山翔大)が起訴された。深山らが山崎のアリバイ証明に成功しそうになるたびに強引な手段で阻止され、裁判所と検察が結託している構図が浮かび上がる。そんななか、大江が突然自白。違和感を抱いた深山は、被害者が襲われた日に起きたもう一つの事件に目を向ける。焼肉屋の店員を演じたのがアキラ100%で、焼肉店の名前は「焼肉100%」。100%のワードが多く登場した。
事件を解くキーワード:雨雲レーダー
6話 依頼人:大酉寿司店主・新井英之(演:竜雷太)
舞子と弟・尾崎雄太(佐藤勝利)、姉弟の確執を巡るエピソード。不動産屋・平田(三又又三)の殺害容疑で警察から事情聴取を受けているという新井。しかし、後日事件の容疑者として逮捕されたのは舞子の弟・雄太だった。彼は、2年前にも窃盗事件で有罪判決を受けていた。深山はいずれの事件も潔白だと訴える雄太を受け止め、事件現場付近で弁当を売っていたキッチンカーの店員の証言から真犯人を突き止めた。キッチンカーの店員を演じたのはIZAMで、エプロンには「September Love」と書かれていた(IZAMが所属していたバンドのヒット曲『すみれ September Love』にちなんだと思われる)。
事件を解くキーワード:パクチーマミレ(正しくはパクチー弁当スミレ)
7話 依頼人:弁護士・佐田篤弘(演:香川照之)
川上の思惑により、佐田が窮地に。佐田が顧問弁護を務めるオガタテクノロジーの社長・緒方(ヒャダイン)が失踪。緒方は会社の資金3,000万円を引き出した後、姿をくらまして業務上横領の容疑がかけられており、佐田の個人口座に数百万円の振り込みがあったことから佐田が業務上横領幇助の容疑で逮捕される。緒方の元妻(アンミカ)の情報によると、緒方は数万人に1人が発症する病を患っておりすでに死亡している可能性が浮上。深山は緒方が二つのメガネを使用しており、失踪当日にかけていたメガネのある場所が、彼が最後にいた場所であるとにらむ。
事件を解くキーワード:二つのメガネ
8話 依頼人:ニシカワメッキ社長・西川五郎(演:おかやまはじめ)
深山が裁判長・川上に敗北してからの逆転劇が展開する。選挙を控えた藤堂正彦(佐野史郎)議員の選挙事務所で、毒物が混入した羊羹を食べた第一秘書の上杉が死亡。藤堂議員を含む4人が食し、妻の京子(森口瑤子)は意識不明の重体に。羊羹の送り主で藤堂の支援者である西川五郎が逮捕・起訴された。一度は無期懲役の有罪判決を受けるが、藤堂の事務所が写った証拠写真にあるべきものが写っていないことに気づいた深山は、控訴審(不服申立て)でリベンジ。小料理屋「いとこんち」のカウンターにあった常連客・加奈子(岸井ゆきの)の新曲タイトルは「ずっとアナゴが好きだった」(藤堂を演じる佐野が出演した大ヒットドラマ「ずっとあなたが好きだった」のもじりと思われる)。
事件を解くキーワード:爪楊枝
9話 依頼人:被告人の息子・亮平(演:中島裕翔)
2時間スペシャルとして放送された最終回。死刑囚・久世貴弘(小林隆)の息子・亮平から再審請求の依頼が。久世は8年前に妻を殺害後、放火したとして死刑判決を受けていたが、亮平は無罪を主張。自身の経験を重ねた深山と舞子は、久世の無実を立証するために調査へ。しかし、一度最高裁で結審した判決を覆すことはほぼ不可能に近く、最悪なことに再審請求を審理する裁判長に川上が就任する。深山が初めに目を留めたのが、久世がガソリンスタンドで購入した灯油の量。久世は5リットルと主張しているが、裁判所は久世が15リットルの灯油を購入し、そのうち10リットルを現場にまいて放火したと認定。久世の車の中にあったポリタンクにはちょうど5リットル残っていたが、深山はぴったり10リットルをまくという器用なことが本当にできるのかと首をかしげる。突破口は、深山が火災のあったアパートの元住人の証言の矛盾を暴いたこと。深山は川上に勝利するも、後日、川上は異例の昇格を遂げ、川上の思惑はやぶの中に終わる。
事件を解くキーワード:週刊バイブス
SPドラマ 「99.9-刑事専門弁護士- 完全新作SP新たな出会い篇~映画公開前夜祭~」(12月29日放送)
12月30日より公開される映画版の前日譚的ストーリーで、TBS系で12月29日よる9:00~11:27放送。深山と、新ヒロインとなる新米弁護士・穂乃果(杉咲花)との出会い、謎の弁護士・南雲恭平(西島秀俊)との戦いが描かれる。穂乃果が司法修習を終え斑目法律事務所の一員になる前に、深山と出会うきっかけとなった“ある出来事”とは何なのか。
連ドラ版から斑目法律事務所パラリーガル役の片桐仁、マギー、馬場園梓のほか馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、畑芽育、藤本隆宏、渡辺真起子、岸部一徳らが続投。映画版にも出演している杉咲、西島のほか蒔田彩珠、石橋蓮司らも登場する。
映画版 『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』(12月30日公開)
新ヒロインに新米弁護士・穂乃果(杉咲花)を迎え、深山が15年前に起きた毒物ワイン事件に挑む。その事件には弁護士・南雲(西島秀俊)とその娘エリ(蒔田彩珠)も関わっており、深山たちは村で出会った青年・守(道枝駿佑)の協力を得ながら事件の調査へ。やがてある可能性に行き当たるが、事態は思わぬ展開を迎える。
キャストにはドラマのレギュラーメンバーが再集結するほか、新キャストも。パラリーガル3人組の片桐仁、マギー、馬場園梓や馬場徹、映見くらら、青木崇高、岸部一徳、岸井ゆきの、池田貴史が続投するほか、シーズンIとII のヒロインを務めた榮倉奈々&木村文乃、深山の宿敵にふんした笑福亭鶴瓶、奥田瑛二も登場。映画版新キャストとして杉咲花、西島秀俊、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、蒔田彩珠、石橋蓮司、高橋克実、ベンガル、渋川清彦らが出演する。
決してブレない信念を胸に、見過ごされていた「事実」を導き出していく名キャラクター、深山大翔。二転三転する法廷劇に加え、斑目法律事務所の面々にふんするキャストのチームプレーも本シリーズが多くに愛される理由だ。彼らがいかにして絆を築いてきたのか、今一度振り返ることで年末に控えるSPドラマ、そして待望の劇場版が一層楽しめるはずだ。