【ネタバレ】「ウォーキング・デッド」スピンオフ完結話ラストシーン解説&考察:新事実とユニバースに与える影響
海外ドラマ「ウォーキング・デッド」のスピンオフシリーズ「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」が、シーズン2第10話をもって完結した。完結話のラストに挿入されたポストクレジットシーンでは、今後のユニバース全体を揺るがしそうな驚愕の事実が判明。その新事実と共に、ユニバースに与える影響を考察する。(平沢薫)
※本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
ラストで何が…驚きのポストクレジットシーン
2020年10月に放送が開始された「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」は、もともとシーズン2で完結することが決まっていたリミテッドシリーズ。ウォーカー出現から10年後を舞台に、高校生の少年少女4人を中心に描く作品だ。シーズン2には、「ウォーキング・デッド」シーズン9第5話で負傷したリック(アンドリュー・リンカーン)と一緒にヘリコプターで去ったジェイディス(ポリアンナ・マッキントッシュ)が登場し、彼女のその後が描かれたことも話題となった。
シーズン2最終話「最後の光」には、ジェイディスの再登場以上に驚きのおまけシーンが含まれていた。「ウォーキング・デッド」シーズン1のジェンナー博士(ノア・エメリッヒ)が登場したのだ。かなり前に登場したキャラクターのため、思い出せない人もかなりいるだろう。ジェンナー博士は、リックたちのグループが疾病予防管理センター(CDC)に辿り着いたとき、ただ一人施設に残っていた研究者だ。今回は、残された記録映像の中での登場だったが、ある重要な情報を与えてくれる。
このポストクレジットシーンは、「ワールド・ビヨンド」のメインストーリーとは直接関係のない話。ある女性が廃墟となった研究所を訪れ、ジェンナー博士の記録映像を見ていると謎の男が出現し、会話を交わした後、彼女を射殺して去る。すると、彼女はわずか数秒でウォーカーに転化し、通常のウォーカーよりも素早く、恐ろしいほど強い力で扉を破ろうとしていた。
二人の会話はフランス語で、部屋の壁にはフランス語で「死者はここで生まれる」と書かれている。入り口にもフランス語で“生物医学 感染症科”と書かれていることから、研究所の場所はフランスだろう。振り返れば、ジェンナー博士はシーズン1第6話「残された希望」でフランスについて言及しており、「フランスの研究者は、ここのみんなが自殺を図る中、最後まで粘って答えを出そうとした」と語っていた。シーズン1で敷かれた伏線が、ここでようやく回収されたのだ。
ウォーカーに変異体が…判明した二つの新事実
このシーンでは、二つの新事実が判明した。まず一つ目は、ウォーカーの起源について。二人の会話から、フランスでは、ウォーカーは研究者の実験によって生まれたと考えられており、研究者たちは命を狙われて逃亡していることがわかる。その真偽は不明だが、このエピソードが描かれたということは、これからウォーカーが誕生した原因について何かしらの形で描かれるのかもしれない。 原作コミックの作者ロバート・カークマンは、ウォーカー化の原因はこの作品にとって重要な要素ではないと語り、すでに完結している原作では描かれなかった。しかし、シリーズのストーリーは原作コミックとは異なるため、ドラマではその起源に迫る可能性がある。
もう一つは、変異体ウォーカーの出現だ。ジェンナー博士の言葉から、シーズン1の頃にフランスで変異体が生まれたこと、彼がそのサンプルを要求していたことがわかる。博士はシーズン1第6話で、死者は死後3分から8時間でウォーカーに転化すると説明していた。そして、このシーンでは、射殺された女性がほんの数十秒でウォーカー化し、しかも動きが速い。となると、これは「ウォーキング・デッド」ユニバース初の変異体ウォーカーに違いない。転化の速さと動きの俊敏さが、変異体の特性だろう。そして、変異体が出現した以上、ユニバースの他作品にも登場することが考えられる。
リックに関する新情報
「ワールド・ビヨンド」シーズン2では、本家シリーズから退場したリックに関する新情報も飛び出した。先述のシーズン9でリックと一緒にヘリコプターに乗ったジェイディスが登場し、リックは市民共同体(Civic Republic)に渡したこと、その代償として彼女はこの集団の軍隊である市民共同体軍(Civic Republic Military、略称CRM)に入隊できたと語ったのだ。そして、市民共同体の所在地はペンシルベニア州フィラデルフィアだと判明。ということは、リックは現在フィラデルフィアにいる可能性が高い。
また、CRMは市民共同体の軍隊だが、共同体の指示ではなく、軍部独自の判断で行動することもあるようだ。CRMがどんな組織なのかはシーズン2で少し描かれたが、市民共同体の実態については、まだ謎のまま。CRMは別のスピンオフ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」にも登場しているが、市民共同体の実態が描かれるのは、劇場版になるのかもしれない。
「ウォーキング・デッド」ユニバースへの影響は
ウォーカーの起源や変異体の出現は、これからどの作品で描かれるのか。その候補は複数考えられる。何しろこのユニバースはドラマだけでも、本家「ウォーキング・デッド」、スピンオフ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」が放送中なのに加えて、新たなアンソロジーシリーズ「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド(原題) / Tales of the Walking Dead」も2022年夏の放送開始が発表されている。同シリーズは一話完結型で、新キャラクターも登場するとのこと。この中に、フランス関連のエピソードが含まれる可能性もある。
しかし、最も可能性が高いのは、やはりリックが主役の劇場版だろう。というのも、「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」のクリエイターコンビの一人、スコット・M・ギンプルが劇場版の脚本家だから。以前から劇場版に登場するだろうと言われているジェイディスが「ワールド・ビヨンド」シーズン2に登場したのも、今回のポストクレジットシーンで大ネタが連発されたのも、スコットによる劇場版への布石である可能性が高い。劇場版に備える意味でも、このシーンは一度確認しておいた方がいいかもしれない。
「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」シーズン2は Amazon Prime Video で独占配信中