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ハリポタ展こと「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展に潜入!

今週のクローズアップ

ハリー・ポッターと魔法の歴史展

 大英図書館によって企画された「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展が、ロンドン、ニューヨークそして兵庫県を回り、ついに東京にやって来ました。2022年3月27日まで東京ステーションギャラリーで開催される同展の見どころを各章ごとにご紹介します。(編集部・市川遥)

■「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展とは?
「ハリー・ポッター」の魔法世界の成り立ちの背景にある魔術や呪文などに関して人類が何世紀にもわたって記述してきた書物や資料から、魔法の歴史をひもといていく展示会。4世紀にまでさかのぼる貴重な書物から原作者J・K・ローリングの直筆原稿やスケッチまで、約140点を展示しています。ハリーたちが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って全10章で構成されているのも、ファンにはたまらないところです。

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1章:旅

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
J・K・ローリング《ハリー・ポッターとダーズリー家のスケッチ》1991年 J・K・ローリング蔵、J・K・ローリング「『ハリー・ポッターと賢者の石』のあらすじ」1995年 J・K・ローリング蔵、アリス・ニュートン「『ハリー・ポッターと賢者の石』読書感想文」(複製)ナイジェル・ニュートン/ブルームズベリー社蔵 

 伝説の始まりとなった第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」が出版されることになった経緯がわかる章。ローリングによるハリーとダーズリー家のスケッチや彼女が自らタイプして複数の出版社に送ったあらすじ、「賢者の石」の出版をブルームズベリー社に決意させた少女による感想文など、貴重な資料が展示されています。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
ジム・ケイ《『ハリー・ポッターと賢者の石』の9と3/4番線の習作》ブルームズベリー社蔵

 イラスト版「ハリー・ポッターと賢者の石」の表紙を飾ったイラストレーター、ジム・ケイによる絵画「9と3/4番線」の習作も。ここからハリーの魔法界への旅が始まりました。

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2章:魔法薬学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
ジム・ケイ《セブルス・スネイプ教授の肖像》ブルームズベリー社蔵

 スネイプ先生の肖像から始まる2章。第6作「ハリー・ポッターと謎のプリンス」で毒入りの蜂蜜酒を飲んだロンを救ったことでおなじみのベアゾール石の実物、ベアゾール石について書かれた「薬剤全史」などが展示されています。ベアゾール石はヤギなどの胃の中で消化されずに残った繊維の塊で、解毒作用があると信じられ、中世ヨーロッパでは高額で取引されていました。

3章:錬金術

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
ジェームズ・スタンディッシュ『リプリー・スクロール』イングランド 16世紀 大英図書館蔵

 第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」でハリーがヴォルデモート卿から守った賢者の石も、実際に何世紀にもわたって研究者たちを夢中にさせてきたもの。3章では、「リプリー・スクロール」と呼ばれる賢者の石の作り方が記された錬金術の写本(長さ4メートル超えの巻物!)など、錬金術が当時の人々にとっていかに重要だったかがわかる資料が展示されています。

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4章:薬草学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
J・K・ローリング《ポモーナ・スプラウト教授のスケッチ》1990年12月30日 J・K・ローリング蔵

 ローリングが「ハリー・ポッターと賢者の石」の出版の7年前に描いたスプラウト先生のスケッチも見ることができる4章。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
『薬物誌(医薬の材料の書)』バグダッド 14世紀 大英図書館蔵、ジョヴァンニ・カダモスト『図説薬草書』イタリアまたはドイツ 15世紀 大英図書館蔵

 ホグワーツの薬草学の授業に出てくるマンドレイクは、根が人のような形をしていて引っこ抜かれると悲鳴を上げる植物ですが、これもローリングの創作ではなく、実際に15世紀の書物にも“悲鳴を聞かずにマンドレイクを抜く方法”の解説が載っています。

5章:呪文学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
「オルガ・ハントの箒」魔術・魔法博物館蔵、ジム・ケイ《クィディッチをするハリー・ポッターとドラコ・マルフォイの習作》ブルームズベリー社蔵

 5章には、今や誰もが知る呪文「アブラカダブラ」の最古の記述例や、イギリスの魔女がかつて所有していたというほうきなどを展示。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
J・K・ローリング「生徒の組分けに関するメモ」「組分け帽子の歌」、J・K・ローリング《アーガス・フィルチのスケッチ》1990年 いずれもJ・K・ローリング蔵

 ローリングによるダイアゴン横丁の入り口のスケッチや生徒の組分けに関するメモ、「組分け帽子の歌」の草案などもあり、彼女の創作過程の一端を知ることができます。

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6章:天文学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
『ウラニアの鏡 あるいは天界の眺め』ロンドン 1834年 大英図書館蔵

 6章では、ホグワーツにおける重要な科目であるだけでなく、ローリングが登場人物の名前を付ける際にも取り入れた天文学をフィーチャー。彼女が「ハリー・ポッターと賢者の石」執筆時に作成した、ホグワーツの科目と教員のリストも見ることができます。

7章:占い学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展

 トレローニー先生の肖像が飾られた7章。この章には、茶葉占いに使われたティーカップや具体的な解読例を示した手引書、水晶玉などが並んでいます。

8章:闇の魔術に対する防衛術

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
ジム・ケイ《リーマス・ルーピン教授の肖像》ブルームズベリー社蔵

 ルーピン先生の肖像画から始まる8章。ルーピン先生は「闇の魔術に対する防衛術」の授業でハリーたちに河童について教えていましたが、この章には河童のミイラ(※さまざまな動物の一部を組み合わせて作られたもの)まで展示されています。イギリスの画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって描かれた魔女の絵「魔法円」(1886)は、まるで「ハリー・ポッターと死の秘宝」でハーマイオニーが保護呪文を唱えた時の姿のようです。

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9章:魔法生物飼育学

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
ジョン・グールド『ヨーロッパの鳥類』ロンドン 1837年 大英図書館蔵

 9章では、ジム・ケイによるハグリッドのスケッチがお出迎え。「動物寓話集」など動物に関する古い本の中では、「ハリー・ポッター」シリーズにも登場するユニコーン、不死鳥、ドラゴンなど神話上の生き物が、ゾウなど実在する生き物と並んで載っていました。

10章:過去、現在、未来

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
J・K・ローリング「『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の構想」J・K・ローリング蔵

 10章は、今も広がり続けるハリー・ポッター魔法ワールドの過去、現在、未来についての展示です。ローリングによる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の構想メモから彼女の注釈が付いた『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のシナリオ、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」のロンドン劇団のオリジナル衣装まで展示されています。

ハリー・ポッターと魔法の歴史展
「映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のJ・K・ローリングの注釈付きシナリオ」J・K・ローリング蔵、「J・K・ローリング蔵による書き込み入りの『ハリー・ポッターと賢者の石』」2013年頃 個人蔵(スコットランド)

 「ハリー・ポッター」の物語の世界とわたしたちの現実の世界が一つになるような、夢のような時間が過ごせる同展示会。人類の歴史と伝承に基づいた「ハリー・ポッター」の世界の奥深さに触れて、知的好奇心も刺激されまくりです。

「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展は東京ステーションギャラリーにて12月18日より2022年3月27日まで開催 ※日時指定の事前予約制

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