ハリポタ展こと「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展に潜入!
今週のクローズアップ
大英図書館によって企画された「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展が、ロンドン、ニューヨークそして兵庫県を回り、ついに東京にやって来ました。2022年3月27日まで東京ステーションギャラリーで開催される同展の見どころを各章ごとにご紹介します。(編集部・市川遥)
■「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展とは?
「ハリー・ポッター」の魔法世界の成り立ちの背景にある魔術や呪文などに関して人類が何世紀にもわたって記述してきた書物や資料から、魔法の歴史をひもといていく展示会。4世紀にまでさかのぼる貴重な書物から原作者J・K・ローリングの直筆原稿やスケッチまで、約140点を展示しています。ハリーたちが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って全10章で構成されているのも、ファンにはたまらないところです。
1章:旅
伝説の始まりとなった第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」が出版されることになった経緯がわかる章。ローリングによるハリーとダーズリー家のスケッチや彼女が自らタイプして複数の出版社に送ったあらすじ、「賢者の石」の出版をブルームズベリー社に決意させた少女による感想文など、貴重な資料が展示されています。
イラスト版「ハリー・ポッターと賢者の石」の表紙を飾ったイラストレーター、ジム・ケイによる絵画「9と3/4番線」の習作も。ここからハリーの魔法界への旅が始まりました。
2章:魔法薬学
スネイプ先生の肖像から始まる2章。第6作「ハリー・ポッターと謎のプリンス」で毒入りの蜂蜜酒を飲んだロンを救ったことでおなじみのベアゾール石の実物、ベアゾール石について書かれた「薬剤全史」などが展示されています。ベアゾール石はヤギなどの胃の中で消化されずに残った繊維の塊で、解毒作用があると信じられ、中世ヨーロッパでは高額で取引されていました。
3章:錬金術
第1作「ハリー・ポッターと賢者の石」でハリーがヴォルデモート卿から守った賢者の石も、実際に何世紀にもわたって研究者たちを夢中にさせてきたもの。3章では、「リプリー・スクロール」と呼ばれる賢者の石の作り方が記された錬金術の写本(長さ4メートル超えの巻物!)など、錬金術が当時の人々にとっていかに重要だったかがわかる資料が展示されています。
4章:薬草学
ローリングが「ハリー・ポッターと賢者の石」の出版の7年前に描いたスプラウト先生のスケッチも見ることができる4章。
ホグワーツの薬草学の授業に出てくるマンドレイクは、根が人のような形をしていて引っこ抜かれると悲鳴を上げる植物ですが、これもローリングの創作ではなく、実際に15世紀の書物にも“悲鳴を聞かずにマンドレイクを抜く方法”の解説が載っています。
5章:呪文学
5章には、今や誰もが知る呪文「アブラカダブラ」の最古の記述例や、イギリスの魔女がかつて所有していたというほうきなどを展示。
ローリングによるダイアゴン横丁の入り口のスケッチや生徒の組分けに関するメモ、「組分け帽子の歌」の草案などもあり、彼女の創作過程の一端を知ることができます。
6章:天文学
6章では、ホグワーツにおける重要な科目であるだけでなく、ローリングが登場人物の名前を付ける際にも取り入れた天文学をフィーチャー。彼女が「ハリー・ポッターと賢者の石」執筆時に作成した、ホグワーツの科目と教員のリストも見ることができます。
7章:占い学
トレローニー先生の肖像が飾られた7章。この章には、茶葉占いに使われたティーカップや具体的な解読例を示した手引書、水晶玉などが並んでいます。
8章:闇の魔術に対する防衛術
ルーピン先生の肖像画から始まる8章。ルーピン先生は「闇の魔術に対する防衛術」の授業でハリーたちに河童について教えていましたが、この章には河童のミイラ(※さまざまな動物の一部を組み合わせて作られたもの)まで展示されています。イギリスの画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって描かれた魔女の絵「魔法円」(1886)は、まるで「ハリー・ポッターと死の秘宝」でハーマイオニーが保護呪文を唱えた時の姿のようです。
9章:魔法生物飼育学
9章では、ジム・ケイによるハグリッドのスケッチがお出迎え。「動物寓話集」など動物に関する古い本の中では、「ハリー・ポッター」シリーズにも登場するユニコーン、不死鳥、ドラゴンなど神話上の生き物が、ゾウなど実在する生き物と並んで載っていました。
10章:過去、現在、未来
10章は、今も広がり続けるハリー・ポッター魔法ワールドの過去、現在、未来についての展示です。ローリングによる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の構想メモから彼女の注釈が付いた『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のシナリオ、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」のロンドン劇団のオリジナル衣装まで展示されています。
「ハリー・ポッター」の物語の世界とわたしたちの現実の世界が一つになるような、夢のような時間が過ごせる同展示会。人類の歴史と伝承に基づいた「ハリー・ポッター」の世界の奥深さに触れて、知的好奇心も刺激されまくりです。
「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展は東京ステーションギャラリーにて12月18日より2022年3月27日まで開催 ※日時指定の事前予約制