ウーマン村本、本当にあった暗くて怖いタイの洞窟遭難事故で新発見
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、2018年、タイで実際に起きた少年たちの洞窟遭難事故と、命を懸けて彼らの救出にのぞんだ洞窟ダイバーたちの挑戦を追ったドキュメンタリー映画『THE RESCUE 奇跡を起こした者たち』。これまでドキュメンタリー映画を観て泣いたことがないという中川と、本作の鑑賞を熱望した村本が感動の救出劇を語ります!(取材・文:森田真帆)
今回の映画は、公開中の『THE RESCUE 奇跡を起こした者たち』です。
2018年にタイで起きた洞窟遭難事故の救出劇の全ぼうに迫り、トロント国際映画祭で観客賞を受賞したドキュメンタリー。増水した洞窟内部に取り残された少年たちを救出すべく、世界中から集まった民間の洞窟ダイバーたちによる救出作戦を、これまで明かされなかった内部映像や関係者の証言、救助の様子をVFXで再現した映像などを通じて描き出す。『フリーソロ』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝いたエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チンが監督を務める。
冷血パラダイスを村本がレスキュー
村本大輔(以下、村本):ドキュメンタリーってなかなか観る機会ないやん。それに、この前パラダイスが、『コーダ あいのうた』で心動いてるのを見て、「こういう映画で心が動くようになったんや」と思ってさ。だから、最近パラダイスの心が動くかってことに集中して選んでんねん。だからオレはパラダイスに人としての心を取り戻すレスキュー活動をしているわけよ。
中川パラダイス(以下、中川):そうやったんやな。いや、この映画って前半と後半でだいぶイメージ変わったわ。前半は事件が進むのと同時にレスキューした人たちのインタビューがけっこう多かったやんか。僕はこの事件が一体どうなるんか、子供たちが無事に助かるんかどうかってことが気になってたから、そんな助けた人たちの人物紹介なんてええねんって正直思ってた。が、しかし! 映画の最後になると、洞窟潜ったりする人のすごさが生きてくるわけやん。だから、最初あんなに「いらんわ、この説明」って思っていたのにもかかわらず、ドキュメンタリー映画を観て初めて泣いたわ。涙が出た!
村本:やっぱそう! あらすじ読んだときに、この映画は中川の心に刺さるんちゃうかなって思ったんや。今、オレは中川の映画感性をリハビリ中やからな。スプラッタ映画でしか心を動かさんかったお前が、この連載を経て、ようやく人間の心を取り戻し始めたから! この映画も、パラダイスの子供と同じくらいの歳の子たちの話やし、感動すると思ってん!
中川:うん、ほんまにめっちゃ感動した! しかもエンドロールの最後までちゃんと観たわ。
村本:お前、もうオレに映画のGスポットを開発されたってことや! これまでグロい映画しか興味なかった中川が、連載始まって数年目で、ついに映画で涙を流すまでになるって、めっちゃすごいことやん。もはや映画ソムリエになった気分。
中川:やっぱりいなくなった子供たちが小学生くらいやったやん。うちの息子と同い年くらいやったのもどこか重なってさ。もしうちの子供やったら泣いたりしてると思うのに、あのタイの子たちって全員が笑顔やったやん。泣いてる子1人もおらんくて。それがほんまにすごいなって思ってん。こういうたくましい子供に育てたいなぁって思ったわ。
怖すぎる洞窟ダイビングのリアル!
中川:でもこれ、一体どうやって探しに行くんやろってハラハラしながら観ていたけどさ、まさかの連続やったやん。助けた方法ももちろんびっくりしたけど、まずあの洞窟の中をダイビングで行くって、怖すぎるわ。
村本:オレやったらあそこまで怖くて潜られへん。あんなに暗くて怖くてさ。オレはニュースでしか見たことのなかった事件やったけど、これがドキュメンタリー映画で良かったなって思う。変なフィクション映画にして、わざと感動的にというかドラマチックにしすぎないのがすごいなって思った。本当に起きた事件をそのままドキュメンタリーにしても、十分ドラマチックやった。
中川:ダイバーの人たちもさ、趣味でやっていた技術を子供たちのために役立てることができたのって奇跡でしかないもんな。
村本:せやねん。ていうかパラダイス、この洞窟ダイビングできる? 暗くて、泥しかなくて、なんも見えなくて、出口もなくてさ。
中川:映像でそのリアルな感じが出てくるのがすごいよな。しかもあの暗さの中を2時間潜り続けるって一回パニックになったら終わるやん。でも僕は洞窟ダイビング行けるわ。恐怖心全然ない人間やから。暗いところも怖くないしパニックにならへんから。
村本:オレなんて暗いところめっちゃくちゃ苦手やし。絶対洞窟ダイビングは無理やねん。でもな、怖いけど、きっと子供たちを助けに行くと思うわ。そうなると、全然怖くないパラダイスと、めっちゃ怖いけど行くオレとどっちが勇敢かって話!
宗教も超える、人間同士のつながりに感動
中川:この映画の中にお祈りするシーンがいっぱい出てくるけどさ、最初はそんな神頼みばっかりして、なんか意味あるんかって思ってたんや。でも映画を観ると、神様へのお祈りが本当に通じてたんちゃうかなって、ちょっと感じちゃうよな。
村本:タイの人が子供たちに渡してくれって、イギリス人のダイバーの人にお守りを託したときにさ、イギリスの人はタイの宗教とかわからへんから、「あほか! 今そんな場合ちゃうわ!」って捨てたってエピソードがあったやん。あの気持ちわかるもんな。それどころちゃうねん! っていう(笑)。むっちゃ笑ったわ。
中川:そうそう。でもあのおっちゃんも、最終的に子供たちがそのお守りをもらうことで、どれだけ望みを持てるのかを知ってちゃんと渡すやん。そういう全然知らん文化とか宗教を超えたところもすごいって思った。
村本:パラダイスがどんどんネタバレの話しようとしてる! もうこれ以上話したらあかんで! こっから先は観た人のお楽しみなんやからな!
中川:なんで急にキレんねん(笑)。もうこれ以上は言わんけど、聞いたこともなかったタイで起きた事件、子供たちのためにほんまにたくさん人が集まってて、みんなが祈ってて、タイの人たちってすごく愛がある人たちやねんなって思ったし、そのことを知ることができてほんまに良かった。子供も子供でちゃんと親や大人のこと気遣って、めっちゃいい子たちで感動したわ。
村本:911とか、東日本大震災の映画もいっぱい出てきたやん。でも、こういう小さな事件もちゃんとドキュメンタリー映画にしてもらえるっていうのは、見逃しがちな世界で起きた事件を知ることができるから面白いなぁって思ったよ。
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『THE RESCUE 奇跡を起こした者たち』2月11日公開
映画『THE RESCUE 奇跡を起こした者たち』公式サイト
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。