個性強すぎ!『ガンパウダー・ミルクシェイク』最強すぎる殺し屋女優たち
今週のクローズアップ
極彩色のネオンが輝くクライム・シティを舞台に、キュートなスカジャンに袖を通した子連れアサシンの戦いを描く痛快アクション『ガンパウダー・ミルクシェイク』がついに公開。1人の少女を守るため、暗殺組織と血で血を洗うバトルを繰り広げる殺し屋たちを演じる、キャリアも実力も申し分ない、説得力バツグンの女優陣を紹介します!
『ガンパウダー・ミルクシェイク』
サマンサ=サムは、クライム・シティの巨大組織・会社(ファーム)に所属する名うての殺し屋。ある時、組織の会計士が盗んだ大金の回収を命令された彼女は、自らが撃ったその男が、8歳の娘・エミリーを誘拐され、身代金を要求されていたことを知る。殺し屋だった母親に捨てられた過去を持つサムは、組織への忠誠よりもエミリーを助ける道を選択し、彼女を連れて、襲い来る殺し屋たちを次々と血祭りに上げていく。その過程で思いがけず母親のスカーレットと再会したサムは、追い詰められ、犯罪者御用達の「図書館」に飛び込む。そこは、かつて母と運命を共にした女たちが職員として働く武器庫だった。かくして、最強の女たちVS巨大組織のバトルが幕を開ける。監督はクエンティン・タランティーノが絶賛したイスラエル映画『オオカミは嘘をつく』を手掛けたナヴォット・パプシャド。
サム
暗殺組織・会社(ファーム)のトップクラスに君臨する殺し屋。あらゆる銃器に精通しており、格闘術でもジェイソン・ボーン並みの戦闘力を発揮、彼女の手にかかれば、かわいいパンダ柄スーツケースも、強力な武器に早変わりする。体の自由を奪われてもなお敵を血祭りにあげる、スカジャン姿も決まっているが、ふだんの暗殺仕事では『女囚さそり』シリーズの梶芽衣子をほうふつさせる黒ずくめ衣装で着用。タイトルの通り、バニラ・シェイクが大好き。
演:カレン・ギラン
スコットランド出身のカレン・ギランは、幼少期から演劇に魅了され、ロンドンのイタリア・コンティ・アカデミー・オブ・シアター・アーツで学ぶなど、その実力は折り紙つき。テレビシリーズ「ドクター・フー」のエイミー・ポンド役でブレイクし、マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)では、サノスに殺人兵器として育てられた暗殺者ネビュラ役に起用される。頭髪を剃り上げ、長時間の特殊メイクで挑んだネビュラ役は『アベンジャーズ』シリーズの重要キャラクターとして欠かせない存在となった。『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』では、真面目なガリ勉女子高生が変身する女戦士ルビー・ラウンドハウス役を務めている。身長180センチのスタイルを誇り、長い手足を駆使したバトルは迫力満点。ジャッキー映画ばりに多彩なシチュエーションが用意されている、本作のアクションにも果敢に挑戦しており、次世代のアクション女優を背負って立つ存在と言っても過言ではない。
スカーレット
名うての殺し屋だったが、ある事情から組織を裏切ることになり、まだティーンエイジャーだった娘のサムをダイナーに置き去りにして姿を消す。それから15年、娘との再会を果たし、母娘の最強タッグを結成。ナイフを仕込んだ特別仕様の2丁拳銃を操る。
演:レナ・ヘディ
大ヒットファンタジー「ゲーム・オブ・スローンズ」で、シリーズきっての悪女として人気を集めたサーセイ・ラニスターを演じたレナ・ヘディ。子供たちへの愛ゆえにどんな極悪非道な行いでもする母親だったサーセイ。同作の前にもレナは、SFドラマ「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」(2008~2009)で、未来の人類を導くリーダー、ジョン・コナーの母サラ・コナーを演じていた。さらに『300 <スリーハンドレッド>』では、スパルタ王レオニダス(ジェラルド・バトラー)の妻にして、彼亡き後もスパルタを率いる王妃ゴルゴを演じており、最強の母親役にピッタリの人選。
フローレンス
カンフーを操るアジア系図書館職員。銃器はもちろん格闘武器の扱いにも精通しており、特に鋼のチェーンを使った戦いは驚異。劇中では、「必殺」シリーズの三味線屋・勇次のごとく、敵の首を吊りあげ抹殺する。モットーは「殺しは常に平常心で」。
演:ミシェル・ヨー
サモ・ハンに見出されて以来、比類なき身体能力はもちろん、確かな演技力で文芸作品でも活躍する、まさに香港映画界を代表するレジェンドスター。本作のキャストのなかでも、バツグンなキレを見せつける。1997年に『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』でハリウッドデビュー。近年は、スマッシュヒットとなったラブコメ『クレイジー・リッチ!』(2018)やマーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)など、アジア文化に根差したアメリカ映画での活躍が目立っている。
マデリン
柔和な物腰で服装もおとなしい物静かな図書館職員だが、トマホークを得意武器とするケンカ上等の殺し屋。大量に襲い来る殺し屋どもを、ガトリングガンの一斉掃射でなぎ倒す。
演:カーラ・グギーノ
10代からモデルとして活躍し、1990年代は「スピン・シティ」「シカゴホープ」などの人気シリーズでテレビを中心に活躍したカーラ・グギーノ。2000年代には、ロバート・ロドリゲス監督の『スパイキッズ』シリーズで、アントニオ・バンデラスと共に元一流スパイの両親を演じてアクション開眼。同じくロドリゲス監督の『シン・シティ』(2005)では、凶悪な人食い殺人鬼に監禁されるハードな役どころに挑戦。ザック・スナイダー監督の『ウォッチメン』で初代シルクスペクター役を務め、スティーヴン・キング原作のNetflix映画『ジェラルドのゲーム』(2017)では、両手をベッドにつながれ人里離れた別荘に置き去りになる女性役に挑むなど、キャリアを積むほどにハードな役どころを体当たりでこなしている。
アナ・メイ
鋭い眼光と強烈な罵詈雑言で、荒らくれ者ぞろいの入館者を震え上がらせる図書館長。パリっとした身なりと裏腹に、両手の2丁ハンマーで、敵の骨という骨を砕きまくる凶悪ファイトは必見。
演:アンジェラ・バセット
マーベル映画ファンには、『ブラックパンサー』のティ・チャラの母でワカンダの女王、ラモンダ役でおなじみのアンジェラ・バセット。ティナ・ターナーの自伝映画『TINA ティナ』(1993)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞。マルコムの妻役を務めた『マルコムX』(1992)など、アクションスターのイメージはないが、キャスリン・ビグロー監督の『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995)で演じた、レイフ・ファインズ演じる弱弱しい主人公を守る、勇ましいボディーガード役で鮮烈な印象を残している。さらに、テレビドラマでの活躍も目覚ましく、緊急救命の現場を描くアクションドラマ「9-1-1:LA救命最前線」では、主演と製作総指揮を兼任し、人気シリーズへと育て上げた
女優陣のキャリアをわかっていて起用したとしか思えない絶妙なキャスティングは、タランティーノも認めたオタク監督、ナヴォット・パプシャドの映画愛の現れだろう。さらに本作には、ジョン・ウー映画をはじめ、古今東西のバイオレンス映画へのリスペクトが随所に仕込まれている。強すぎる女たちの美しく芸術的なアクションは、スクリーンで観ることでより迫力を体感できるはずだ。(編集部・入倉功一)
映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』は3月18日より全国公開
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