マーベル新ヒーローは二重人格!ムーンナイトって何者?
提供:ディズニープラス
「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「ロキ」「ホークアイ」と大ヒットドラマを連発するマーベル・スタジオからユニークでダークな新ヒーロー、ムーンナイトが誕生した。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)屈指のミステリアスなダークヒーローは何者なのか? ダークな世界観に注目しながら、ドラマ「ムーンナイト」の魅力に迫る。(平沢薫)
二重人格のヒーロー、ムーンナイトとは
「ムーンナイト」は第1話の冒頭からして、これまでのMCUとは一線を画す作品だ。主人公スティーヴン・グラント(オスカー・アイザック)は、正義のヒーローとは正反対のキャラクターだ。博物館のギフトショップで働くスティーヴンは、睡眠中に歩行する癖があり、寝坊で遅刻して上司に叱られてばかり。しかし、彼の周囲で奇妙な出来事が続出。睡眠障害の理由は、なんと彼の中にはもう一つの人格であるマーク・スペクターが存在していたのだ。さらにマークがダークヒーロー・ムーンナイトに変身することも判明……。そう、ムーンナイトは、MCU史上初となる二重人格のヒーローなのだ。
マークが、ムーンナイトになったきっかけもぶっとんでいて面白い。マークは冷酷な暗殺者だったのだが、遠征先のエジプトで瀕死の状態に陥ってしまう。命が惜しい彼はなんとエジプトの月の神コンスと契約! 生きながらえた替わりに彼の化身ムーンナイトになるしかなかったのだ。しかし、このマークが神と結んだぶっとんだ契約……博物館で、上司に罵られながらも地道に暮らしているスティーヴンとも無関係ではなかった。
本作のユニークな魅力はなんといっても、ムーンナイトが二重人格のヒーローであること。なぜなら、温厚で臆病、そして暴力が嫌いなスティーヴンは、抜群の戦闘能力を持つマークとは、協力するどころか対立してしまう。一人の人間の内部で、二つの人格の戦いも繰り広げられる。彼らが戦うべき敵は、悪事を行うであろう人間を見極め、容赦なく命を絶つ恐ろしい教祖アーサー・ハロウ(イーサン・ホーク)だけではなく、なんと究極の内輪もめ自分の分身でもあるのだ。
正義のヒーローなのか…ダークな世界観
ムーンナイトのもう一つの大きな魅力は単純明快な正義のヒーローではないということにある。ダークな世界観でその魅力を放つ異色のマーベル・ヒーローなのだ。
ムーンナイトの起源も活動も、他のヒーローとは訳が違う。マークがムーンナイトになったのは、正義のためではなく、自分が死ぬのを避けるため。そして、彼の契約相手であるコンスは、悪党に裁きを下す制裁の神……しかも信用できない。
ムーンナイトの任務は、コンスの化身として裁きを実行することだ。彼がコンスのためにする行動が正義のためや、人助けのためではないということは、いままでのマーベル・ヒーローのイメージや常識を覆す。そしてそれは、ムーンナイトが真の意味でのニューヒーローと言えるゆえんだ。
神なのに信用ができない。身体を共有するマークとスティーヴンは、お互いを監視しつつ、神コンスを出し抜く方法も考えなくてはならない。緊迫した状況の中、複雑に絡み合うサイコスリラーが繰り広げられていくのも本作の魅力でもある。
また、ダークな世界観のビジュアルは、見ているだけでも心がざわつく。古代エジプトの神々の壁画や彫像をモチーフにした奇妙なクリーチャーたち、コンスは鳥の骸骨の形をした頭部を持つ禍々しい姿だ。ムーンナイトも全身が包帯のようなもので覆われ、フードを被り、ヒーローかヴィランか判別不能なビジュアルをしている。全身白装束のその姿は、明るい陽光の下ではなく、夜の暗闇の中でより際立つ。夜空に掛かる月を背景に、屋根上を飛翔する彼は美しく、夜が似合うという性質は、ヒーローよりもヴィランに近い。だが、その危うさがムーンライトの最大の魅力なのだ。
今後のMCUとリンクも?第4話以降への期待
本作は二重人格の設定をはじめ、過去のMCU作品にはない演出にも挑戦している。第2話でスティーヴンがマークの貸倉庫を訪れるシーンに登場するシャッターには、「43」という数字とQRコードが貼り付けてあるが、このQRコードは実際に機能する。画面を一時停止してQRコードを読み取ると、マーベル米公式サイトにアクセスされ、「ムーンナイト」のコミックを無料で読むことができるのだ。
第2話のQRコードで読めるのは、ムーンナイトと狼に変身するヒーロー、ワーウルフ・バイ・ナイトの戦いを描いたコミック。ドラマ「ムーンナイト」もワーウルフ・バイ・ナイトとリンクする可能性があるのか……?
配信中のマーベル・スタジオ製作ドラマと比較して、MCUとのリンクがあまり見当たらないのも本作のユニークなところ。MCU作品を全く観ていなくても、作品の世界観にすんなり入っていくことができる。
全6話の「ムーンナイト」は、第4話より後半戦に突入する。同エピソードはドラマ「トワイライト・ゾーン」や映画『シンクロニック』を手掛け、「ロキ」シーズン2への参加も決定しているジャスティン・ベントン&アーロン・ムーアヘッドの監督コンビが担当。二人はComicBook.comのインタビューで口を揃えて第4話を絶賛している。
ベントン監督は、ヨーロッパに伝わるアーサー王伝説に登場する剣エクスカリバーを例えに「(マーベルから)脚本を渡され、別の部屋で“君たちに話しておくことがある”と言われたんだ。大きなケースを開けると、それはまさにエクスカリバーで、剣が脚本に変わった。私たちへの贈り物みたいだった」と第4話を説明し、ムーアヘッド監督は「私たち自身もこのエピソードに興奮している。大きなサプライズがある」と予告している。監督自らサプライズと表現する第4話は、果たしてどのような内容なのか。後半戦でも怒涛の展開が待っているに違いない。
「ムーンナイト」はディズニープラスで独占配信中(毎週水曜16時に新エピソード更新)
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