「TOKYO VICE」がすごかった!ハリウッドが本気で描いた東京の闇にシビれる
提供:WOWOW
4月24日からWOWOWで独占放送が開始となったハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」。1990年代、日本の大手新聞社に就職したアメリカ人青年ジェイク(アンセル・エルゴート)が、特ダネを求めて東京の闇社会に足を踏み入れる姿が魅惑的なビジュアルとスリリングなストーリーテリングで描かれる。特に『ヒート』『マイアミ・バイス』『コラテラル』などの巨匠マイケル・マンがメガホンを取った第1話は、すさまじい緊張感とドラマチックな展開で一気に見せる。日米の才能が本気を出した超大作ドラマのクオリティーはやはりすごかった!(編集部・市川遥)
生き残るのは誰だ…日米キャストの白熱の演技
厳しい表情のジェイクと刑事の片桐(渡辺謙)が、肩を並べて警視庁の廊下を歩くオープニングシークエンスからただならぬ雰囲気の本作。彼らを待ち受けるのは、ジェイクが出そうとしている記事にピリついているヤクザたちだ。なぜジェイクがヤクザから脅迫されるような存在になったのか、彼が日本の大手新聞社に外国人として初めて入社した時までさかのぼってつづられていく。
『ベイビー・ドライバー』『ウエスト・サイド・ストーリー』のアンセル・エルゴートは、日本語が堪能なジェイクを好演。彼の流ちょうな日本語に驚かされるだけでなく、「本当は何が起きたのか、真実を書きたい」と希望に満ちて入社するも、規則や服従心を重んじ、警察が発表したことをそのまま書くことを是とする日本の新聞社の文化に葛藤する姿を繊細に演じている。アンセルがジェイクをリアルに演じているからこそ、視聴者も、新聞記者の中でもアウトサイダーである彼と共に危険で魅惑的な東京の闇社会へと踏み込んでいくことができるのだ。
第1話には、ジェイクに今後大きな影響を与えることになるキャラクターたちとの邂逅もあり、日米キャストの演技合戦は見ごたえ十分。ヤクザ絡みの事件を手練で解決する刑事、秘密を抱えながら男社会を渡り歩く女性記者、風俗街で暗躍する刑事、若きヤクザのリーダーをそれぞれ渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将と実力派キャストが演じており、それぞれに思惑と背景を抱えた彼らの姿は、強烈な印象を残す。また、謎めいたカリスマホスト役で山下智久が要所要所で登場することになっており、日本が世界に誇る俳優陣の熱演は、間違いなく本作の大きな見どころといえるだろう。
桁違いの臨場感…マイケル・マン監督の演出
これまでハリウッドが東京および日本を描いた作品には、首を傾げたくなる描写も少なくなかった。しかし、マイケル・マン監督は「『TOKYO VICE』なのだから絶対に東京で撮りたい」とリアリティーにこだわった。そして、『ヒート』『マイアミ・バイス』『コラテラル』などで何度も組んだことがあり、近年では『TENET テネット』にも参加したロケーション・スーパーバイザーのジャニス・ポーリーを呼び寄せ、“世界で最も撮影が難しい都市”とされる東京でのロケを敢行した。
それだけに、本作で映し出される東京はわれわれがよく知る東京そのものでありながら、それがマン監督ならではのスタイリッシュなビジュアルセンスで切り取られていく。夜の犯罪都市を魅惑的に撮ることには定評があるマン監督だけに、ネオンがきらめく東京アンダーグラウンドとの相性は抜群。光と影を巧みに操り、まるで東京そのものを命を持ったキャラクターであるかのように圧倒的な存在感で描いている。そうした前提の下、緊迫感に満ちたクローズアップを多用することで生まれた臨場感は桁違いで、視聴者も登場人物たちと共にめくるめく東京の夜にいざなわれることになる。
8度刺された刺殺体と、ガソリンをかぶって焼身自殺をした男。事件を追って東京のアンダーグラウンドに足を踏み入れたジェイクはスクープをとることができるのか、それともただ利用され、叩き潰されてしまうのか……。新聞記者、刑事、ヤクザ、ホステス・ホストらの思惑が絡み合う中で、1990年代の東京の暗部をあぶり出していくという点は、常にタブーに切り込んできたWOWOWオリジナルドラマの真骨頂でもある。それがビッグバジェットのハリウッドとの共同制作という相乗効果によって、映画通もうならせる超一級のドラマシリーズとして、重厚でハイクオリティーな作品に仕上がっている。
ハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」はWOWOWにて毎週日曜午後10時より独占放送中 WOWOWオンデマンドにて独占配信中【無料トライアル実施中】
(c) HBO Max / Eros Hoagland (c) HBO Max / James Lisle