【ネタバレ】「オビ=ワン・ケノービ」第3話レビュー&解説 運命の再会が早くも
全6話のシリーズ中、早くも第3話で世紀の対決が実現したドラマ「オビ=ワン・ケノービ」。オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)の前に、かつての愛弟子アナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)が、初めてダース・ベイダーとして姿を現す!(文・平沢薫)
※この記事は「オビ=ワン・ケノービ」のネタバレを含みます。3話まで視聴後にお読みいただくことをおすすめします。
オビ=ワンにとってのフォース
今シーズンのクライマックスになってもおかしくなかった、オビ=ワンとベイダーの対決が、予想外の早さで実現した。前2話で、オビ=ワンが長らくフォースを使っていなかったことが明かされているので、圧倒的な強さを見せるベイダーと劣勢のオビ=ワンという状況は予想外ではないが、それにしても衝撃的な力の差を見せつけられる。
しかもこのベイダーは、オビ=ワンを誘き出すために関係のない人々を手にかけながら前進する、残虐な存在として描かれている。ベイダーの声を担当するのが、旧三部作と同じジェームズ・アール・ジョーンズであることも、悪としての存在感を際立たせている。彼が今回、オビ=ワンが味方に救助されるのを見逃すのも、「お前の苦しみは始まったばかりだ」という言葉通り、彼をより苦しめたいからだろう。
また、2人の対決がこれでは終わらないことはほぼ確実だ。ベイダーは『スター・ウォーズ/新たなる希望』(エピソード4)でオビ=ワンと戦った際に「力が衰えたな(Your powers are weak, old man)」と言っている。このセリフは、その前に強いオビ=ワン と戦っていなければ出てこないはずだ。さらに今回のベイダーは、オビ=ワンに「年月を経て衰えたな(The years have made you weak.)」とも言う。同じ「弱い(weak)」という語がエピソード4のセリフを思い出させて、まだ別の対決があることを予感させる。できればその対決が、残り3話の中にあってほしいところだ。
ちなみに、オビ=ワンが惑星マプーゾで見た、草原に立つローブを着た人物は、アナキンの存在を察知したことで出現した幻影だろう。この装束は、オビ=ワンが最後に惑星ムスタファーでアナキンに会った時と同じだ。
また気になるのが、オビ=ワンのライトセーバーの色。ディズニープラスで配信中の旧作を見直すと、エピソード4は白に近い青、新三部作は明るい青、今回はそれよりも暗い青に見える。今回は夜が舞台になったためにそう見えたのか、それとも何か意味がある演出なのか、シーズン後半のセーバーの色にも留意したい。どちらにしても、夜の暗闇の中、赤い光と青い光がぶつかり合う様は美しく、ビジュアル面の効果は絶大だ。
オビ=ワンがフォースについて語るシーンも、この対決と並んで胸を打つ。幼いレイア(ヴィヴィアン・ライラ・ブレア)に「フォースってどんな感じ?」と問われたオビ=ワンは、闇を照らす光だと答える。「暗闇は怖いだろ? でも明かりがつけば?」と聞かれたレイアが「安心する」と答えると「その感じだ」。ひたすら身を隠して生きてきたオビ=ワンにとってのフォースとは。エピソード4で彼が、青年ルークにフォースとは何かと問われて「生命体が作り出すエネルギーの場」と教科書的に答えたことも思い出させるが、「光」こそ、オビ=ワンの本心から出た答えなのではないか。オビ=ワンは、10年間にわたる闇を抜け出そうとしているのではないか。
オビ=ワンの弟って?
そんなオビ=ワンの心情に感じ入りつつ、小ネタの数々にも目がいってしまう。まず、オビ=ワンがレイアに明かす、彼の弟にまつわる話には、元ネタあり。『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(エピソード6)の初期段階で、アナキンの義兄弟オーウェン・ラーズが、オビ=ワンの弟という設定が検討されていたことを踏まえたものだろう。弟については小説「Jedi Apprentice: The Hidden Past」(1999)でも、オビ=ワンがオーウェンという名の弟のビジョンを見る場面が書かれたが、小説「Lone Wolf: A Tale of Obi-Wan and Luke」(2015)では、そのビジョンは未来のもので、アナキンの兄弟オーウェンのことだったと書かれている。
また、オビ=ワンが生存を知って喜ぶ「クインラン」というジェダイは、アニメ「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」に登場するジェダイのクインラン・ヴォスのこと。彼はオビ=ワンと組んで脱獄犯を探したこともある。尋問官リーヴァことサード・シスター(モーゼス・イングラム)が、ジェダイの隠れ家の壁で発見するマークは、ジェダイ・オーダーのシンボル。これがジェダイ追跡の手掛かりになってしまう。
今回は惑星も多数登場した。オビ=ワンたちが協力者によって向かう予定だった惑星ジャビームは、コミック「スター・ウォーズ:リパブリック」(2003)に登場。クローン戦争の激戦地で、オビ=ワンはここで戦った。尋問官たちの要塞と、その所在地であるムスタファー星系の衛星ナーは、ゲーム「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」(2019)で描かれているが、映像作品には初登場。一方、オビ=ワンとレイアが到着するマプーゾや、2人が出身地だと偽るトールは、シリーズ新登場の惑星だ。
また、今回もゲストが充実。オビ=ワンたちを助けるターラを演じるのは人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のエラリア・サンド役で知られるインディラ・ヴァルマ。エラリアはドーンの大公オベリン・マーテルの愛人で、そのオベリンは「マンダロリアン」のマンドーことペドロ・パスカルが演じていた。また、オビ=ワンたちを宇宙港まで乗せてくれるエイリアン、フレックを演じたのは、映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!!』(2020)などの俳優ザック・ブラフ。彼は、21歳年下で『ブラック・ウィドウ』のエレーナ役でお馴染みのフローレンス・ピューとの交際でも話題を呼んでいる。
同エピソードのラストでは、一人になったレイアが尋問官リーヴァに遭遇する。次回はリーヴァとオビ=ワンの激突が描かれることになりそうだ。今のオビ=ワンは彼女に勝てるのか。彼女が執拗にオビ=ワンを狙う理由も気になるところだ。
「オビ=ワン・ケノービ」はディズニープラスにて独占配信中
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