「ペーパー・ハウス」は何が面白い?韓国リメイクでも大注目
6月24日から配信がスタートするNetflixシリーズ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」は世界的に人気を博したスペインのドラマ「ペーパー・ハウス」の韓国版リメイク。主要キャストに「イカゲーム」のパク・ヘスら実力派が顔をそろえて大きな話題を集めているが、その前にオリジナル版「ペーパー・ハウス」の魅力を紹介したい。(前田かおり)
Netflixがきっかけで大ヒット
「ペーパー・ハウス」はスペイン・マドリードの造幣局に籠城した8人組の強盗団とそのリーダーを描く物語。2017年にスペインのテレビ局でパート1、パート2が放送されたが、人気が出たのはNetflixが配信権を得てから。Netflixはパート1とパート2を再編集し、世界に配信すると大ヒット。スティーヴン・キングやサッカー選手のネイマールもファンを公言し、Netflixの非英語作品の中で最も多くの視聴者を獲得した作品になる。2019年のパート3からはNetflixシリーズとして製作されて人気は爆上がり、2021年のパート5でフィナーレを迎えている。
あらすじは?
物語は、教授と呼ばれる男がお尋ね者の女泥棒ら8人の犯罪者たちを集め、「24億ユーロ(日本円にして約3,000億円以上)を盗み出そう」と持ち掛けるところから始まる。狙うは、タイトルの「ペーパー・ハウス」を意味する王立造幣局。しかも、打倒政府&警察を掲げる教授の信念のもと、「大衆のヒーローになるため、誰のものでもない金を一滴の血も流さずに奪おう」と完全犯罪を目指すことになる。
教授の練りに練った完璧な計画で、セオリー通りの警察を出し抜いていく強盗団は痛快で小気味いい。だが、67人もの人質や警察との間で不測の事態が発生、8人の強盗団もクセ者そろいで、早々に計画にほころびも見えるが、そんな危機を予想のナナメ上を行く展開で切り抜けていく(ここがスゴいっ!)。 派手なアクションシーンや、情熱の国スペインだけに恋愛要素もあり、さまざまな人間模様が絡んでストーリーが紡がれる。果たして24億ユーロ持って強盗団は造幣局から脱出できるのか。見始めたら、片時も目が離せないほど引き込まれてしまうのだ。
ワルなのに憎み切れないキャラばかり
「ペーパー・ハウス」といえば、真っ赤なジャンプスーツにスペインを代表する画家ダリの仮面をかぶった奇抜なコスチュームも超クール。そんなビジュアルに「トーキョー」「ベルリン」「ナイロビ」「モスクワ」など世界の都市名で呼び合う強盗団のメンバーも魅力的。ワルなのについ感情移入したくなるようなキャラクターばかりだ。
中でも、一番人気はトーキョー。衝動的な性格でメンバー内での恋はご法度なのに、年下のリオと恋仲に。案の定、トラブルも呼ぶが、度胸の良さと抜群の戦闘能力で窮地を切り抜ける姿はカッコいい。演じているのはモデルとしても活躍するウルスラ・コルベロ。実はメンバーの呼び名が都市名になったのはある日、彼女が着ていたTシャツに「東京」と書かれていたことがきっかけ。本作で大ブレイクしたコルベロは、映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021)でハリウッドに進出し、同作の日本ロケでは東京を訪れている。
強盗団の現場リーダーのベルリンにも注目。教授との絆は深く、ユーモアもあるが冷酷な人物。だが、ある秘密を抱えており、次第に観る者の心を揺さぶる。演じたペドロ・アロンソも本作で人気に。2023年配信予定のスピンオフドラマは彼演じるベルリンの物語だ。
そして、強盗計画の首謀者である教授もユニーク。強盗団とは離れ、一人外部から指令を出し、警察とやり合うのが見ものだが、そんな中で思いがけずシングルマザーの人質交渉人のラケルとはパッションが芽生えてしまう。演じるアルバロ・モルテはイケオジ俳優。セクシーな魅力も発揮して、教授役に人間味をプラスしてドラマに深みを与えている。本作後は日欧共同制作のサスペンスドラマ「THE HEAD」に出演し、山下智久とも共演。Amazon Prime Video で配信中の冒険ファンタジー「ホイール・オブ・タイム」ではロザムンド・パイクとも共演するなど、ワールドワイドに活躍の場を広げている。
ほかにも魅力的なキャラクター、それを演じる素敵なキャストも多数いる。韓国リメイク版の配信に加え、スピンオフドラマも配信される「ペーパー・ハウス」。未見ならば、モノは試しに世界を熱狂させたスペインドラマをご覧あれ。
Netflixシリーズ「ペーパー・ハウス」独占配信中