『スター・ウォーズ』最新作が心に刺さりまくっている理由って？
提供：ディズニープラス
『スター・ウォーズ』シリーズにおいて、フォースを持たない名もなき戦士たちを描いた大ヒット作『ローグ・ワン／スター・ウォーズ・ストーリー』。そして今ディズニープラスで配信中のシリーズ最新作「キャシアン・アンドー」は、『ローグ・ワン』で決死の任務に挑み、伝説のジェダイマスター、ルーク・スカイウォーカーの勝利に貢献した、反乱軍スパイが主人公のドラマシリーズだ。ジェダイでも何者でもない普通の人々の物語が、なぜ単独シリーズが生まれるほどファンの心に刺さったのか。配信がスタートしたばかりのドラマの魅力と共に紹介する。
『ローグ・ワン』ここがすごかった！
キャシアンが初登場した『ローグ・ワン』は、シリーズの原点『スター・ウォーズ エピソード4／新たなる希望』で主人公ルーク・スカイウォーカーが破壊した、帝国軍の究極の兵器デス・スターの設計図を奪取したはぐれ者部隊、“ローグ・ワン”の戦いを描く前日譚。
主人公は、帝国にデス・スター開発を強要された天才科学者ゲイレン・アーソの娘にして、反乱軍も恐れる過激派ソウ・ゲレラに育てられた戦士ジン・アーソ。幼くして帝国に家族を奪われ、一人で生きてきた彼女は、反乱軍の情報将校キャシアン・アンドーとの出会いをきっかけに、父が密かに弱点を残した、デス・スターの設計図入手に奔走する。
『ローグ・ワン』最大の魅力は、ジンを含むローグ・ワンのメンバーが、フォースや特別な出自を持たない、われわれと同じ普通の人々であることだ。名もなき戦士たちが団結し、数や力ではるかに勝る敵に立ち向かっていく姿は、『スター・ウォーズ』に多大な影響を与えた名匠・黒澤明監督の『七人の侍』と重なる。希望を胸に、命を犠牲にして戦いに挑む彼らの姿は日本でも多くの観客の感動を呼び、泣ける『スター・ウォーズ』として、興行収入50億円に迫るヒットとなった。
「ジェダイ」や「ライトセーバー」といったシリーズお馴染みの要素がほぼ登場しないことも一因となりシリーズ未体験の観客まで呼び込み、幅広い層に本作が愛されることとなった。『ボーン・アイデンティティー』シリーズの脚本家トニー・ギルロイが手掛けたスリリングな物語と、ダークを基調とした美しく重厚な映像は、圧巻のリアリティーを作品にもたらしており、シリーズ屈指の高評価を獲得している。
名もなき諜報員キャシアン・アンドーとは？
『スター・ウォーズ』のエピソード4の冒頭で「反乱軍のスパイは帝国軍の究極兵器の設計図を盗み出すことに成功」とオープニングクロールに記されている。このスパイこそが、新作の主人公となるキャシアン・アンドーだ。
キャシアンは、常に冷静で、戦闘から船の操縦までこなす優秀な兵士だが、スパイである彼の最大の武器は情報。時には帝国の兵士に変装して、重要機密を盗み出す。本人いわく、6歳のころから帝国の抵抗活動に参加しており、反乱軍では、暗殺を含む数々の“汚れ仕事”をこなしてきた。実際に『ローグ・ワン』のキャシアンは、任務遂行のために、情報提供者を躊躇なく撃ち殺している。戦争である以上、誰もが善人ではいられない、反乱軍の暗部を担ってきた重要人物といえるだろう。
ドラマ「キャシアン・アンドー」の舞台は『スター・ウォーズ エピソード4／新たなる希望』の5年前。反乱軍はまだ蜂起しておらず、キャシアンもただの一般人でしかない。それどころか、逮捕歴があり、借金まで抱えていて、『ローグ・ワン』の活躍がウソのようなやさぐれっぷり。その理由は、幼いころに故郷を失い、実妹と生き別れたトラウマにあるようだ。ただ、将校に変装して帝国の基地から設備を盗み出すなど、スパイの素質は十分。ある運命的な出会いが彼の人生を大きく変えることになる。名もなき男は、いかにして過去を乗り越え、自分の使命に目覚めていくのか。
キャシアンを演じるディエゴ・ルナは、俳優・監督・プロデューサーとして活躍するメキシコ出身の人気俳優で、役柄と全く違う、笑顔が似合うナイスガイ。冷徹な諜報員でありながら、どこか親しみやすいキャシアン役にぴったりのキャスティングといえるだろう。
前日譚ドラマここがポイント！
キャシアンに並ぶ重要人物となりそうなのが、後に反乱軍の指導者となるモン・モスマ。この時点では、まだ帝国の議員である彼女は、いかにして反乱軍を率いることになるのか。シリーズ序盤では、帝国の目を逃れて抵抗勢力が作戦を進行する描写も。「キャシアン・アンドー」は、後にルーク・スカイウォーカーも所属することになる、反乱軍のはじまりの物語でもある。
そして、ダース・ベイダーをはじめとする悪を象徴する存在、帝国軍側の人間ドラマも丁寧に描かれる。彼らにも家族がいて、お仕事ドラマのようなキャリア争いを繰り広げるなど、これまで以上に人間臭い一面が描かれている。スパイであるキャシアンが、潜入任務で彼らと接触したら何が起きるのか。期待が膨らむ。
ちなみにモスマは、スター・ウォーズ最大にして最強の悪、皇帝パルパティーンに対抗する政治家であり、ルークとレイアの母パドメ・アミダラ議員とも親交のあった人物。それだけに、シリーズに登場したレジェンドキャラクターとの共演も期待してしまう。本作には、『ローグ・ワン』の主人公ジンの養父であるソウ・ゲレラも登場する。
ドラマはすでにシーズン2が決定しており、ショーランナーを務めるトニー・ギルロイは、第1シーズンは1年間の話、第2シーズンは『ローグ・ワン』に至るまでの4年間が描かれると明かしている。その過程で、キャシアンの汚れ仕事も描かれることになるのだろう。これまでの『スター・ウォーズ』とは一味違った、リアルなスパイスリラーとしても必見のシリーズになりそうだ。（編集部・入倉功一）
「キャシアン・アンドー」ディズニープラスにて独占配信中
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