徹底予習!『ウィロー』ってどんな映画?新ドラマ版を観る前に
ジョージ・ルーカス原案&製作総指揮の名作ファンタジー映画『ウィロー』から34年の時を経て、その続編となるオリジナルシリーズ「ウィロー」がディズニープラスにて11月30日より配信される。新作に備えて、1988年制作のオリジナル映画の魅力を復習しよう。新たなドラマシリーズとの関係もチェック!
『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが原案&製作総指揮
当時のルーカスは『スター・ウォーズ』旧三部作に続き、製作総指揮と原案を務めた『インディ・ジョーンズ』シリーズ2作を世に送り出したところ。その大ヒットメイカーの彼が、彼自身が『スター・ウォーズ』と同時期の1972年頃に原案を考え、自ら製作総指揮も担当するファンタジー・アドベンチャーとくれば、それだけで注目度大。
さらに監督は、子役から俳優への成長し、監督として『スプラッシュ』(1984)、『コクーン』(1985)などを手掛け、後に『ビューティフル・マインド』(2001)でアカデミー賞監督賞を受賞するロン・ハワード。
剣と魔法のファンタジーの王道
ストーリーは、王道の剣と魔法のファンタジー・アドベンチャー。悪の女王、彼女に命を狙われる“運命の子供”、その命を託された小さな身体の種族、その旅に同行する剣の名手、彼らに協力する魔法使いが登場し、姿を変える魔法、トロールやドラゴンと、おなじみのアイテムが続々。
また、原点が同じ民話や伝説なので、今見ると、小さい身体の種族が世界を救うことなど、名作ファンタジー小説「指輪物語」やその映画化作『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を連想させる部分が多いのも楽しいところ。ウィローの村とホビットの村の雰囲気が似ているのは、本作が英国だけでなく『ロード~』と同じニュージーランドでも撮影されたせいもありそうだ。
ILMが最新VFX技術を駆使!“モーフィング”は史上初
本作の後、『ターミネーター2』(1991)の敵キャラT-1000がグニャリと変形する映像で有名になったVFX技術“モーフィング”が、初めて使われたのがこの映画。この技術は、ILMとVFXスーパーバイザーのデニス・ミューレンがこの映画のために開発したもの。モーフィング技術により、動物の姿にされた魔法使いが、魔法の杖によってネズミからヤギ、ガチョウなど、ある動物から別の動物にワンカットで変化するシーンが何度も登場。また、特殊効果の神として知られるフィル・ティペットが手掛けた双頭のドラゴンなど、ファンタジーらしいクリーチャーたちも登場。本作の特殊効果はアカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされている。
『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』のワーウィック出世作
ルーカスは『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(1983)でイウォーク族のウィケットを演じたワーウィック・デイヴィスに出会った時に、彼がウィロー役にピッタリだと思ったそう。ウィローの村の人々は、すべてワーウィックと同じ小さい人々200人以上が集まって演じた。後にワーウィックの妻となるサマンサも、彼女の父親も村人役で出演している。
本作の後、デイヴィスは『スター・ウォーズ』シリーズの常連となり、それぞれ別の役柄で『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)などにも出演。並行して『ハリー・ポッター』シリーズ(2001~2011)にホグワーツ魔法魔術学校のフリットウィック先生役で出演し、人気シリーズ2つの常連俳優となった。
ちなみにワーウィックは1970年生まれで、『ウィロー』撮影時は17歳。彼同様、小さな身体の名優であるテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのティリオン役でブレイクしたピーター・ディンクレイジは、彼より1歳年上の1969年生まれ。ディンクレイジが本作にエキストラで出演したという都市伝説もあるが、真偽のほどは不明だ。
『トップガン』のアイスマンことヴァル・キルマーが共演者と結婚
大ヒットした『トップガン マーヴェリック』のアイスマン役で再び注目されているヴァル・キルマーが、『トップガン』出演の2年後、本作にウィローと一緒に旅する剣士マッドマーティガン役で出演。撮影当時28歳だったキルマーは、本作の共演をきっかけに、悪の女王の娘ソーシャ王女役の英国女優ジョアンヌ・ウォーリーと恋に落ち、本作が公開された1988年に結婚した。本作はノリノリな時期のキルマーが見られる1作でもある。2人は1996年に離婚したが、娘メルセデス、息子ジャックを授かり、ジャックは『ナイスガイズ!』(2016)、『ロード・オブ・カオス』(2018)などで俳優として活動している。
テレビシリーズは映画に直結!“運命の子供”再び
新ドラマシリーズ「ウィロー」は、オリジナル映画に直結する続編。時代背景は、映画の20年後。前作で倒したはずの闇の勢力が再び力を増し、ウィローと仲間たちが立ち向かうことになる。登場人物も主人公ウィローと女王ソーシャは、映画と同じ俳優が演じる。映画では赤ん坊だった“運命の子供”ことエローラも、成長した姿で登場する。“運命の子供”がどのように成長したのかも見届けたい。
そして、ドラマの中心となるのはウィローやソーシャの次の世代。ソーシャの娘をはじめとする10代の若者たちがウィローと一緒に旅に出て、新たな冒険を繰り広げながら成長していく。新たな登場人物は、剣が大好きで自由を求めるソーシャの娘キット、彼女の親友で剣の達人のジェイド、魔法に興味を持つ彼女の婚約者グレイドンなど、個性的なキャラクターぞろい。オリジナル作を継承する王道のファンタジー世界で始まる、新たな冒険と新たな群像劇に期待大だ。(文・平沢薫)