年末にぴったりな映画!毒舌村本が骨抜きになる
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今年最後のテーマは、韓国の豪華キャストが勢ぞろいした心温まるラブストーリー『ハッピーニューイヤー』。高級ホテルを舞台に、さまざまな登場人物たちの恋模様を描く群像劇に、パラ兄と村本はすっかりほっこりモード! (取材・文:森田真帆)
今回の映画は『ハッピーニューイヤー』です。
総勢14人の主要キャストが織り成すアンサンブルラブストーリー。大みそかのホテルを舞台に、長年片思い中の男友達が結婚すると知りショックを受けるホテルマネージャー、強迫症のホテルCEO、自殺しようと心に決めてホテルにやって来た宿泊客などの恋模様を描く。メガホンを取るのは『猟奇的な彼女』などのクァク・ジェヨン。『虐待の証明』などのハン・ジミン、『ビューティー・インサイド』などのイ・ドンウクのほか、キム・ヨングァン、コ・ソンヒ、ウォン・ジナらが出演している。
ラブラブキュンキュンなマシュマロココア
村本大輔(以下、村本):いやー、ほっこりやったな。
中川パラダイス(以下、中川):ほっこりやったわ。幸せ気分! なんかクリスマスというか、年末にぴったりな映画やったな。デートするんやったら絶対これ観に行った方がええわ。
村本:オレ、韓国ドラマの「トッケビ」観てたから、ホテルのCEOが出てきた瞬間「おおっ死神やー」てなったわ! あとほかのキャストたちもみんな、韓国ドラマによく出てくる人ばっかりやったから、観てて楽しかった。
中川:このコーナーっていつも村本が選んでくるから、僕はどんな映画なのかわからんで観るやん。今回もどんな映画なんかまったく聞かずに観たから、最初あのハッピーな感じではじまったから、これもしかしたらホラー映画でこれから起きる惨劇へのフリなんちゃうかと思って、ドキドキしててん。そうしたら、最後の最後まで幸せなままで終わってよかったー。
村本:中川は、映画『パラサイト 半地下の家族』観ておかしくてなってんねん。韓国の映画みんなそうちゃうから(笑)。
中川:韓国のホラーめっちゃうまいやん。ああいう幸せなところから、急にギャーッてなるやん! だから今回もかと思って。壮大なフリに感じるくらいの幸福感に満ちたオープニングやったから、ほんまに怖かった(笑)。
村本:ほんっまに幸せな映画やったな。もう後味よすぎる! ウエストランドの怨念のかたまりみたいな漫才を観た後に絶対に観た方がいい映画やわ(笑)。オールハッピーラブラブキュンキュンほのぼの映画はバッチリやと思うで。こういうマシュマロココアみたいな映画、めっちゃ好きやねん。
中川:村本は絶対好きやんな。僕はホラー映画とかそういうの好きやから、自分では絶対に手をつけない映画やけど、観たら観たで面白いよな。めっちゃ大勢登場人物が出てきて、どんどん繋がっていくのは観ていて楽しかった。あー、こことこことがくっつくんやな! とかさ。
村本:実はオレ、ずっとホテル暮らしやから、いろんなホテルで「おかえりなさい」って言われるねん。あの映画の中の人にオレがいてもおかしくないんやろな、って思ったな。いつもホテルに泊まっている売れないコメディアン。
回転ドアのあるホテル
村本:この映画って、よくある悪いヤツが出てこなかったのも良かったよな。こういう映画って必ず出てくるやん。
中川:ライバルみたいなのはちょっと出てきたけど、そこまで嫌なヤツじゃなくて、いいヤツばっかりやった。
村本:そういう時代なんかもしれんよな。日本もそうやもん。ただただ優しい世界。ていうかお前、この映画に出てくるような高級ホテルとか泊まったことあるんか?
中川:あるよ! 夫婦で出た番組の景品で、北海道の高級ホテルに泊まったことある! 「こちらの椅子に安倍首相が座られましたよ」っていうソファに座ったわ。でもめっちゃ高級ホテルだから、ランチでも1万円くらいして「うわあ、騙されたわ!」ってなってさ。しかも近くのコンビニ行くのにバスで行かなきゃならんくて、30分かけてコンビニのカップラーメン買いに行ったの覚えてるわ。
村本:お前ら家族もなんかこの映画のエキストラとかで出てきそうやな(笑)。オレはさ、この映画に回転ドア出てきたやん。あれ観た瞬間に大阪のオリエンタルホテル思い出したわ。
中川:うわぁ、なつかしいなぁ。
村本:芸人って格が上がって行くと少しずつホテルのランクも上がって行くやんか。オレらもまだ売れないとき、オンボロの幽霊出そうなところ泊まらされたよな。
中川:そうやったな。コンセントがどこにも見つからんくて、ようやく見つけたのが天井やってん。天井から充電器ぶら下げてたわ!
村本:それが芸人の現実よな。売れない頃なんて、追っかけの女の子の方がいいホテル取ってくれて、「すんまへんなぁ」言うて、10くらい年下の子とかに素敵なホテルに泊めてもらってたやん。そんなときに先輩たちが泊まっているホテルが、なんばオリエンタルホテルっていうところで、この映画に出てくるみたいな回転ドアがあんねん。
中川:あったなぁ。なつかし!
村本:そんでオレたちも売れて、初めてなんばオリエンタルホテルに泊まれたとき、うれしくてさ。あの回転ドアを開けるのがめっちゃ特別な感じがして、興奮して寝れんかったわ。でもある日、水を買いにエレベーターで降りたら、パラダイスと汚い金髪の女がマクドナルドのポテト食いながらおって、「マクドナルドのポテト買ってくれたからついてきたー!」とか言うて、ファストフード持ったファストフード女連れてたな。
中川:余計なことまで思い出してるやんか。結局高級ホテルだと、女の子呼んでるときに一旦下まで迎えに行かないかんやん。これめっちゃめんどくさいから、勝手に部屋まで上がってこれる安いホテルの方がええよな。
村本:なんの話やねん! 中川の話聞いてたら、吉本の先輩から、ホテルのドアにコンドームかけといてくれって言われたの思い出したわ。吉本版「ハッピーニューイヤー」はきったない話になるなぁ。
ウーマン、1年を振り返る
中川:こういう映画見ると、なんかほんまに年末って感じすんな。
村本:もともとの計画だと、オレは今頃ニューヨークやったからな。1年間ずっと成仏できずにさまよっている幽霊みたいな気分やったわ。周りからも「まだ日本おるん?」って言われてさ。キャリーバッグを転がしながら、日本各地を回り続けたわ。キャリーバッグ転がしすぎて、壊れたもんな。毎日目が覚めるたびにどこいるかわからん日々やったわ。
中川:来年こそはってやつやな。
村本:ほんまにそれ。来年こそは絶対にアメリカに行く! 成仏するぞ! だってもう42歳でさ、アメリカ行くって決めたん40やったから、全然進んでないのって気持ち的にめっちゃ嫌やねん。去年のTHE MANZAIで「オレはアメリカに行くぜー!」って言ったのに、まだ日本におんねん。
中川:でも実際どうなってるん? いつになったらビザおりるん?
村本:わからん。もう2年近く、ひたすら待つ日々よ。でもいつビザが降りても勝負かけれるように、めっちゃ勉強してる。バッターボックスにいつでも立てるように、オレはいつだって素振りしてんねん。パラダイスはこの1年どうやったん?
中川:僕は自分の軸でもあった漫才がなくなって、自分の軸を探してたな。自分の軸を探して、パソコンでゲーム配信を始めて、お芝居も頻繁にやるようになって、映画にも出たりしてさ。
村本:え? パラダイス映画出たん?
中川:うん。号泣する役。
村本:そんなんできるんか? お前、号泣なんてできるん?
中川:めっちゃ目乾かして、目薬さして泣いたわ。
村本:芝居ちゃうやん(笑)。いつ観れるん? 逆に観たくなったわ(笑)。
中川:まだいつ公開かはわからん。あと50時間ぶっ通し生放送ラジオやったわ。村本にもきてもらったよな。最初のゲストは村本で、トリのゲストは嫁やった(笑)。あとYouTubeも中学の時の同級生と一緒に始めた。ゲームで知り合った、日本に来たことないけど日本語ペラペラの外国人の友達できたりしてさ。ゲームやりすぎて、英語聞けるようになってきてんねん。あと、今年は鳥居みゆきとネタの単独ライブしたんやけど、最近M-1グランプリ見てたら漫才したくてさ、鳥居みゆきと一緒に漫才やれたらいいなって思ってんねん。
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『ハッピーニューイヤー』12月9日公開
映画『ハッピーニューイヤー』公式サイト
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。