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満島ひかり×佐藤健「First Love 初恋」は何がそんなに面白い?

First Love 初恋

 満島ひかり佐藤健が共演したNetflixシリーズ「First Love 初恋」。11月24日に配信開始された本作は、Netflixの「今日のTV番組TOP10(日本)」で連日1位を獲得、グローバルトップ10のテレビ・非英語部門で3週連続トップ10入りと大ヒットしている。

 本作の情報解禁がなされたのは、2020年12月3日のこと。ファンにとっては約2年もの間待ち続けていた作品であり、初動の大きさは凄まじかった。が、以降もコアからライトへと波及し続けているのは作品自体の強さによるもの。次々に“沼落ち民”を生み出す「First Love 初恋」の魅力を5つのセクションで紹介したい。

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一気見続出!「切なさ」×「仕掛け」が効いたストーリー

First Love 初恋

 Netflix作品の特徴である「全話一挙配信」。「First Love 初恋」も「一気見しちゃって寝不足……」という視聴者の声をよく聞く。視聴する→ハマる→一気見する→ロスになる→リピートするというサイクルを生み出している要因の一つは、各話の「引き」の上手さであろう。

 本作は離ればなれになった恋人たちの出会い/別れ/再会を約20年にわたる歳月を通して描いていく物語。「ふたりはなぜ別れてしまったのか?」「その後、どのような人生を歩んできたのか?」「あの表情/発言の意味は?」といった疑問点が、過去と現在を行き来して少しずつ明かされていく。つまり、観進めていくことで分かる謎解き的な面白さがあるのだ。

 そこに、「続きが気になる」仕掛けを施すことで、一気見ユーザーを多数生み出している。例えば第1話はタクシーに乗っている晴道(佐藤)がタクシー運転手となった也英(満島)を見つけるシーンで終わり、第2話はふたりがついに再会するも視聴者の予想を裏切る展開が起き、第4話ではキュンとするシーンにある人物が乱入して一気にトーンが変わる展開で幕を閉じる。ラブストーリーとしての切なさや美しさ、愛おしさはもちろんのこと、物語展開・構成力の高さが非常に効いている。

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満島ひかりの圧巻の存在感×佐藤健の技巧派演技

First Love 初恋

 主演ふたりの期待値を大幅に上回る熱演も、ヒットの理由。

 演技を超えた「生活」レベルまで役の奥行きを魅せきり、視聴者自身が生きる日常と物語を直結させるような自然さ、生っぽさを持つ表現者・満島ひかり。彼女の卓越した表現力は、視聴者が他人事に思えなくなる“同化”を引き起こす。也英が孤独を感じたり絶望したり、涙を流す——その姿から生の感情がダイレクトに伝わってきて、こちらも「持っていかれる」のだ。終盤に用意されている也英の落涙シーンは、まさに満島の真骨頂。作品全体のハイライトでもあり、彼女の桁違いの演技と共に語り草になるだろう。

 対する佐藤健は、結果を逆算して動くロジカルな演技が絶妙だ。微細な表情、さりげない仕草、身体の向きや角度に至るまで「表現が引き起こす効果」を熟知した使い手であり、満島のある種アンコントロールな芝居に対する“反応”で、このシーンで何を伝えるかが物語られる。出色なのは、第2話で也英と再会した際の晴道の様子。表情だけで「喜び」→「戸惑い」→「衝撃と確信」といった目まぐるしい変化を見せ、その先にある「涙を流す」までを違和感なく持っていく。「見つめる」シーンが多いのも本作の特徴だが、時に温かな眼差しを注ぎ、時に本音を隠して目線で訴える佐藤の魅せ方のパターンの多彩さを堪能できる。

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視聴者に衝撃を与えた、八木莉可子×木戸大聖の躍動

First Love 初恋

 長い歳月を描く作品では、1人の役者が数十年を演じることも珍しくない。しかし「First Love 初恋」では、高校生~大学生のパートを八木莉可子木戸大聖というフレッシュな若手ふたりに託した。この采配は、多くの視聴者にとって予想外だったのではないか。しかし、八木と木戸が見せる等身大の純粋さや無垢さが、付き合い始めのワクワク感をリアルなものにしており、過酷な運命に翻弄されるシーンではまだ子どもである自分たちにはどうにもできない苦しさや切なさを存分に煽ってくる。

 どうしても役者が実年齢から大きく離れた人物を演じる際、観る側にも「頑張っているな」という引いた目線が生まれてしまうものだが、そうしたマイナス面を回避しつつ、現代パートの満島と佐藤と比べてパワーダウンしていないのは驚きの一言。八木と木戸が若き日の也英と晴道を見事に演じ切っているからこそ、我々視聴者も物語に没入でき、これだけの分量を過去パートに割いても十二分に成立したといえる。重要なキャラクターを演じた荒木飛羽アオイヤマダ含め、次世代の活躍が光る。

宇多田ヒカルの神曲とストーリーの見事なリンク

First Love 初恋

 そしてやはり、作品の出発点といえる宇多田ヒカルの楽曲の存在感は別格。「First Love 初恋」を観たことで楽曲に再ハマりする人も後を絶たない。それほどまでに、楽曲と物語が完璧に融合しているのだ。

 本作の物語が1998年から始まるのは宇多田のCDデビューイヤーだからだし、也英と晴道は宇多田と同世代の設定。「First Love」が思い出の楽曲であるふたりが、人生の時々に訪れる重要な局面、そこで決断を下すときにこの曲が流れている……という演出は、たまらなくエモーショナルだ。

 「You are always gonna be my love いつか誰かとまた恋に落ちても I’ll remember to love」「最後のキスはタバコのflavorがした」「うるさいほどに高鳴る胸が 柄にもなく竦む足が今 静かに頬を伝う涙が 私に知らせる これが初恋と」等々、「First Love」「初恋」の歌詞と物語もシンクロしており、行き来することで感動が増幅するのもこうしたブームの一因といえる。観終えた後も、「First Love」「初恋」を聴くたびにこの物語を思い出す——。也英と晴道に会いたいからまた聴いてしまう。こうした心理が、楽曲と作品の無限ループを生み出しているのではないか。

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魅力的な脇キャラ、美しい映像が織りなす強固な世界観

First Love 初恋

 也英と晴道、ふたりを恒星とするなら、周回する惑星の役割を果たす面々も魅力的。特に、視聴者の心をつかみ、人気を獲得しているのは晴道の現在の恋人にふんした夏帆と、也英の同僚を演じた濱田岳。恋愛ドラマには恋のライバル的な存在が不可欠だが、ふたりが演じたキャラクターは役割に終始した表面的な人物ではなく、血の通った1人の人間として確立している。切なく、人間的にも好きになれる人々が夏帆と濱田によって実に味わい深いものになっているのだ。

 こうした人物描写だけでなく、世界観が「観続けたい」と思えるものになっているのも特筆すべきところ。寒竹ゆり監督の色彩センスが光る空間づくり、ロータリーを美しく切り取った俯瞰ショットなど、その映像美は特報や予告編時点で話題を集めていた。「カルテット」ほか満島とのタッグも多いスタイリストBabymixの衣装も効いており、SNS等で周囲に薦めたくなる“お洒落さ”もきっちりと担保している。

 物語・演技・音楽・映像・美術・衣装——どこを切っても楽しめるのが、「First Love 初恋」の躍進を支える強さだ。(文・SYO)

Netflixシリーズ「First Love 初恋」は独占配信中

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