映画『レジェンド&バタフライ』はどんな内容?情報まとめ
織田信長とその正室・濃姫の激動の30年を描く『レジェンド&バタフライ』が2023年1月27日より公開される。(編集部・近藤孝一)
『レジェンド&バタフライ』とは?
「東映創立70周年記念作品」として制作された織田信長と濃姫が生きた激動の30年の軌跡と共に本能寺の変の謎を描いた映画『レジェンド&バタフライ』。主人公織田信長を木村拓哉、謎に包まれたその正室・濃姫(別名:帰蝶)を綾瀬はるかが演じた。
総製作費20億円という壮大なスケールで製作された本作。脚本は2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』も控える古沢良太が、監督を『るろうに剣心』シリーズの大友啓史が務める。
豪華キャストが集結!
恰好ばかりで「大うつけ」と呼ばれていた織田信長(木村)の元に嫁いできた、「マムシの娘」と呼ばれる男勝りの美濃の濃姫(綾瀬)。敵対する隣国同士の政略結婚で結ばれた二人が、激動の30年を共に駆け抜けた軌跡だ。多くの戦さを経て、非情な“魔王”となった信長には苦悩や葛藤があった。一方で、信長暗殺をもくろんでいた・濃姫だが、次第に信長と強い絆で結ばれ、天下統一が二人の夢となる。人々から恐れられた信長と、自由を求めた濃姫との、夫婦の物語が展開する。
脇を固めるのは、濃姫の侍従・福富平太郎貞家に伊藤英明、濃姫の筆頭侍女・各務野(かがみの)に中谷美紀、美濃の戦国大名で濃姫の父親・斎藤道三(通称:美濃のまむし)には北大路欣也がふんする。
また織田家の家臣ながら本能寺で謀反を起こした明智光秀には宮沢氷魚、織田家家臣・森可成の息子で信長の側近中の側近・森蘭丸に市川染五郎といった豪華俳優陣が共演する。
“持っている男”木村拓哉
1998年放送のテレビドラマ「織田信長 天下を取ったバカ」以来25年ぶりに織田信長役を演じる木村拓哉。「このような大作で彼(信長)を演じさせていただくのは名誉ですし、この上ない舞台を用意していただいたので全力で演じさせていただきました」と語るように、信長役に対する意気込みはすさまじい。大きな話題となった木村と伊藤が参加した「岐阜市産業・農業祭~ぎふ信長まつり~」は、岐阜市の人口の2倍の応募が殺到、当選枠800人に対して12万人以上の応募などと報道され、さらに祭り当日の人出は過去最多のおよそ46万人とその関心の高さにも驚かされた。
そのイベントで木村は「歴史上には数多くの魅力的な人物がいますが、私にとって織田信長は、特別引かれる存在でした。撮影現場でも、常に敬意を払いながら全身全霊をもって演じさせていただきました。そんな信長が“岐阜”と命名し、『天下布武』を掲げて天下統一を志した地で、伝統的なお祭りに参加させていただくことを、心より光栄に思っております」と祭りに集まった人々に感謝を述べた。
また本作の撮影中に、信長が生涯を終えた49歳(数え年)という年齢を迎えた木村。信長との運命を感じさせるエピソードも生まれ、「持っていますよ、その一言に尽きる」という大友監督の言葉通り、“持っている男”木村が見せる迫真の演技にも注目だ。
成り切りぶりがスゴイ人たち
主役の二人にも劣らず話題となっているのは、音尾琢真演じる、戦国三英傑の一人、織田軍のムードメーカー木下藤吉郎(羽柴秀吉)と斎藤工演じる、見た目とは裏腹にずる賢い徳川家康だ。その二人の姿は、一見すると誰が演じているかわからないほどの変わりよう。
音尾演じる秀吉、その鼻には特徴的なイボイボが付けられ、眉毛など細部にわたる作りこみによって独特の魅力が感じられる。おどけたような表情もわがものとした見事な変身ぶりとなっている。
「現場では特にメイクに力を入れてくださいまして、自分の顔をベースにしながらも新しい秀吉像を作り上げてくれることへの感動と、作品の世界観に安心して入っていける感覚がありました」と現場スタッフへの感謝と共に意気込みを語る音尾。
家康を演じた斎藤も、役への取り組み方として「正対すればするほど、吹き飛ばされそうな感覚がありましたが、そこは大友監督の見事な導き、一種の裏技のような魔法をかけて頂き、全てのスタッフキャスト方のご尽力を頂戴し、楽しく家康様に臨むことができました」と言う。
さらに本人の面影がほとんど見られないその姿は、“目”以外の顔部分すべてに特殊メイクが施され、史実には肥満体形だったとあることから、体形にまでも手が加えられた。
「特にビジュアルにまつわる部署の面々には、根気よく寄り添って頂き、頭が下がります」と普段のスタイリッシュな姿とはかけ離れた仕上がりに、斎藤も感謝の意を述べている。
ラブストーリーにしたことで、新しい信長の姿が描かれる
「政略結婚で結ばれた夫婦の笑えて泣けるロマンティックコメディーを書いてみたいとかねがね思っていました」と言う古沢が、「織田信長 天下を取ったバカ」以来、再び織田信長を演じるときを待ち望んでいた木村に用意した脚本は、“政略のために結ばれた二人”という男と女のラブストーリー。最初から愛があったわけではない信長と濃姫が、時間を共有し生きていくなかで絆が生まれ、夫婦=男と女という関係性を通して、自由に恋愛ができない時代に、戦略のコマとして送り込まれる濃姫、それを受け入れる信長を映し出したものだ。
想像したものでも、文献を調べると、図らずも史実と合致する奇跡が起き、楽しい作業であったと言う古沢。例えば、「病に伏せた濃姫のために、信長が薬草園を作った」というセリフは、信長が何千種類もの薬草を育てていたという説があり、それは濃姫のためだったのではないか……と信じたいと古沢。想像した部分が史実で裏付けできると、信長や濃姫がほほ笑んでくれたような気分になったとも。
「常に死と隣り合わせで生きている(戦国時代の)人たちだからこそ表現できるものがあり、些細なやり取りであっても愛おしさがより大きく、はかなさがより深く伝わるはず」と、その愛の在り方にも歴史劇の大きな魅力を感じていると明かした。
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