アカデミー賞主演女優賞は大混戦!本命はケイト・ブランシェット?
第95回アカデミー賞
主演女優賞レースでは、今年もデッドヒートが繰り広げられている。本作で引退をほのめかしたケイト・ブランシェットが本命として注目されるものの、マリリン・モンローを演じたアナ・デ・アルマスはじめ、アジア系で初の主演女優賞ノミネートとなるミシェル・ヨー、演技派のミシェル・ウィリアムズら大物が勢ぞろい。大穴で賞レースに食い込んできたアンドレア・ライズボローの捨て身の演技も捨てがたい。首席指揮者にマリリン・モンロー、中国系アメリカ人に裕福なユダヤ人家庭の主婦、アル中のシングルマザーまで。それぞれの役を“生きた”女優たちのスゴさが体感できる。(文・平野敦子)
ケイト・ブランシェット『TAR/ター』
『アビエイター』『ブルージャスミン』で2度のオスカーに輝くケイト・ブランシェットが、ドイツのオーケストラで女性初の首席指揮者に任命されたリディア・ターを演じる注目作。美人だが男顔でマニッシュな色気があるケイトは、パンツスーツもビシッとキマっている。プレッシャーや過剰な自尊心などにより、ジワジワと広がる主人公の心の闇をホラー並みの迫力で表現するケイトの演技がすごい。トッド・フィールド監督が彼女のために当て書きしただけあってまさにハマり役! 難しい役を華麗かつパワフルに演じきり、3度目のオスカー受賞にリーチをかける。
ケイト・ブランシェット
1969年5月14日生まれ
オーストラリア・ビクトリア州メルボルン出身
主な出演作
『キャロル』(2015)
『ブルージャスミン』(2013)
『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007)
『アビエイター』(2004)
アナ・デ・アルマス『ブロンド』
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で注目を浴びたアナ・デ・アルマスが、マリリン・モンローを演じた意欲作。ジョイス・キャロル・オーツのベストセラー小説を基に、マリリン・モンローの複雑な人生を大胆に再構築した物語で、アイコンとしてのマリリンと、素顔のノーマ・ジーン(本名)を体当たりで演じる。役に成り切るためなら、ヌードも過激なシーンもいとわず演じると同時に、マリリンの繊細さや賢さ、内からにじみ出る純粋さや美しさを表現。オスカー初ノミネートながら、すでに大物女優の風格漂うアルマスの躍進に期待する。
アナ・デ・アルマス
1988年4月30日生まれ
キューバ出身
主な出演作
『グレイマン』(2022)
『底知れぬ愛の闇』(2022)
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)
アンドレア・ライズボロー『To Leslie トゥ・レスリー』
トム・クルーズと共演した『オブリビオン』で本格的にハリウッド進出したアンドレア・ライズボローが、宝くじに当たったもののアルコールに溺れ、全てを飲み尽くしてしまうシングルマザーを熱演する人間ドラマ。イギリスの舞台で演技力を磨き、『ヴィーナス』で映画デビュー後、『わたしを離さないで』『シャドー・ダンサー』などのイギリス映画で活躍。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』など英米で活躍する演技派女優が、満を持して初ノミネートを果たした。
アンドレア・ライズボロー
1981年11月20日生まれ
イギリス・タイン・アンド・ウィア州出身
主な出演作
『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(2021)
『ポゼッサー』(2020)
『ナンシー』(2018)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)
ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』
スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的作品で、映画監督になる夢を追いかける少年の母親を演じたミシェル・ウィリアムズ。『ブルーバレンタイン』『マリリン 7日間の恋』でアカデミー主演女優賞、『ブロークバック・マウンテン』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で同助演女優賞にノミネートされた実力派女優は、なぜか家庭崩壊した作品に出る確率が高い!? 今回は裕福なユダヤ人家庭(秘密あり)で、息子の夢をサポートするゴーイング・マイ・ウェイな母親を演じたミシェルが、5度目のノミネートにして初のオスカー受賞を狙う。
ミシェル・ウィリアムズ
1980年9月9日生まれ
アメリカ・モンタナ州カリスペル出身
主な出演作
『ゲティ家の身代金』(2017)
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)
『ブルーバレンタイン』(2010)
『ブロークバック・マウンテン』(2005)
ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
香港でアクション女優としての地位を確立し、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガールに抜てきされて以来、ハリウッドで活躍してきたミシェル・ヨーが主演を務めるマルチバース・コメディー。中国系アメリカ人のエヴリンが、並行世界で人類を救うための闘いを繰り広げる。ミシェルは現実世界では生活に追われる主人公をいい抜け感で表現しつつ、それぞれの並行世界に存在するさまざまな「自分」を発見してパワーを得ると同時に、見事なカンフーも披露。ベテランながら初ノミネートとなるミシェルは、今回の賞レースの台風の目となる。
ミシェル・ヨー
1962年8月6日生まれ
マレーシア・ペラ州イポー出身
主な出演作
『クレイジー・リッチ!』(2018)
『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(2011)
『グリーン・デスティニー』(2000)
『宋家の三姉妹』(1997)
第95回アカデミー賞授賞式は、3月13日(月)午前7時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて生中継