【ネタバレあり】『ウルトラマンデッカー』松本大輝&中村加弥乃、全てをかけたラスト変身とダイナへの思い
1月に最終回を迎えた特撮ドラマ「ウルトラマンデッカー」のオリジナル映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』。テレビシリーズから1年後の世界で、エキスパートチームGUTS-SELECTがラヴィー星人ディナスと共に、最後の戦いに挑む。主演の松本大輝(アスミ カナタ/ウルトラマンデッカー役)とシリーズ初参加の中村加弥乃(ディナス/ウルトラマンディナス役)が、撮影を振り返りながら、最終章に込めた思いを語った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
※本記事はネタバレを含みます。『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
みんなで作りあげた、ウルトラマンディナスの変身
Q:(松本さんへ)最終章では、カナタにとって初の後輩ウルトラマンとなるディナスが登場しました。
松本大輝(以下、松本):テレビシリーズでデッカー・アスミ(谷口賢志)がウルトラマンデッカーに変身した時はすごく嫉妬しましたが、今回のウルトラマンディナスは、同じウルトラDフラッシャーで変身こそするものの、全く別のウルトラマンなので、嫉妬ではなく「頑張れ!」という気持ちが強かったです。加弥乃さんが変身シーンを撮影する時も、「上手く変身できるかな?」と見守っている気持ちになり、ウルトラマンとしての先輩感が芽生えた気がしています。
Q:(中村さんへ)ウルトラマンディナスの初変身はいかがでしたか?
中村加弥乃(以下、中村):この作品を観た人が真似したくなるような、カッコいい変身がしたいと思っていたので、直前までアクション監督と一緒に鏡の前で練習していました。いざ撮影現場に立つと、微調整もあったりしたので、ディナスの変身はみんなで作りあげたという気持ちが強いです。カナタ(松本)も前日にアドバイスもくれたり、当日も見守ってくれていたので、すごく心強かったです。
Q:もともとアクションが得意とのことですが、本作のアクションシーンにはどのように挑みましたか?
中村:20歳くらいの頃に出演した映画『少女は異世界で戦った』でアクションの魅力にハマり、作品が終わってからも稽古場に通い続けていました。コロナ禍で2年ほど練習期間が空いた中で、本作のオファーをいただいたので、アクションチームと一緒に練習しながら、撮影に臨みました。
松本:カナタがディナスと初めて出会うシーンの撮影の時から、加弥乃さんの運動神経の良さは感じていました。カナタの上に飛びかかってくる動きも上手で、受ける側も全然痛くありませんでした。しかも、その場から走り去る時も、めちゃくちゃ速いんです。スタッフさんも「加弥乃さん、足速っ!」と驚いていました(笑)。異星人軍団との戦闘シーンでも、加弥乃さんのアクションが炸裂していて、一年以上GUTS-SELECTとして活動しているカナタも、カッコいい姿を見せなきゃと負けないように頑張りました。
新メンバーがすぐに馴染める雰囲気づくり
Q:(中村さんへ)リュウモン ソウマ役の大地伸永さんとは過去に共演経験があり、カイザキ サワ役の宮澤佐江さんとは同じアイドルグループで活動されていました。最終章からの出演でしたが、GUTS-SELECTのメンバーとはすぐに仲良くなれましたか?
中村:二人の存在はすごく大きかったです。伸永くんは、私が不安な気持ちのまま参加しないように「本当に素敵な人しかいないから、構えずにおいで!」と連絡をくれました。初日はGUTS-SELECTが勢揃いしている時に現場入りしたのですが、全員が笑顔で迎え入れてくれました。カナタ、イチカ(村山優香)、隊長(黄川田雅哉)も「前にも会ったことあったっけ?」と勘違いするほど大歓迎で、すごく嬉しかったです。その後、ナースデッセイ号の中で制服姿のメンバー全員が並ぶ姿に圧倒されて固まった瞬間があったのですが、その時は佐江ちゃんがいち早く「大丈夫! 私も緊張したから」と緊張をほぐしてくれて、帰りがけにも声をかけてくれたりしました。
松本:ゲストの方やエキストラの皆さんがすぐに馴染めるような雰囲気づくりは、テレビシリーズの時からスタッフさんから仰っていただいたことでした。最終章では、僕たちがチームとして出来上がっていたので、そこに加弥乃さんが溶け込めるように、みんなで協力して「ウェルカム!」という姿勢で迎えました。
歴代ウルトラマンから受け継がれた光のバトン
Q:最終章ではウルトラマデッカー&ウルトラマンディナスの力のルーツが、未来で戦うウルトラマンダイナであることが判明しました。
松本:「ウルトラマンダイナ」25周年のつながりをすごく感じました。ウルトラマンデッカーの始まりはカナタで、ウルトラマンの力はそこから代々受け継がれていく。それは次に生まれた子供がウルトラマンデッカーになれるわけではなく、どの代が変身できるのかはわからない。だから、最終章ではフラッシュタイプしか登場しないと、武居(正能)監督から伺いました。それと同時に、「カナタが始まりなんだ」と安心感もありました。現在と未来を行き来するストーリーなので、難しく考えてしまうかもしれませんが、カナタが始まりであって、デッカーはそこから受け継がれていく。僕が始まりの存在で「よっしゃ!」と思えたし、フラッシュタイプのみの登場をOKしてくれたことにも感謝しています。
中村:「ウルトラマンダイナ」は妹や弟と一緒に観ていたので、「私はダイナに助けられて、ウルトラマンの光を授かったんだ!」とすごく感動しました。撮影現場ではダイナにお会いできなかったので、完成した作品を観てダイナから力をもらったことを実感しました。歴代ウルトラマンの先輩方から受け継がれてきた光のバトンを、自分が受け取った感覚になって、すごく光栄なことだと思いました。
Q:終盤には、グレースさん(グレゴール人)とナイゲル局長(メトロン星人)がサプライズで登場しました。テレビシリーズを彩ったキャラクターとの再共演はいかがでしたか?
松本:すごく嬉しかったです! テレビシリーズのキャラクターが映画で再登場したのは、「ウルトラマンデッカー」の世界観が広がって面白いと思いましたし、本当に胸アツな展開でした。グレースさんとナイゲル局長は、ファンのみなさんが「もう一度見たい!」と思ってくれたキャラクター。登場はシークレットだったので、作品を観た方の反応が気になります。
中村:映画の撮影はテレビシリーズ放送前だったので、私はこの間まで一緒に戦ってた人たちがテレビシリーズに再登場した感覚でした。お二人が出てきた時は、大興奮でした。キャラクター設定もあまり深くは聞いていなかったので、オンエアを確認しながら「デッカーのおじさんって、こういうことだったのか!」と紐解いて楽しんでいました(笑)。
一度だけの変身に全てをかけた
Q:カナタがテラフェイザーを操縦したこともサプライズでした。小柳友さん(アガムス役)が入っていた操縦室での撮影はいかがでしたか?
松本:このシーンもサプライズ情報で、映画を観た方は「えぇ!」と驚かれたと思います。GUTS-SELECTの戦力の一つとして、カナタが操縦するということで、いろいろな装備をつけて、とても楽しかったです。アガムスやハネジローが操縦している姿を見て、「テラフェイザーに乗りたい!」と憧れていた部分もありました。ウルトラマンに変身できない代わりに、テラフェイザーを操縦してディナスと一緒に戦えたことが嬉しかったですし、カナタが絶命するシーンは、アガムスと重なるところがありました。
Q:一度絶命したカナタが復活してウルトラマンデッカーに変身する際、カナタの「輝け…」の後に、仲間たちが「輝け…」と続く演出が印象的でした。
松本:最終章では変身が一度しかなかったので、あのシーンに全てをかけました。撮影中も、「これでデッカーへの変身は最後なんだ」という思いでした。「輝け…」と願うところは、みんなの「輝け…」という声にも後押しされて、すごくパワーをもらえて変身ができたので、特に注目してほしいシーンです。第一話の最初の変身とも似ていて、最終章が「輝け…輝け…輝け…フラッシュ! デッカー!」で終われたのはすごく感慨深いです。
ウルトラマンへの変身は「私の財産」
Q:最後の戦いを終えたカナタは、イチカ、ディナス、ハネジローと共に宇宙へと旅立っていきました。今後、彼らはどんな道を歩んでいくと思いますか?
中村:どこかで争いが起きていたら、カナタは両者の話を聞いてくれると思います。正義と正義のぶつかり合いかもしれない戦いでも、カナタはどちらの意見も聞いて、相手に寄り添う解決の仕方を探すと思いますし、そうやって人に寄り添いながら、温かく強くみんなで進んでいく気がします。
松本:ウルトラマンデッカーの力だけではなく、カナタ、ディナス、イチカとしていろいろ問題を解決していくと思います。最終章までにいろんなことが起こりましたが、その中で僕たちも成長しているので、僕たちなりに解決していくこともできるようになると思っています。
Q:(松本さんへ)約半年間カナタと向き合って学んだことはありますか?
松本:すぐに諦めないことです。壁にぶつかったとしても、すぐに諦めるのではなく、まずは今自分ができることはなんだろうと考えて、止まらず、前に突き進んでみる。何かダメなことがあったら、別のことを考えてみようということを学びました。
Q:(中村さんへ)憧れだったウルトラマンシリーズ出演を経て、役者として得たものはありますか?
中村:ウルトラマンに変身できたことは、役者としてはもちろん、私の財産です。本作の衣装さんが10年前にご一緒した方で、久しぶりに顔を合わせた時に「すごいことだね!」と声をかけてくださって、役者を続けてよかったと思いました。こうして続けることで、自分が想像していなかったものに出会える期待があることを、この作品から教えてもらいました。
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「ウルトラマンデッカー」は最終章で一旦幕を閉じるが、カナタたちの新たな冒険は始まったばかり。松本と中村も、希望に満ちた明るい表情でキャラクターの未来を予想し合っていた。10年後、20年後、彼らを乗せたナースデッセイ号は地球に帰ってくるかもしれない。カナタやディナスがどのように成長しているのか、再び彼らに出会えることを期待したい。
オリジナル映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』は「TSUBURAYA IMAGINATION」(動画配信サービス)にて独占配信中、全国劇場でも同時公開中
(C) 円谷プロ (C) ウルトラマンデッカー特別編製作委員会